オーディオ日記 第57章 道の向こうへ(その24)2024年 8月13日


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音を進化させたい(その4):

さてもさても遊びの種は尽きまじ? このところ自画自賛的な表現が続いてしまっているが、それでもなお(当たり前であるが)完璧な音に仕上がっている訳ではない。もう少しなんだよな~というもどかしい気もありつつ、厳密にチェックしていると気になる点もやはりいくつかは顔を出してくる。その中のひとつについて取り急ぎ対応してみたものが今回の内容。

女性ボーカルが音源にもよるのだが、声の張りが強すぎるかなと思われるものがある。音源依存として放っておいてもいいレベルかもしれないのだが、気になりだすと何とかしたくもなる。そこでまずボーカル帯域を中心に周波数レスポンスを厳密に確認してみることとした。通常はOmni Mic V2の測定用音源(Short Sign Sweep信号)で測定しているのだが、細かい山谷はありながらもきちんとした測定は当然できている。だが、どの周波数の部分にこの声の張り(=若干の圧迫感を感じさせる部分)があるのか特定できてはいなかった。Short Sign Sweepはごく短時間に20~20,000Hzを遷移する音なので人間が耳で聴いてあれこれと判断したり、当たりが付けられるようなものにはなっていない。

そこで考えてみた方法は、Tone Generatorを使用して、まずは左右別々に声の基音と思われる100~500Hzのレンジの音を1Hz刻みで変化させながら再生する。そして、その音をOmni Mic V2の音圧レベル測定で把握する。音圧自体はかなり精密にdB SPL(Sound Pressure Level)で捉えられるし、視覚的にも棒グラフで認識できる。また、周波数の遷移に合わせた音圧の変化を聴感でもしっかりと把握できるので判断し易い。この実験の結果、左チャネルは385Hz、右チャネルは380Hzにピーク性の音圧上昇があることを確認できた。聴感上でもこの音圧上昇を認識できているが、測定によって裏付けされているので心強くもある。なお、左右の中心周波数が同じではないのだが、部屋の影響と考えればあり得ることなんだろうと思う。いずれもかなり狭い周波数範囲での音圧上昇であるため、定在波(あるいは共鳴?)が要因と推測される。この周波数は人間の声のレンジ内の中でも重要な部分なので、まずはこれをつぶした対応で改善できるかトライしてみた。

Sound GeneratorとOmni Mic V2でのピーク測定:(左チャネル、385HzのSPLを測っているところ)
Peak Measurement

あまりあれこれと補正などによって音を弄ってしまうと音楽(あるいは声)の生気を奪ってしまう恐れもあるので、取り急ぎ今回把握できた周波数に限定してEversolo DMP-A6のパラメトリックイコライザ機能によって補正を掛けるのだが、Q(肩特性)を大きくすることによって影響を受ける周波数範囲をごく狭くすることが可能。この辺りの設定が左右チャネル独立の上で自在にできるのはEversolo DMP-A6の大きな機能アドバンテージだと思う。
(参考1)補正内容は、左チャネル385HzのPeakフィルター、Qは14、出力レベルは-4.0dB、右チャネルは380HzのPeakフィルター、Qは14、出力レベルは-3.0dB。今までの補正は低域(300Hz以下)の微調整に留めていたのだが、今回はミッドローの受持ち帯域となる。

で、結果としての音であるが、冒頭に述べたような特定の声の張り、というものは予想以上に改善されている。更に普遍的な音に近づいた?と思える。もちろん僅かな補正なので劇的という程ではないかもしれないが、ここまで煮詰めてくると僅かに気になる点も解消させたいもの。その観点からはこの対応がうまくヒットしてくれたようだ。また声全体の質感を損なっていない点は付け加えるべき重要なポイントだと思う。

(参考2)使用したSound GeneratorはWEBブラウザベースで簡単に音が出せる「 Online Tone Generator 」というもの。ネット上を探せば比較的簡単に使えるものがいっぱいあるがワンクリックで1Hz刻みに周波数を変えていけることから使ってみた。なお、特定の周波数レンジに区切ってスィープ信号を出して、およその当たりを付けたい場合は、「 こちら 」も便利。ブラウザからUSB出力させてそれをMUTEC MC-3+USBに入力して音出しをしている。なお、ノートPC一台で信号出力しながらOmni Mic V2の測定を同時に行っているので、シンプルに実験ができると思う。

パライコ設定画面:(左チャネル385Hz、Q=14、-4.0dBの設定)
Eversolo DMP-A6 Equalizer Setting


          DF-75 SONY SUP-T11構成の設定値(Memory2) / 2024年8月10日
項目 帯域 備考
Low Mid-Low Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- SONY
SUP-L11
(Experimental)
BeW-16
SONY
SUP-T11
Scan Speak
D2908
-
能率
能率(90dB基準相対差)
dB 97.0 (+7.0) 87.5 (-2.5) 110.0 (+20.0) 92.0 (+2.0)
定格値
DF-75の
出力設定
dB +0.8 +1.2 -7.3* +3.9
*Analog Att ON
マスターボリューム
アッテネーション
dB -9.0 -2.0 -3.0 -0.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB 0 0 -12.0 -12.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 88.8 86.7 87.7 83.9
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz
300
300

680
700

3400
6300

High Pass

Low Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-12 12-12 12-12 6-flat
DF-75 DELAY
設定
cm -19.0 +22.0 -49.0 +20.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Rev Norm Norm  
DF-75 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-75デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない

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