Catch me, if you can:
4way構成のスピーカーユニット達と永い付き合いをしているとそれぞれの個性も少しづつではあるが理解できてくる。現状の中高域を受け持つユニットについて云えば、Accuton C51がチャーミングで華やかにも感ずるし、SONY SUP-T11は楚々として端正である。他の帯域のユニットは同一であっても結果としてその差は音楽の表現に現れてくる。この性格の違いというものはどのような要因によって生まれてくるものなのか正確なところは判ってはいない。周波数特性や能率、歪率などの物理特性も異なるので当然なのかもしれないが、最終的な4way構成としたときには全帯域の周波数特性はほとんど変わらないものになる。それでもやはり聴こえる音楽の表情は微妙に異なってくる。これを振動板や磁気回路の差異ということだけで片付けて良いものかどうか、、、設計思想や製造過程その他使いこなしを含むすべての要因が複合的に絡み合った結果なんだろうとは思うけれど。
Bliesma M74B:(高域ユニットとほぼ同等の外径サイズ)
事前にこのユニットにあわせて、ミッドハイ用のキャビネットを
kenbeさん
に作成いただいていたので、セットアップはごく簡単に終了した。ユニットを取り付けてみると、外形寸法がほとんど高域ユニットのScanspeak D2908と同じで視覚的には随分とバランスが良いようだ。逸る心を抑えつつ音出しチェックを経て使用する周波数帯域、出力バランス、タイムアライメントなど基本設定を測定しつつ概ねの準備を終える。まずは小音量での慣らし運転からとなるので、本格的に聴き込むようになるのにはまだまだしばらく時間が掛かるものと思う。
ルックス的には統一感がとれたかも:
しかしながら、現状は未だやっと音出しというレベルなのに、テスト的に聴いてみていても何かそれとなく妙な感じがするのだ。ユニットの音や性格について語るのはもちろん早急すぎると思うのだけれど、ユニットの個性というものは案外初期段階から感じられるもの。時には一聴して傾向が判ることもある。だが、このユニットは何と云えば良いだろうか、有体に云えば得体が知れないのだ。薄暗く仄かな景色というものではない。輝く明るさでもない。例えて云うなら、漆黒の闇の中から、気配を感じさせないまま音が忽然と現れ空間に散り嵌められる。そしてその音からはキャラクター的なものを感じ取らせてはくれない。
世にはスピーカーが消える、という言葉はあるけれど現実にはそんな理想的なことはめったにあることでもないし、、、そう思いながら何かを捉えようと必死でユニットを睨みながらテスト試聴を続けた。すると、どこかで自分に向かって笑みが向けられているような不思議な気持ちにもなって、ふっと心に? 浮かんできた言葉。
「捕まえてみて、できるものなら。(Catch me, if you can.)」
音の傾向把握や分析などそんなに簡単にできませんよ、とユニットが抗っているんだろうか、、、でも、そういうことのような気もしてくる。なるほど、その挑戦受けて立たねば。
「おらぁ、すんげ~楽しみだぞっ!」
4way構成の設定値(2023年8月3日暫定)
項目 |
帯域 |
備考 |
Low |
Mid-Low |
Mid-High |
High |
使用スピーカー ユニット |
- |
Sony SUP-L11 |
SB Acoustics MW16TX |
Bliesma M74B-6 |
Scan Speak D2908 |
- |
能率 能率(90dB基準相対差) |
dB |
97.0 (+7.0) |
87.5 (-2.5) |
97.0 (+7.0) |
93.0 (+3.0) |
|
DF-65の 出力設定 |
dB |
+1.0 |
+1.0 |
-1.5 |
-1.0 |
|
マスターボリューム アッテネーション |
dB |
-9.0 |
-2.0 |
-3.0 |
-0.0 |
|
パワーアンプでの GAIN調整 |
dB |
0 |
0 |
-6.0 |
-6.0 |
|
スピーカーの 想定出力レベル |
dB |
89.0 |
86.5 |
86.5 |
86.0 |
|
クロスオーバー 周波数 |
Hz |
~ 250 |
250 ~ 800 |
800 ~ 4000 |
4000 ~ |
High Pass ~ Low Pass |
スロープ特性 設定 |
dB/oct |
flat-24 |
24-24 |
24-24 |
24-flat |
|
DF-55 DELAY 設定 |
cm |
-8.0 |
+19.5 |
+25.0 |
+25.0 |
相対位置と 測定ベース |
極性 |
- |
Norm |
Norm |
Norm |
Norm |
|
DF-55 DELAY COMP (Delay自動補正) |
- |
ON |
自動補正する |
DF-55デジタル出力 (Full Level保護) |
- |
OFF |
保護しない |
|