オーディオ日記 第55章 この道はどこへ続くのか(その12)2023年7月8日


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華麗なる音を求めて:

オーディオにおける「音」について、自分としては一体どんな音を求めているのかはっきりと自覚できている訳ではない。理想とする音のイメージも多少は言葉で表すことはできても、それを具体化する現実の方法論が定まっている状況にもない。

日々何となく自分の音の不満点を洗い出しては、それに対応するような施策を考えているレベルと云えば良いのだろうか。従って、明確なビジョンを基にステップバイステップでの実現策を実施できてはいない。そこに何となくもどかしさがある。単純に云えば「聴いていて気持ちの良い音」を求めていることは間違いないにしても、それを評価尺度として冷静に自分の音の棚卸しができてはいないのだ。

また、その評価の基準というのも日々フラフラと定まっていないようにも思えてしまう。目指すべき良い音のイメージを具体化して、それに向かって本来は(多少の試行錯誤はあっても)一直線に行動すれば良いはずなのだが、、、長年やってきても、このオーディオにおける単純な迷路からは未だ脱却できていないということなんだろうと思う。

日々聴く音楽に関して云えば、「そこそこ」と自分を納得させてている部分もないだろうか。多分に不満要素が日々の改善行動?へと結びつけるエネルギーの源泉だと思うが、そのエネルギー(あるいはパッション?)が息切れしているのかもしれないなと自虐的に思うこともあるし、いやいやある程度は煮詰まってきた音を出せているからこそじゃないか、などと慰撫してみたりもする。

だが、ここはもう少し、という部分を煮詰めてみるチャレンジもまた必要であろう。先に少し書いたが「華麗なる音」がもっと欲しいと思っているのだけれど、それをどのように実現すべきなのか方法論自体あれこれ考えてみても明確には判らない。音量そのものなのか、周波数バランスなのか、あるいは音のクオリティ自体なのか、、、

一般論的には大音量派ではないし、周波数バランスもフラットに拘る調整はしていない。端正な音を求めるあまり、豪放磊落さが無くなっているのだろうか。その辺りのスタンスを少し変えたらちょっぴりは華麗な音には近づくだろうか。スピーカーユニット自体を変えれば音の傾向も変わることは認識しているので、それも一つの手かもしれないとこのところ考え始めてはいるのだが、その前にやってみることはないか?

そもそも「華麗なる音」の自分なりの定義は何か? そこからしっかり考えないと下手な鉄砲になることは目に見えている。華麗なる音が欲しいと思った動機は何だったか、そこに一旦立ち戻ってみれば、それはチャイコフスキーやワグナー、マーラーの管弦楽曲、あるいは交響曲におけるブラス。これがさざめく弦に乗って(どう表現すれば良いのか迷うのだが)ぶりぶり~っと気持ちよく「咆哮」して欲しいのだ。だからといって、モーツアルトの弦のナイーブさを決して損なってはならない。

その煌めきは第一には音量なのかもしれない。あるいは瞬発力、高域の輝き? 音の純度? 広大なサウンドステージと奥行き感? 下支えしている低域の厚み? そのいずれもとも思えるし、より効果的となるようなポイントもこのどこかに潜んでいるように思える。

これらの改善は言葉で現すほど簡単なことではないし、全てを一足飛びにブラッシュアップできるとも到底思えない。それでもやってみようと考えたのは高域の輝き、そして音の純度、これを高められたら、求める音に少しは近づかないだろうか。

いくつかの施策に分解して考えてみた(優先度、コストなど順不同で思いつくまま)
1.高域の輝き
(1)単純には周波数バランスを変えて高域を上げてみる(まぁ、うまくは行かないだろうけれど)
(2)中高域、高域のユニットのスロープ特性を緩く(-24dB/octから-18dB/oct)してみる
(3)10KHz以上の高域を補う(スーパーツィータあるいは無指向性高域ユニットの追加)

2.音の純度
(1)クロックをより品位の高いもの(低位相雑音化)にする
(2)クロックケーブルを銀線にする
(3)スピーカーケーブルを銀線にする
(4)中高域のスピーカーユニットをベリリウム振動板のものする

