宅内配線に悩む:
今はもう無線、有線に係わらずネット環境の無い生活は考えられないし、オーディオに於いても然りである。ひと昔前であれば、ネットワーク環境とオーディオは無縁の存在、場合によってはパソコンなども含めてオーディオ環境と同居することすら遺棄される存在であった。
しかしながら、PCオーディオの類が侵食を始め、NASに置いたリッピング音源の再生、さらにiPAD等からの無線によるリモート操作などが当たり前の時代になって、ネット環境もまたオーディオの「重要なパーツ」として既に確たるものになっている。また最近はストリーミングがオーディオの音源として主役に躍り出てきたことも勘案すれば、より重要度が増したと云えるだろう。
音楽再生において宅内のLAN環境から更にワイドなネット環境の恩恵を享受することになる訳だが、それではどのような構成や機器がベストなのか、と振り返ってみても実は自分自身でも案外と心許ない。重要性は認識していても、音との相関関係を具体的かつ論理的に語ることが難しいのだ。
「オーディオ」という魔物にネット環境が取り込まれていくに連れて、様々な都市伝説的なものもここに生まれてきて真実がどこにあるのか今もって茫として判らない。もちろんいろいろな構成を試し、自分なりに納得したものを取捨選択してきた訳だが、それでもまだ全く正解には辿りつけていないようにも感じている。
考えるべき要素として伝送速度、有線/無線、LANケーブル(ケーブルカテゴリあるいはメタル/光)、ハブなどの機器の構成、電源環境とノイズ対策、、、最終的には音楽を聴いて自分での判断となるのだろうけれど、それぞれのある種微妙な差異を「明確に聴き分ける」ことは当方には出来ていない。
それもあって、概ね以下のような構成と考え方で運用してきた。
1.ハブはカスケード構成として最終端のハブにネットワークストリーマとサーバーPC(NAS相当)を接続。
2.終端のハブまではメディコン/光で接続。(再生機器はSFPポートを持っていないのでここはメタル)
3.Wi-fi機器とルーターとの接続は上記のルートと分け、ストリーミングはWi-fi機器を経由させない。
4.ケーブルや機器については「オーディオ用」と銘打ったものには敢えて拘らない。
ノイズ対策等はLANケーブルをヴィトロバームにグル巻きする程度でお茶を濁してきてもいるのだが、このレベルにてまぁまぁかな~とも思えている。だが、自分自身の音楽の聴き方の変化、即ちストリーミングが主体となるにつれて、もう少し何かやった方がいいかもと思い始めたのだがあまりこれはという案が浮かんでこなかった。
そもそも、ネット環境の機器構成にて「音が変わる」ということに関して、多少否定的にも考えてきたし、もし「変わる」としてもそれを論理的に因果関係を含めて自らに説明できないのだ。もちろん、伝送経路の品質によって実測の速度は変わる。伝送エラーと再送が頻繁に行われてしまうような環境であれば、結果的に伝送速度は落ち込む。だが、受け渡される「データの完全性」が損なわれることは起きない。伝送速度に関してはむしろ「遅い方」が良いような気もしていて、意図して100Mbpsを使ってきた経緯もあるくらい。
ノイズの飛び付きやノイズ伝播という観点でも、一般家庭では工場その他程の劣悪な環境ではないので、強い説得力はないけれど信号線に機器自体が発する電源系ノイズがメタルケーブル使用の場合乗ってしまう、ということは考えられるだろう、、、
(参考)ネットワーク機器の中でもハブに関しては多少の猜疑心もあって、いろいろとネット情報を調べたりChatGPTに尋ねてみたりもしているが、未だ定かなことは判らず仕舞いで多少もやっとしている。
だが、オーディオに於いては「それでも音が変わる」ということが全てに優先される。本来的には「変わる」ではなく、「向上する」ということが最重要な課題のはずだが、感覚的な言葉を主体とした比較表現で是非を語ることしかできないようにも思えている。
もちろん、あれこれやったとて、よほどの愚策でもなければ、大幅に悪化することはないので、「きっと」良くなっているんだろう、という安心材料の為にやっているよな~と自分で反省するところもある。つまり、やらないよりはやった方が良い(はず)。
で、今般更にあれこれと頭を捻って考えてみたこと。それは宅内のLANケーブル配線の問題である。いくら終端のハブを光での接続としてノイズフリーにしようとしても、実はルーター(キャリア―からの貸与品でここは変更しようがない)からメディアコンバータまでの間にはいくつか課題となるものが存在している。我が家は集合住宅なのでバスルームの天井裏にルーターが入居段階から設置されていて、そこから各部屋まではお仕着せのLANケーブルが配線されている。そして、ハブの置いてある部屋では壁コンセントにRJ-45ポートがあり、そこを使って接続している訳だ。
LANケーブルの品位だの、メタルより光だ、などと云ってみても、途中の経路はある種ミゼラブルな状態とも云えるだろう。逆に云えばそこに手をつけないことには期待するような効果は得られないんじゃないか。また、現状あまり効果を実感できていないのは、そこをほったらかしにしているからではないか? そう思えないことも無いな~と。ここに手を付けているような事例はあるかな、とネット検索をしてみたがこれはという情報には行き当っていない。
仕方なく一番良い案かもと考えてみたのは、このキャリアーから提供されているルータに最短かつ高品位のLANケーブルにてメディアコンバータ(将来的にはここをSFPポート付きハブへ?)と接続し、そこから終端のハブまでを(一本の)光ファイバーで接続するプラン。言うなれば「Simple is the best」の経路の実現だと思う。是非ともこれをやってみたい。
プランとして考えてみた構成:
だが、難易度の高い問題がある。天井裏、そして壁の中に光ファイバーを通さなくてはならない。天井裏はそれほど隙間が無いので自分で入り込んで配線するようなことはどうにもできそうにもないのだ。また、天井裏を這わせたケーブルを壁コンまで落として引き出さねばならない。これができれば、何となく「もうこれで充分なんじゃ」とも思えるような構成なのだが、、、
あるいは宅内配線だけを光ファイバーに変えるような工事をしてくれるところがあるんだろうか。ネット検索をすれば、それらしい工事はできなくもなさそうには思えてくる。ここはもっと調査しなければ、、、と悩むことしばし。だが、その前に単純な実験ならできるかも!?
バスルーム天井裏にメディコンを仮設し、そこからそのまま(点検口を経由して)ケーブルを引き出し廊下を這わせてしまうのだ。光ファイバー自体は部屋の中でも剥き出しになってしまうのだが、そのままもう一方を終端ハブのSFPに入れる。構成、接続としては目指すシンプルさが(実験レベルとしても一応は)実現できる。素性の判らない宅内配線も壁コンモジュラージャックも排除。これで音が良くなったと思えなければ、そもそも変化などないと云えてしまうかもしれない。
(不幸にして?)効果が感じられるようなら、天井裏のメディコンの部分を終端ハブと対になるようなSFP対応のハブへ新たに入れ換える案もいいかもしれない。後は万難を排して光ファイバーの配線をしてくれる業者を探すのみ、となる。で、急ぎ実験を始めようと思ったのだが、何と光ファイバーの長さが少々足りない。本来光ファイバーは数十メートル程度ではメタルケーブルと違って減衰の影響を受けないのだが、何をとち狂っていたのか、短い方が良い的な感覚でケーブルを購入していたようで、手持ちのケーブルでは僅か届かない。しもた、、、逸る気持ちもあるのだが、あと数日は待たねばならない。
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