Direttaのリベンジ:
ArchLinuxにてDiretta Hostの構成が組めるようになったので、このところいくつかの構成を組んで試聴してきた。Direttaのポテンシャルを感じるもののこれまでの比較では一歩抜きん出た、という状況には至っていない。だが、これは最上の環境を用意していないなど若干の心残りがあるので、ここをしっかりと詰めたらどうなるのか、、、で、改めてトライしてみた。
当初はDiretta Target AppからS/PDIF出力させることに興味の中心があったので、Target側のハードウェア構成はラズパイ中心かなと考えてきたが、元々DirettaはUSB出力からスタートしているので、この原点を生かして次のような構成で考えてみた。基本としてPCの2台構成として、LAN直結(100Mbps/Half Duplex)とする。PCベースのDiretta TargetはUSBメモリ起動のことが多いようだが、ここは若干手を加えたPCにてSSDから起動させる。
Diretta Host側は内臓SSDを音源として使用(ArchLinux起動DISKとは別)することとし、サーバーPCへのアクセスはしない現状我が家の標準スタイル。トータルとして考えてみると、何だかかってのJPLAY Dual構成を思い出すような仕掛けでもあるな~という感じである。
同一システム内でAoE Symphonic-MPDのフロントエンド機能と共存させるアイデアも考えたのだが、ハンディが無いように純粋にDirettaだけの環境に制限した。(これはLAN直結なので、AoEバックエンド、Diretta TargetへのLANケーブルを差し替えないと切替はできないなど、切替のために結局は若干の作業も必要となってしまうので))
Diretta Target PCからのUSB出力はMUTEC MC3+USBで受けてマスタークロックによるリクロック処理、ここは従前と同じ。また音楽再生ソフトウエアは当方定番のMPD(Music Player Daemon)である。
で、構成の組み換えや設定などに若干四苦八苦しつつもやっとこ音だし。一聴してみてまず思ったのは「音の濃さ」。以前の比較ではAoEに音のナィーブさがあると感じてそこが評価点であったのだが、Direttaにおける音楽の実在感の在りよう、この音の濃さや力感はちょっと期待以上でやはり素晴らしい。面倒な作業ではあったが、やはりDirettaという仕組みも環境、構成を手抜きしていては良い音は得られないものと痛感する。
例によってライブラリ音源をテスト用にランダム再生させながらこの音の濃い感じの傾向を改めて確認していくが、全体としてこれは悪くない。前のめりになって、やや大きめの音でオーケストラを聴くにはかなり相性も良いと思う。この音の濃さの差はどこから来ているのだろうか、、、それがラズパイとPCという物理的なハードウエアの違いに依存するものなのか。ちょっと判然としていないがそのような因果関係が全く無いとも思われない。少なくともラズパイをDiretta Targetにした構成よりはDiretta Target PCの方が当方の感性には合っているような気がする。
面白いのはやはりUSB出力とS/PDIF出力の関係である。このDiretta Target PCはUSB出力しかできないので、同一環境、構成でS/PDIF出力との差を論じることはできないのだが、逆にAoE Symphonic-MPDはS/PDIF出力しかできない。ここにも微妙な差を生み出している何等かの要因があるような気がしてくる。この部分は未だ当方には明確に結論付けができていない。
AoE Symphonic-MPDでラズパイの音を極めたくずっといろいろとやってきたが、ソフトウエアの仕組みそのものとハードウエア環境の違いによってそれぞれ異なるアプローチが必要なのかもしれない、と改めて感じた。こうしてみると、専用デバイスとしてDiretta Luciaを搭載した機器を調達してテストしてみたい気にもなってくる、、、
総合的に見て、DirettaとAoEのどちらが自分にとってしっくりくるか、と自問してみればここはAoE Symphonic-MPDに僅かかもしれないが軍配が上がる。音楽に合わせて音はしなやかに、かろやかに、そして必要とあればマッシブに音の伽藍が再現されて音楽そのものが心に飛び込んで来なければならない。改めてそう考えてみるとAoE Symphonic-MPDの到達したこの世界は唯一のものじゃないかと再認識する。
