オーディオ日記 第56章 音楽三昧の日々(その15)2023年12月16日


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ニコロ・パガニーニ:

我が家のベリ三兄弟の熟成もある程度は進んできたのだと思うが、バイオリンがとにかくいい感じで鳴ってくれている。もともと小編成の弦楽曲が好きなので、モーツアルトのみならずボッケリーニやパガニーニなどを日がな一日まったりと楽しんでいると云えば良いだろうか。(これで縁側で日向ぼっこをしながら、となればまぁ年寄りそのものなのだが、、、)

音楽の好みという観点で考えてみると、個々の曲には依存せずに好きな作曲家、というものがやはりある。作曲家固有の音楽的傾向(曲の雰囲気やメロディーなどに代表される特徴)が自分の感性に合うかどうか、ということなのかもしれない。総じて穏やかで旋律が美しく流れていくものがお気に入り。

弦楽四重奏やバイオリンソナタなどが中でも好きなジャンルなのだが、どういう訳かバイオリンソロは少し好みからは外れる。我が家のシステムがもしかしたらバイオリンソロの再生を不得手としていたのかもしれない、とも思う。そういうこともあって改めていろいろな演奏家でパガニーニの24のカプリースを聴き比べていたのだが、従来は感じ取れてはいなかったような発見があった。

一般論的過ぎるかもしれないが、パガニーニと云えばこの24のカプリースに代表されるようなバイオリンの演奏技巧的なものがイメージされるようにも思うけれど、そこかしこに宝石のような歌心が散りばめられているという印象なのだ。この辺りは今までの当方の再生装置のレベルでは感じ取れなかったものなのか、当方の受け止め方が少し変わってきたのか、そこはまだ自分でも消化できてはいないけれど。

だが、もしかしたら自分の好きな作曲家達と音楽的傾向が似ているのかもしれないと改めて感じたこともあって、パガニーニのその他ジャンルでほとんど聴いたこと無い音楽を探してみたのだが、とりわけ弦楽四重奏曲が何とも自分の感性にぴったりと寄り添ってくれる。派手で抑揚が大きいというような音楽では全く無く、むしろ意外なほど穏やか(人によっては単調と思えるかもしれない)。ギターが含まれている四重奏でギターがひっそりとバイオリンに寄り添っているイメージでこの点も好ましい。

Paganini Ensemble Vienna:密林のストリーミングだが好み、網羅的に聴くならSalvatore Accardoもお薦め
Paganini Ensemble Vienna なお、まだYouTubeでしか聴けないが断然 Himari

浅学にしてパガニーニの残した音楽についてあまり詳しくは無いのだが、有名な24のカプリースやバイオリン協奏曲(第二番のラ・カンパネラはリストが聴いて感激し自らがピアノのパガニーニになると決意したという有名な逸話がある)を除けば、実は残された楽譜(楽譜が残されず失われた曲もかなりあるらしい)の多くはこの弦楽四重奏(またはそれに類する)のジャンル。そしてそこにはほんのりと明るく優しい歌が溢れている。

実際パガニーニがどういう人であったのか知識が余り無かったので 伝記 に相当する書籍を購入して読んでみたが、波乱万丈とまではいえないけれど結構人生の浮沈があった人のようで考えさせられる点が多くあった。前述のリスト以外にも当時の作曲家(シューベルト、シューマン、ロッシーニ達)にも多大な影響を与えた由。作曲家の人物像と創り出された音楽のギャップというものは常にあるものなのだが、バイオリンの演奏において悪魔のバイオリニストと呼ばれるほどの超絶的な技巧を持っており、各地への演奏旅行によって欧州中を席巻した(結果として当時としては稀なほどの収入も得た。その上で現代に残る 名器 といわれる楽器を蒐集して後世に残した功績も大きいと思う)という艶やかな人生は、少なくともこれらの弦楽四重奏の音楽の中では影を潜めている。

当時の作曲家の幾多の例にもあるように、病に苦しんだ上で亡くなったが、音楽の中にそのような苦渋を感じることはないし、モーツアルトのような悲しみの疾走を見ることも無い。天性の「歌」がここに流れていくのだ、、、

このような音楽を聴きながら思うことは、幸せの人生というのは稀なことなのかもしれない、という現実。誰しもが幸せの人生を送りたいと願うはずなのだが、穏やかに人生を終われることは必ずしも多くはない。

自分にとってオーディオの真の目的は音楽を聴くことの幸せを噛みしめることに尽きるはずなのだけれど、今まではそれを必ずしも実感できないでいたことは紛れもない事実。それ故にあれこれと足掻いてもきたし、音楽よりも音を聴いていると指摘されてしまうようなオーディオファイルとしてのマイナス面が自分にも多分にある。それはとりもなおさず、幸せの音楽(そして幸せの音)を手に出来ていない故なのかもしれない。

達人たちの指南を受けた後、更にベリ三兄弟の自分なりのベストな設定を模索してきた。完全に納得とは未だ云い切れないところもある。けれど弦の再生に於いて、新しい世界が垣間見られたようにも自分としては感じている。これからはバイオリンソロを聴く時間も増えるかもしれない、、、


                 4way構成の-12dB/oct設定値(2023年12月16日)
項目 帯域 備考
Low Mid-Low Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
(Experimental)
BeW-16
Bliesma
M74B-6
Scan Speak
D2908
-
能率
能率(90dB基準相対差)
dB 97.0 (+7.0) 87.5 (-2.5) 97.0 (+7.0) 92.0 (+2.0)
定格値
DF-65の
出力設定
dB +1.2 +0.7 +2.1 +5.5
マスターボリューム
アッテネーション
dB -9.0 -2.0 -3.0 -0.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB 0 0 -12.0 -12.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 89.2 86.2 84.1 85.5
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz

355
355

1120
1250

5000
5000

High Pass

Low Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-12 12-12 12-24 24-flat
DF-65 DELAY
設定
cm -7.0 +22.0 +20.0 +25.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Rev Norm Norm  
DF-65 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-65デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない

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