オーディオ日記 第59章 ただ音楽のために(その1)2025年3月19日


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Streaming Processorの研究

デジタル環境においてこれからの音源のあり方や機器構成についてあれやこれや思索している。まだまだ現状は最適解からは程遠く、今後オーディオ的なテクノロジーがどのように移り変わっていくのか、それを追っていく楽しみがある。

音源はCDをリッピングしたライブラリとストリーミング(こちらの比重大)が双璧となっており、ほんの一部を残して殆どのCDは処分してしまって既に手元にはない。物として今あるのはSSDなどの(多少心許ないような?)小振りなメディア媒体だけなので、置き場所や管理の手間(バックアップだけは必須)がほぼ無いのはやはりこれは進歩と云っても良いだろう。

一方で、そのデジタル音源を送り出す機器については、メイン環境において三通りを構えている。PCオーディオとしてSymphonic-MPD II、ネットワークストリーマとしてBluesound NodeとEversolo DMP-A6。このネットワークストリーマ達は取り敢えずAmazon Musicをハイレゾベースで手軽に聴きたい、ということで機能や操作性の検証的な要素も含めて導入したもの。いずれもデジタル出力で使用し、途中にMUTEC MC-3+USBを介在させた上でデジチャンに送り込んでいる構成であるが、後段の機器との関連もあるので、この「デジタルで送り出し」という基本は当面変わらないだろうと思う。

これらデジタル出力する機器に関して、裏を返せば三通りある=べストな構成が定まっていない、ということでもある。PCオーディオに関して今まで随分と入れ込んであれこれと試行錯誤を続けてきた。総論としては痒い所にも手が届く機能が充実していることもあり、操作に関しても特段の不自由さは感じない。一方で機器構成が複雑となったり、一種独特とも思えるような(普通には取得できない)PCスキルが必要となったりするので、それ故の面白さがあるが、一般論的には取っ付き難くまた運用も厄介(トラブれば地獄を見る?)だと思う。まずPCを立ち上げるというお作法が必要(我が家では機器の常時電源オンはご法度)なのでちょっとじれったい、という面も残る。

専用の機器として設計されたネットワークストリーマは(NASなどの音源サーバーの存在を除き)基本は単体で完結されているので、シンプルで判り易い。その分、至れり尽くせりの機能や操作性は備わっておらず多少の不満は残るが、まぁ基本はカバーされているしスイッチポンということもあって運用の手間は相対的に少ないと云っても良いだろう。

ROONのようにPC環境とネットワークオーディオ機器を組み合わせた構成とすれば、コントロールの自由度を含めお遊びの範囲もグンと広がるので、これを採用するオーディオファイルも現状多いと思う。ただ、ROONがAmazon Musicに対応する希望の灯はもう消えてしまった、、、

翻って、当方の 環境 (詳細構成を記載)の課題点をあれこれ反省を踏まえて鑑みれば、

1.MUTEC MC-3+USBという機器が肝のデバイスとなっており、またデジタル出力の切替器の役目も持っているので、その運用における負の面(構成の複雑さや必要機器の増殖)がある。例えば音に拘ればマスタークロックはどうしても欲しくなるし、そのグレード(位相雑音など)への要求も際限無く高まってしまう。

2.このため構成が複雑化し余分なコストの追加が多くなるが、その割には「操作性」自体はネットワークストリーマの機能に依存しているので向上は無い。音を求めるのか、操作性やシンプルな構成を求めるのかというジレンマもある。

この点について改善するとしたら、構成からMUTEC MC-3+USB(2019年 導入 なのでそれなりの年月が経過している)やマスタークロックをはずしてしまったらどうか。つまり、音が維持できるならばネットワークストリーマからデジチャン直というシンプルなスタイルでも良いんじゃないだろうか、という想いが出てくる。

結果として、究極のとは云わないまでも多少構成を整理できるような機器を導入してみたい、とのアイデアに至る。端的に云えば従来は無かったカテゴリの「ストリーミングプロセッサー」とメーカーが呼んでいる機器( Auralic Aries S1 )である。もちろん、ストリーミングの対応として当方はAmazon Musicがはずせないので、これがしっかりと備わっている前提である。音がレベルダウンしてしまうのは困るので、同等レベルの担保は欲しい。

Auralic Aries S1:上が本体、下はオプションとなる電源筐体
Auralic Aries S1

ストリーミングプロセッサの基本としてAuralic Aries S1という機器を紐解いてみれば、

1.デジタル出力のみ(DACは後段のデジチャンの部分を使うので当方には不要)
2.DSP機能としてサンプリングレートの自在な制御やデジタルイコライザ機能の装備
3.他の機器のデジタル信号を受付け、これに対して上記DSP機能を介在させた上でデジタル出力が可能(注記)

(注記)これに対応しているネットワークストリーマは(把握している限りでは)現状他には無い。Auralicも以前より充実した製品ラインアップを持っているが、本機能は初の搭載。ストリーミングプロセッサーと呼ぶ所以であろう。Eversoloでも豊富なデジタル入力を備えているがデジタルイン、デジタルアウトの機能はない。
(2025年3月26日追記:Eversolo DMP-A10はデジタルtoデジタル機能を持つことを確認、上記記述を訂正する。(追記終わり)

という当方の興味のある要件は満たしている。更に付け加えるならば、以下の希望事項もあるのだが、

1.高品位クロックの搭載(マスタークロック無しでもある程度の音を確保)
2.ネットワークはSFPポートを持つ
3.Amazon Musicに関してBluesound Node以上の操作性

SFPポートは備わっていないので光ファイバー直という構成はとても残念なのだが対応不可である。また音質や操作性はやはり使ってみた上でなければ体感としての評価はできないだろう。100点満点ということはまず無い、と予測は付くけれど合格の範囲となるかどうか、、、Auralic Aries S1からのUSB出力をMUTEC MC-3+USBに入れないと現状の音を担保できないとなればシンプルな構成にする、という狙いは元の木阿弥ともなってしまう。

Auralicは国内にディーラーがないので、試聴は叶わないし実物を見ることもできない、など調達の難点はある。だが実際はBluesound NodeもEversolo DMP-A6もネット情報だけで直感的に行けるんじゃ、ということで導入したもの。「ストリーミングプロセッサー」、やはりちょっと面白そうである。