現状の機器構成や用法から、とりあえず考えられるものはこの程度だろうか。購入が必要となるものはそのコスト(現実的な範囲が望ましい)把握や調達もあるので、手始めとして以下の2点を実施した。

1-(2)中高域、高域ユニットのスロープ特性変更(これは周波数バランス変更も含め即却下だったので不記載)
2-(2)クロックケーブルの銀線化(結果良好)

今後のプランとして導入推進したいものは
2-(1)高品位のクロックの導入
2-(4)ベリリウムの中高域ユニットの導入

先にマスタークロックからのケーブルをセミリジッドに変更し、整合器を加えた件を 記載した が、こちらが予想外に良かったこともあってもう一段高みを狙ってみたくなったことも一つの要因。そこで試してみたのがCybershaftの新製品の 純銀BNCケーブル 。Cybershaftの製品は良心的な品質で価格もリーズナブル。今まで純銀クロックケーブルはコスト面で若干の躊躇があり、システム上流に於いてこの部分だけ純銀化が出来ていなかった。劇的な変化ということはないので多分に気分的なものを含めてだろうけれど、やはり自分としては銀の音に惹かれてしまうことになる。

シンプルで軽量(リジッドタイプのケーブルではない):
Cybershaft BNC Silver

音の純度という観点では結果的に申し分なく同社入魂という表現もあながち誇大ではないとも感じた。そこで、、、あらためて考えざるを得ないと思ったのはマスタークロックをより高品位なものへ更新すること。このクロックケーブルは75Ω仕様であるが、当方のマスタークロックはCybershaft製品の中でも50Ωの送り出ししかできない若干古いもの。従ってトータルのパフォーマンスを更に向上させるとすれば、より高品位(位相雑音のレベルとして-116dB程度は欲しい)なもの、かつ75Ω出力を持つ製品に変えたくなってしまうのは必定、人情というものか。

選択肢としては現状二つと思う。Cybershaft製(サイン波)か、MUTEC Ref10(矩形波)。改めてMUTEC Ref10の情報を見てみようと思ったところ、、、ナント!  MUTEC Ref10 NANO という新モデルがアナウンスされているではないか。

世界初公開とか:(画像は借用)
MUTEC Ref10 NANO

50Ω、75Ω出力端子が2個づつ備えられているのはありがたいし、サイズ的にもMUTEC MC-3+USBとのコンビネーションには最適のようにも見える。MUTEC Ref10 SE120は当方にとってはちょっと持て余す感じもある(価格も)ので、俄然意欲が、、、今秋の販売開始予定で2000ユーロ強の価格情報もあるので、日本では30万前後だろうか。

但し、位相雑音の スペック は-112dB/1Hzということなのでちょっと物足りなくもあり、せめて-116dB/1Hzは欲しいかなと思う。Cybershaft製の方が位相雑音比であればコスパは良いが、標準モデルでは単一出力となってしまうこともあり、将来的なことを考えるとやはり複数の出力端子はあった方が良いのかもしれない。ここは迷うところ。いずれにしても音の観点からはクロックについてケーブルだけの対応で終わらせておく訳にはいくまい。

だが、音の純度を上げること自体は好結果であっても、それだけでは望む「華麗なる音」にはまだまだ行き着けないような気もしている。やはり同時並行的にベリリウム振動板を持つ 中高域ユニット についても推し進めるべきタイミングなんだろうと思う。


                 4way MW16TX構成の設定値(2022年1月3日更新)
項目 帯域 備考
Low Mid-Low Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
SB Acoustics
MW16TX
Sony
SUP-T11
Scan Speak
D2908
-
能率
能率(90dB基準相対差)
dB 97.0 (+7.0) 87.5 (-2.5) 110.0 (+20.0) 93.0 (+3.0)
定格値
DF-65の
出力設定
dB +1.0 +1.0 -9.0 +4.0
マスターボリューム
アッテネーション
dB -9.0 -2.0 -3.0 -0.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB 0 0 -12.0 -12.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 89.0 86.5 86.0 85.0
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz

140
140

710
710

4000
4000

High Pass

Low Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-48 48-48 48-24 24-flat
DF-55 DELAY
設定
cm -8.0 +19.5 -37.0 +25.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Norm Norm Norm  
DF-55 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-55デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない

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