オーディオ日記 第55章 この道はどこへ続くのか(その21)2023年8月22日


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価値と価格:

オーディオを永らくやっていると機器の価値と価格のバランス感覚がどうにも狂ってくるような気がしている。もとより趣味の範疇なので、この世界に興味の無い人間から見れば、オーディオ的価値観がそもそもおかしいとは思われているかもしれないけれど。

そんな感覚のズレを承知の上でちょっと紹介しておきたい品がある。ひとつは FX-AUDIO Petit Tank (Limited Edition) というバルクキャパシタ(コンデンサーバンク)である。DC電源の瞬間的供給能力をコンデンサを並列に繋ぐことによって補うという発想の製品で僅かに三千円程度。元々はラズベリーパイのACアダプターの能力を補えれば、という目的で購入したもの。ラズパイを使っておられる方は経験したこともあると思うが、「Under Voltage」という状態がラズパイでは案外起こる。ラズパイといえども、1.5GHzの4コアのCPUなので負荷が立ち上がった時にはそれなりに電力を消費するし、USB 3.0接続で外付けSSDを使う時などは(USBのバスパワー使用なので)さらに逼迫する。

このような目的、構成で使うには申し分のない製品なのだが、ちょっと遊び心でBluesound Nodeにも使えないか試してみた。同社のこの製品に対する 公式ブログ をふと眺めて案外面白いかも?と思ったことが直接的な動機である。通常Bluesound Nodeはメガネケーブルによる100V給電なのだが、当方は電源系をFidelity Audioの 電源I/F Card に変更していることもあって、5V DCの給電を行うスタイルである。従って、電源とNODEの間に単純にこれを挟めばOKなのだ。

Bluesound NodeのユーザーにはこのFidelity AudioのI/F Cardをお使いになられている方も多いと思うが、是非このバルクキャパシタを試してみていただきたいと強く推奨できるほど。容量はI/F Cardに対して15%程度のアップ(18,000μF+2,640μF)となる。かく云う当方もお遊びのつもりが最早はずせなくなってしまい、本来のラズパイ用にはもう一つ購入せざるを得ない。

FX-Audio Petit Tank(Limited Edition):2,640μF Strongly recommended !


参考画像:Bluesound Node用電源インターフェースカード 18,000μF(Fidelity Audio製)
Interface Card

また、別件となるが価格との関連で、マスタークロック(10MHz)をお使いの方にはクロックの送り出しに関して一般的なBNCケーブルではなく、Cybershaft社の セミリジットケーブル (50/75Ωいずれもあり)を是非とも使ってみていただきたいと思う。これも数千円の範囲である。既に超高級クロックケーブルを使用されている場合はともかくとしても、そこそこ高価なオーディオ用?クロックケーブルの導入よりはお薦めできる。

左:セミリジッドケーブル(50Ω)と整合器、右:Eversolo DMP-A6(画像は借用)
Eversolo DMP-A6

当方は、まだ購入していない製品なのだが、このところ「 Eversolo DMP-A6 」というミュージックプレーヤーに相当強く興味を惹かれ、あれこれと研究している。とにかく製品として機能が満載、そして機器として外観の魅力も申し分ないし、何より価格がリーズナブル。もちろん例に漏れず中華製品なのだが、この価格(16万円程度)にはやはり唸らざるをえない。WiiM勢ほどの超廉価のラインではないのだが、逆に云えば「オーディオ機器」として見た場合には破格だと云える。一見してAuralicと似たような外観であるのだが、価格は遥かにリーズナブルだし、現時点でも既に国内で 購入 できる。デジタル入出力も豊富(HDMI、USB出力も可)だし、機能的な部分を単純比較してもAuralicよりは多様な使い方ができそうなところはかなりのアドバンテージ。

総アルミ製の筐体で、6インチカラーディスプレー装備、ESSのES-9038Q2M DACをDualで搭載、アナログ出力は何とバランス出力まである。さらには筐体の底面にはM.2 NVMe SSDを自分で装着できて、単体でミュージックサーバーとしても完結できる。付け加えるならば、sambaの機能もあって音源サーバー(NAS相当)として他の機器から利用することまでできてしまう。各種ストリーミング対応に関してはTidal、Qobuz、Roon Ready、Amazon Music、そして驚くことにApple Musicまでも!

ただし、Apple Musicの対応はやや特殊な対応スタイル。Amazon Musicも未だ発展途上にある模様(Forum等で詳細情報収集中)。これだけの機能があれば、セカンドシステムとしてアクティブスピーカー(バランス出力があるのでプロ用も対応可)とのシンプルな組み合わせで使う場合も含め何ら不足の無いレベル。Amazon Music対応如何では是非とも購入したくなる。

なかなか登場してこないSFORZATO DST-Lacertaとほぼ同等の価格帯なのに、機能のみならずオーディオ機器としての格も違うと思う。国内製品を応援したい気持ちはあるのだが、ここまでの差があるとやはり考えてしまわざるを得ない。

つまるところ、製品の相対的な「価値」そのものが重要事項だと思う。趣味の世界である以上はあまり価格のことをとやかく云っても、なのだが、リーズナブルで魅力いっぱいの製品であれば、やはり欲しくなってしまうもの。出てくる音とのバランスはあると思うけれどけれど、この選択は極めて自然なことだと、、、


                 4way構成の設定値(2023年8月17日暫定)
項目 帯域 備考
Low Mid-Low Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
SB Acoustics
MW16TX
Bliesma
M74B-6
Scan Speak
D2908
-
能率
能率(90dB基準相対差)
dB 97.0 (+7.0) 87.5 (-2.5) 97.0 (+7.0) 92.0 (+2.0)
定格値
DF-65の
出力設定
dB +0.0 +0.3/-1.0 +3.0 +3.5
マスターボリューム
アッテネーション
dB -9.0 -2.0 -3.0 -0.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB 0 0 -12.0 -12.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 88.0 85.8/84.5 85.0 83.5
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz

250
250

900
1000

4000
5000

High Pass

Low Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-24 24-24 24-24 24-flat
DF-55 DELAY
設定
cm -8.0 +19.5 +22.5 +25.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Norm Norm Norm  
DF-55 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-55デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない

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