オーディオ日記 第57章 道の向こうへ(その20)2024年 7月 3日


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時の流れに埋没する:

永らくオーディオに勤しんできたけれど来し方を振り返ってみても、音が「確実にブレークスルー」したと言い切れることは経験として実のところ殆ど無い。機器や設定を変えるることによって変化は起こる。だが、音楽の再生に於いてはそれは小さな変化であって、音楽、音源の持つ本質なところまで変えてしまうように作用している訳ではない。だがら、音楽自体の印象が全く変わってしまう、というようなことは無く、(良い音楽は変わらずに良い音楽であって)多少の細工では自分のオーディオの音が劇的に良くなった、との思いには至らない。

だが、僅かの変化(あるいは改善)の積み重ねによって、徐々に音楽そのものの聴こえ方が熟成していくことは実感するところ。実際に地道な対応を続けてきたことによって(それが成果かどうかは判らないが)今の我が家の音が形成されているんだろうとは思える。

一方で、時の流れは非情なところもあって、以前の音はこうであったと明確に語ることは既に出来ないし、昔の音に単純に戻すようなこともできない。随分と長い間「酷い音」を聴いてきたんだ、という認識だけはあって、今の音が万全ではないにしても、ずっと以前の音に戻ってしまうということは逆に恐ろしくもある。

自分のオーディオの音の変遷を客観的な成長グラフのようなもので表すことはできない。従って、どのように変化、熟成してきたのか、その程度を量的なものに置き換えて可視化し判断することも極めて難しい。いつまでたっても自己採点という枠の中で相対的に音の変化を捉えるのみ。云い換えればそれはつまり自己満足でしかないのだが、結局そのようにしか評価することが出来ず絶対値として音の進化を把握することはできていない。

最終的には「音楽を聴く」という過程で、己の感性がここでの(自分の好きな)音楽を今ここで鳴っている音で受け入れられるのかどうか、そういうことになってしまうのだろうか。そして音楽がもたらす「感動の質」そのものはオーディオの滑った転んだ程度では良い音源であればあるほどあまり差が無かったりもする、、、

だから音にまみれて、その音楽に自分の魂を浸すことができるならば、それ以上のことは本当は必要ではないのかもしれない、ということが頭をよぎることもある。物事を突き詰めて考えることの難しさはここにもあって、何が普遍的な真実なのか、それが自分にとっても同じ基準で真実なのか、その境界が曖昧で自分でも明確には判っていないことが一因なのかもしれない。

デジチャンは3代目となる:Accuphase DF-75を導入
Accuphase DF-75

今般、左様な(ある種屈折したとも云える)いろいろな想いを持ちつつ、我が家のオーディオシステムの核であるところのデジチャンを更新したが、この成果を一言で語ることはできそうにもない。確実な変化(注記)はここにある。だがそれが、自分にとってのオーディオの音、そして音楽の聴こえにどの様なインパクトをもたらしてくれているのか、正確に表現することがやはり難しくもあるのだ。

(注記)旧機種の設定を移したのみでエージングや微調整もこれから。だが流石にアキュフェーズでDF-55からDF-65に変えた時以上と感じるものがある。個々の楽器の音、音楽全体の自然さが比類ない、と云えば良いだろうか、、、

この変化を「熟成」への次の一歩となるように現実の音と結びつけるためには、更にいろいろな試行錯誤が不可欠となるだろうと経験上理解できているし、そのプロセス自体がオーディオの醍醐味でもあると思う。出来得るならば、理想の音(この実体は今でも不明なのだが)を朧げながらにでももたらして欲しいとは思うけれど、やはり夢は夢でしかないことを一方で冷静なる理性は語りかけてくる。

マルチアンプシステムによって妄想の中の音を具現化することをずっと夢見て来た結果として、チャンデバ自体は7代目(デジタルでは3代目)となったのだが、長き期間にわたってきたこの変遷と変化を絶対値として捉え、そしてそれを言葉にして伝えることは己の表現能力を越えてしまうところが多分にある。この機器のもたらす進化は我が家でモーツアルトやパガニーニの弦を聴いていただく以外にそれを伝える術はないのかもしれない、、、


                 DF-75 Bliesma M74B構成の設定値(Memory3) / 2024年7月2日
項目 帯域 備考
Low Mid-Low Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- SONY
SUP-L11
(Experimental)
BeW-16
Bliesma
M74B
Scan Speak
D2908
-
能率
能率(90dB基準相対差)
dB 97.0 (+7.0) 87.5 (-2.5) 97.0 (+7.0) 92.0 (+2.0)
定格値
DF-75の
出力設定
dB +1.8 +1.0 +1.2 +4.2
マスターボリューム
アッテネーション
dB -9.0 -2.0 -3.0 -0.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB 0 0 -12.0 -12.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 89.8 86.5 83.2 84.2
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz
280
280

710
710

3150
7100

High Pass

Low Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-12 12-12 12-12 6-flat
DF-75 DELAY
設定
cm -19.0 +22.0 +21.0 +20.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Rev Norm Norm  
DF-75 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-75デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない


DF-65設定のバックアップ(2024/07/02時点):これをベースに今後クロスオーバー周波数などを微調整
Accuphase DF-65 Setting Backup 20240702

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