もちろん、優劣は音源に依存した相性という部分もあるかもしれない。その観点からはDirettaとAoE、そのどちらの構成においてもほぼベストと思える環境構築ができたので、時に応じてそれぞれを楽しめば良いのだろうと思う。
だが一方で、ストリーミングとの組み合わせにおいて、このDirettaを活かす術が無いものだろうか。roonを使えば確かに可能ではある。だが、Qubuzは対応できても密林はroonでは不可。どうしてもその問題に突き当たる。音源あってのオーディオと考えれば密林再生を何とか実現できなければ(当方にとっては)最終的な勝ち残りにはなりにくいのだ。Qobuzの国内サービスの開始に際して何か劇的な変化は起こらないものだろうかと期待してみたくなる。
なお、この先SFORZATOの密林対応によって、どのような構成上のインパクトが起こるのか、まだ当方にははっきりとは判っていない。あるいTaktinaベースの新しい次元の製品が登場してきて、これによりDirettaと組み合わせて密林が聴けるようになるのか。正直なんで密林がこんなにもオーディオ機器と相性が悪いのか、そしてそれを改善しようとしないのか、その戦略が当方には理解しにくい。(密林のAPI改定の動きがあるようだが詳細は未把握。Taktinaはそれに合わせるように準備中とのことであるが、BluOSも近々そこそこ大きな機能アップがあるのでこの辺りも何らかの関係があるものと推測している)
だが、このような今後の方向性に関わる動きを予測し、理解した上で機器調達をしていかないとせっかくの導入も無駄になってもしまう恐れもある。もちろん、自分のライブラリ音源を極上で再生してくれるAoE Symphonic-MPD環境のラズパイ、Diretta Target環境のPC、このふたつを手にできていることは考えてみれば幸せなことなのかもしれないが。
(注記)廉価なBluesound NodeがS/PDIF出力もUSB出力もサポートしているという盤石さに加えて、Tidal、Qobuz、Amazonいずれのストリーミングにも対応できていること自体がむしろ稀有なことなんだろうか。機能的にこれらをカバーする音が抜群に良い「オーディオ機器」が出て来ぬものか、、、
4way MW16TX構成の設定値(2022年1月3日更新)
項目 |
帯域 |
備考 |
Low |
Mid-Low |
Mid-High |
High |
使用スピーカー ユニット |
- |
Sony SUP-L11 |
SB Acoustics MW16TX |
Sony SUP-T11 |
Scan Speak D2908 |
- |
能率 能率(90dB基準相対差) |
dB |
97.0 (+7.0) |
87.5 (-2.5) |
110.0 (+20.0) |
93.0 (+3.0) |
|
DF-65の 出力設定 |
dB |
+1.0 |
+1.0 |
-9.0 |
+4.0 |
|
マスターボリューム アッテネーション |
dB |
-9.0 |
-2.0 |
-3.0 |
-0.0 |
|
パワーアンプでの GAIN調整 |
dB |
0 |
0 |
-12.0 |
-12.0 |
|
スピーカーの 想定出力レベル |
dB |
89.0 |
86.5 |
86.0 |
85.0 |
|
クロスオーバー 周波数 |
Hz |
~ 140 |
140 ~ 710 |
710 ~ 4000 |
4000 ~ |
High Pass ~ Low Pass |
スロープ特性 設定 |
dB/oct |
flat-48 |
48-48 |
48-24 |
24-flat |
|
DF-55 DELAY 設定 |
cm |
-8.0 |
+19.5 |
-37.0 |
+25.0 |
相対位置と 測定ベース |
極性 |
- |
Norm |
Norm |
Norm |
Norm |
|
DF-55 DELAY COMP (Delay自動補正) |
- |
ON |
自動補正する |
DF-55デジタル出力 (Full Level保護) |
- |
OFF |
保護しない |
|