オーディオ日記 第55章 この道はどこへ続くのか(その18)2023年8月10日


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絶望の密林:

深く緑に覆われたジャングルに降り立つと人は方向感すら失う。木々や下草が邪魔をして望む方向に遅々として歩けず、いつしか進むべき道も失って彷徨うこととなる。呼吸すら苦しくなってくる温度、湿度だし、あまりに茫とした世界に自分の居場所すら判らずいつまで経っても目的地に辿り着くことができない。密林は厳然としてそこにあり、人間を顧みるようなことはしない。自らの自然の摂理に従いただ存在し続けるのみ。

Taktinaがやっと リリース かと思えば、密林音楽への対応は無い。Tidal、Qobuzがサポートされているが、未だいずれも国内での正式サービスではないという矛盾を抱えている。Tidalは結局MQAの足枷を引き摺ることになってしまったし、現状のQobuzは国内からチェックを回避して新規加入することはほぼ困難な状況。何とも不都合な状態が続いている。それ故だろうかDST-Lacertaの製品リリースは未だ「 待ち 」のままになっている。また、Silent Angelは現状密林音楽の再生の術を 失った まま。いつまでも認証を受けられないメーカーにとっては大きな痛手となる。一方で、密林の威を借る超廉価なWiiM勢は快進撃していると云って良いだろうし、Bluesound勢も現時点まではそれなりに健闘してきた。そしてWiiM ProにおけるAmazon Castの使い勝手は良くも悪くも特筆するものがある。

このような落差の真因は何なのだろうか。密林音楽対応製品を作らんとしているメーカーにとっては死活問題にもなるのだが、密林は「認証」を盾としてそう簡単には動かない。そもそも、急ぐ必要もない。スマホやタブレットで音楽を聴くという大きなターゲット層にフォーカスしているだろうし、パソコンなどでも取り敢えず「聴ければ良い」というレベルで課題などはお茶を濁す。巨大なマーケットの占有を意図していればこそ細部(オーディオファイル?)は切り捨てる戦略であって、マジョリティのみを意識する方向性はちょっとくやしいけれど論理的には正当だと思わざるを得ない。

そして、そのような戦略はうっかり密林に近づいたものへの思いがけない罠となる。Lumin、Linn、Roonが密林に近づかなかった(近づけなかったとも云えるのかも)のはある意味で正解だったのかもしれない。WiiM勢との価格競争になって勝てる戦略を描くのはかなり難しい、、、

このような現実を目の当たりにすればするほど、この混沌の密林から逃げ出したくもなる。だが、もうどっぷりと嵌り込んでしまっていてこのサブスクから抜け出すのは容易ではない。アナウンスされているQobuzの国内サービス開始を、このような事情から期待値大きく待っている。ポイントは国内楽曲の品揃えである。クラシック系の音楽が中心であれば現状でもQobuzの音源にも多少のアドバンテージがあり、実際に使いながら比較してみてもそう感じる。

密林音楽の国内楽曲の品揃えに関しては、それを常時聴くかどうかは別なのだが、大概のアーチストや曲には辿り着けるので、ふと聴きたくなった時に心強く頼りになるのは事実。Qobuzがこれに遜色ないほど、とまでは行かなくてもまぁまぁとなってくれるならば、サブスクを一本化しても良いだろうと思ってしまう。そしてオーディオ環境的に考えるなら、Qobuz対応であればより品位の高いと思われる「オーディオ」機器の選択肢には事欠かない。まだかまだか、と一日千秋の思いで密林対応を待つ必要もない。

だからと云って、現状の再生環境、機器に決定的な不足感、不満があるという程ではないというジレンマもある。むしろBluesound Nodeはネットワークストリーマとしての価格比で云えば機能、操作性、音質面でもかなり健闘していると思うのだ。そう思うことが、また抜け出せない一つの要因にもなってしまう、、、そういう自己矛盾も起きている。

サブスクによる音楽ストリーミングは手軽で廉価で、ユーザーにとっての恩恵は大きい。魅力のあるサービスであればあるほど、そのサブスク契約は継続せざるを得ない。ネット世界の巨人の前には最早、オーディオ機器メーカーには主導権はない。そして、ユーザーは密林を利用し続ける限りオーディオ機器の選択肢をも剥奪されてしまうことになる。

近未来を描いた映画で見たような既視感いっぱいの世界がここにある。そして、これはある種の快楽で縛られた絶望そのものである。

(2023年8月23日追記)
各ベンダーが密林の認証取得に四苦八苦しているようなので、状況を少し検索してみた。 Amazon Developer サイトに新たなDRMの仕組みを導入する件の記載があり、それによれば2023年8月31日までにその対応が必須としている。このことから、密林新APIはこのタイミングにてリリースされ、対応が完了しているベンダーはその時点で認証されるのかも? と推測している。(追記終わり)


                 4way構成の設定値(2023年8月9日暫定)
項目 帯域 備考
Low Mid-Low Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
SB Acoustics
MW16TX
Bliesma
M74B-6
Scan Speak
D2908
-
能率
能率(90dB基準相対差)
dB 97.0 (+7.0) 87.5 (-2.5) 97.0 (+7.0) 92.0 (+2.0)
定格値
DF-65の
出力設定
dB +1.0 +1.0 +3.0 +6.0
マスターボリューム
アッテネーション
dB -9.0 -2.0 -3.0 -0.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB 0 0 -12.0 -12.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 89.0 86.5 85.0 86.0
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz

250
250

800
900

4000
5000

High Pass

Low Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-24 24-24 24-24 24-flat
DF-55 DELAY
設定
cm -8.0 +19.5 +22.5 +25.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Norm Norm Norm  
DF-55 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-55デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない

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