オーディオ日記 第55章 この道はどこへ続くのか(その5)2023年3月14日


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出会いと別れ:

アナログ再生についてはさらっと語ることができないような愛着と葛藤がある。オーディオというものに目覚めて早半世紀が過ぎ、云うなればオーディオ人生の大半はアナログディスクと共にあった。デジタル再生ももう四半世紀はとうに越えているがそれに倍する時間、アナログ再生に勤しんできた訳だ。そして、そこでは喜びと挫折という複雑な想いをずっと引き摺ってきた。

オーディオにおいて至高を求めるのならばアナログ再生を極めるべきという考えは今でも変わらないが、現実はその通りには動いてきてはおらず、近年はもうデジタル再生一色に染まり、逆に何とかデジタルで最上の音を出したい、とアナログ再生を音の比較対象として考え足掻くことの方が多かったことも事実。心のどこかにデジタル再生でも納得の音楽を聴けるのではないか、という想い(あるいは密かな野心?)があったことも否めない。もとより、当方の所有してきたアナログ機材は究極を目指すようなレベルとは程遠いものなのでそれで音云々を語るべきものでもないのだが、、、

アナログディスクのほとんどは断捨離と覚悟を決めて既に処分してしまったのだが、それでもこのアナログへの未練があって厳選したディスク100枚程度と機材はそっくりそのまま残してある、という自分らしくない執着を生んでいたような気がする。今一歩踏み込んで、アナログからの卒業をしようと心を決めた。潔く決めたなら、もう振り返らず別れ行くのみ。

おそらく、それを後押ししてくれたのは最近のデジタル再生に対する自分なりの納得感なのかもしれない。元より、音源の量という観点ではある時点からCDがアナログディスクを越え、今やストリーミング音源がそのCDベースの量を遥かに凌駕してしまっている。

質より量とは云わないけれど、良い音源は多いほど好ましいと思ってきた。そして、それらのデジタル音源の再生が自分ではもうアナログ再生への未練は断ち切れた、と勇気付けてくれるくらいの質にはなってきたのかもしれない。あるいは、そのように自分で思い込もうとしているだけか、、、それとも単なる後付の理由(言い訳?)か。

アナログディスクを再生するオーディオの魅力に触発された大昔を蒸し返しても詮無いが、やはり大切な思い出としてこの出会いは心に留めておかねばならない。高校二年生のときに、中学時代の友人宅でBeatlesのAbbey RoadのB面を初めて聴いた衝撃は過去に何回か書いてきた。友人の親父さんが同時としては稀有なオーディオファイルであり天井が高く20畳はゆうに越えるオーディオルームにJBL Olympus S8Rが鎮座し、Mcintoshのプリとパワーで駆動していた。その時の感動は自分のオーディオ人生の原点だとずっと思ってきた。親父さんが亡くなった後も友人がそのシステムを引き継ぎ、その部屋で何度酒を酌み交わし、音楽を聴き、蒼い人生論を語り合ってきたか、、、

中学の時は同級生でも高校、大学は別の道を歩んだのだが、互いに結婚しても夫婦同士で付き合いは続き、やがては子供同士も友達になった。そして、常にその場には彼のオーディオシステムがBGMを添えてくれていた、、、不思議な縁でもあったと思うのだが、昔の言葉で云うところの親友そのものだった。だがその友も昨年末に逝ってしまった。

記憶の中にあるAbbey RoadのB面、Here Comes The Sunを自分のアナログ再生ではついに越えることはできなかったと、今でも思う。その多分に美化されたイメージを求めて一体何度聴き返してきたのか、自分では最早その回数など判りようも無い。

Abbey Roado

時の流れは引き止めることはできず、過ぎ去ったものを取り戻すこともできない。人生は経験の獲得と喪失という二面で成り立っているものなのかもしれない。だが、今ここで自分が持っている僅かながらの「経験値」というものは自分自身の生き様の結果であり、証でもあるんだろうか、と思うこともある。

ならば、この半世紀を越えてきた自分のオーディオ人生において「今の」デジタル再生にちょっぴりの自信を持っても良いのかもしれない。自分のアナログ再生は確かにこれで終わり。慈しんできた機器たちは新たなオーナーの元へと旅立つ。だが、デジタル再生という観点では残された時間と発展の可能性がある。まだ、オーディオの道は続いている。


                 4way MW16TX構成の設定値(2022年1月3日更新)
項目 帯域 備考
Low Mid-Low Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
SB Acoustics
MW16TX
Sony
SUP-T11
Scan Speak
D2908
-
能率
能率(90dB基準相対差)
dB 97.0 (+7.0) 87.5 (-2.5) 110.0 (+20.0) 93.0 (+3.0)
定格値
DF-65の
出力設定
dB +1.0 +1.0 -9.0 +4.0
マスターボリューム
アッテネーション
dB -9.0 -2.0 -3.0 -0.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB 0 0 -12.0 -12.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 89.0 86.5 86.0 85.0
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz

140
140

710
710

4000
4000

High Pass

Low Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-48 48-48 48-24 24-flat
DF-55 DELAY
設定
cm -8.0 +19.5 -37.0 +25.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Norm Norm Norm  
DF-55 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-55デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない

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