オーディオ日記 第57章 道の向こうへ(その6)2024年 2月18日


TOP Audio Topics DIARY PROFILE LINK 掲示板

音源の評価と普遍性:

音源、部屋、機器、設定(含む使いこなし)という要素によってオーディオの音は成り立っているので、これら可変である各要素の微妙な組み合わせ、あるいは相乗効果によって最終的な出音に対する印象が変化していく。そして音源の評価(主として録音)もまたそれに連れて変動する。

これは貴重な音源と永らく思ってきたものも、いまひとつと思ってきたものも音源としての評価が上下するということであり、それを普遍性の獲得ということと単純に結び付けて考えてしまって良いものかどうか、正直判らない点はある。ただ、総合的に自分のオーディオの音が成長していく中で、かってこれは自分のシステムでの再生において「最高の音源」と考えていたものも徐々に輝きを失うことがままある。おそらくは当該音源と自分のシステムの音の個性(癖、あるいは欠点とも同義)が絶妙にマッチしていたことによる評価なんだと思う。

逆に平凡と思ってきたものが、案外と素直で好ましいとも受け止められるようになる。一般論的には音源の評価は「曲、演奏、録音」と思うのだが、その録音に対する受け止め方が、後段の部屋、機器、使いこなしや設定で同一にはならないことは(変化してしまうことは)万人が認める事実であろう。

これはまた、同じ音源を仲間のオーディオファイルのシステムにて拝聴させていただいても、我が家と同じに聴こえることはまずない、ということにも通ずる。曰く、オーディオファイルの数だけ音がある、ということもまた紛れもない真実、、、

今般、遮断特性の見直しに端を発して相当あれこれと従来に無い組み合わせも含めて試し、それぞれを必死に聴いて来た。つまりは音源、部屋、機器までが同じであってもある種単純な設定によって同じ音にはならない。これはオーディオ的には当然と云えば当然(何かを変えれば音が変わる、という点で)であろうか。

だが、ポイントなるのは、その変化や差異が「音としての向上」に繋がっているのか、単なる変化でしかないのか。その見極めである。その評価をどのように自分の中で消化していくのか。変化自体が質的な向上へと昇華していなければ、おそらくその変化には価値が無い。

自分なりに考えてみたことは、音源の(主として録音部分の)評価に対するカバレージが広がるかどうか、という点。つまり、特定の音源(だけ)が良く鳴るような設定は却下であって、万遍無くそこそこに鳴る、ということの方がむしろ大事じゃないか、ということ。冒頭に記載したような「普遍性の獲得」を評価基準と考えても良いのではないかという仮定である。

その観点に立って、今般行った遮断特性のいろいろなケーススタディーを総括してみると、朧気ながらも自分なりには答えが見えてくるような気もしている。ひとつは、(従来若干不得意と考えてきた)バイオリンソロの鳴り方。繊細さや透明度のみならず、太くダイナミック、時に刺激的であってもそれが音楽として心地良く受け止められるかどうか。そういう音が出せているかどうか。

さらにはオーケストラ。厚みがあって解像度高く、弦の浮遊感が際立つこと。もちろんここぞという時の低域の爆発、押し出し感は必須。それも決して重くなってはいけない。各種の楽器の音色がその位置関係の再現も含めて納得でなければならない。そのような充実した再生が、適度な音量であっても実現できているか。

POPS系のボーカルにおいては、鮮度感が重要で声や楽器に対するそれぞれのエフェクター類の使用状況が手に取るように分かり、またそれがトータルとして心地良い音楽の提示となっていなければならない。

このようなある種過度な要求、我儘とも思える点について、よりバーサタイルな対応ができてきたのか、そしてどのような音源に対しても、その録音の個性と思える点を許容できるか。多分、それぞれの「音」云々よりもより総合的に「音楽」そのものに向き合えるようになることが大切なポイントで、それが普遍性の獲得ということに関する評価軸になるのではないだろうか。(自分なりではあるが)そう思うようになってきた。総合的な再生能力の向上の判断は少数の音源に依存してはならないのだ。

この観点で改めて遮断特性の見直し、調整について評価してみると、一定程度の普遍性の獲得には寄与しただろうと(甘い採点かもしれないが)考えられる。現在は中高域のユニット(BliesmaとSony)以外は固定して調整しているが、中高域のユニットにおいてはどちらを使った場合でもほぼ同じような再現性が確保出来てきた。これはもしかしたら、ユニット自体の個性を埋没させてしまっているんでは、という危惧も無く無ないが、普遍性という尺度で考えてみれば、このこと自体はマイナスではない、と云えるだろう。

4way構成の各ユニットの音をリスニングポイントにて音楽としてトータルに溶け合わせることの難しさは痛感してきたが、やっと光明(薄明りに近いけれど)が見えてきたのだろうか、、、マルチアンプシステムに取り組んでもう何十年も経つのだが、その設定に関しては、本で読み人から聞いたこと、それらをベースに頭で考えてきたオーディオの常識に囚われていた部分もあったようにも思う。結果論的には掟破りのもっと自由な発想で良かったのかもしれないし、感性の赴くままに(測定は重要だが)音楽を受け入れ自分のオーディオシステムの音を評価すれば良いのだ、と。

そうやって出来上がった今の音は現状の環境、構成におけるひとつの到達点かも、と思うところもある。だがこれは云いかえれば、ここが自分の(部屋ならびに機器における)オーディオの「限界」なのかもしれない、、、


                 SONY SUP-T11用4way構成の設定値(2024年2月18日暫定)
項目 帯域 備考
Low Mid-Low Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
(Experimental)
BeW-16
SONY
SUP-T11
Scan Speak
D2908
-
能率
能率(90dB基準相対差)
dB 97.0 (+7.0) 87.5 (-2.5) 108.0 (+18.0) 92.0 (+2.0)
定格値
DF-65の
出力設定
dB +1.8 +0.7 -7.0* +5.5
*Analog Att ON
マスターボリューム
アッテネーション
dB -9.0 -2.0 -3.0 -0.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB 0 0 -12.0 -12.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 89.8 86.2 86.0 85.5
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz 45

355
355

1000
1000

5000
5600

High Pass

Low Pass
スロープ特性
設定
dB/oct 6-18 24-12 6-12 12-flat
DF-65 DELAY
設定
cm -19.0 +20.0 -47.0 +20.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Norm Norm Norm  
DF-65 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-65デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない

next index back top