オーディオ日記 第55章 この道はどこへ続くのか(その3)2023年3月6日


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スローダウン:

このところ、気になっている製品がなかなか登場して来ない、という状況で期待しながらも待ち侘びてしまう。筆頭は DEQX Pre-8 (同社期待の4way用デジチャン)で何回も出荷スケジュールの変更が行われて未だにリリース予定のアナウンスはない。もう一年以上前に現行であった機種は皆ディスコンになってしまっているのでその間全く製品の販売もできていない訳だ。これでは会社が成り立っているのか少々疑問も出てくるし、結果としてこの新製品が幻に終わってしまうのでは、という老婆心も少なからず増す。

ストリーミング関係では、 SFORZATO の密林音楽対応。これも現状数か月以上のディレイとなってしまっている。ただし、こちらは搭載するTaktinaのソフトウエア改修(密林の新API対応らしい)と理由が明確ではあるが、おそらく製品が出てくるのは早くても4月以降ではないだろうか。どうせなら待ち望んでいるオーディオファイルがお~と驚くような操作性と音を実装しての登場となって欲しいものだ。ただ、DST Lacertaは本当にストリーミング対応のみでライブラリ音源の再生に対応しないままで製品が出てくるのだろうか。バージョンアップで対応することは間違いないとしても、これでは機能的には片肺飛行のようなものであまり感心はできない。せっかく登場を遅らせるのであればこの機能をきちんと取り込んだ上でリリースして欲しいと思う。

(2023年3月8日追記)WiiM Proは国内Amazonでも購入可能となった。(追記終わり)

また、WiiM Proに関しても、国内での販売にはなお時間がかかりそうと思うが、やっと 国内Amazon に商品として掲載されたので、桜の散る前までにはリリースされないだろうか、と根拠のない期待をしてみたり。ただし、こちらも機能的に現状まだ足りないところがあって少なくともSMB(ファイル共有)の音源サポートは必須レベルだと思う。ストリーミング再生はともかくとしてもライブラリ音源の扱いは今のところUPnP/DLNAのみとならざるを得ないので当方的にはちょっと厳しいかなと思量している。一応Roon Bridge対応などと併せて機能拡充の ロードマップ として載っているので、なるべく早期に対応してくれればいいが。

いずれにしても、オーディオ機器メーカーにとってパーツ不足などの影響もあって製品を思う様に出せないというかなり厳しい時代でもあるんだろうと推測する。製品を出せなければ、売り上げ、利益の確保に直截的にインパクトがあって経営的にも厳しいことになってしまう。

良いオーディオ製品は永きにわたって売れ続けて欲しいと思うけれど、アンプやスピーカーならばともかく、デジタル機器、ましてやネットワークストリーマという範疇であれば短い製品サイクルにならざるを得ないほど環境やテクノロジーが変化して行ってしまう。それに追いつきながら製品を改良し、世に出し続けるためには相応の販売量、そして利潤がなければ企業としても製品の継続はできない。一方でこの手の製品のサイクルはあまり長くはならないだろうという宿命も負っている。

新しいテクノロジーやサービスによってオーディオ(特にデジタル音源周りに係わる)機器の仕様の変わりようは早い。ましてストリーミングが中心の時代へとなっていく過程で、ストリーミングサービス提供者の意向(含むAPIの提供や認証)という新たな障壁もある。林檎や密林の障壁は機器メーカー、ソフトウエアベンダー両方にとってかなり高いものと推測する。そしてそこがクリアーできなければ、提供したい機能自体が実装できない、製品が出せないというかなり困った問題が起こる。

ガリバーでもあるストリーミングサービス提供者の意向如何によって、作りたい機器も作れない。ユーザーが待ち望んでも当該機能を持つ製品を入手できない。そういう歪(いびつ)とも云える状況は今後更に拍車が掛かっていくような気がしてならない。

ストリーミングサービス自体は益々ユーザーが増え、オーディオや音楽の世界に強大な支配力を示すことになる。多くのオーディオファイルにとっても、その力の存在を改めて意識するような事態になるだろうか。だが、林檎や密林のようなガリバーがどのような戦略を持って動いているのか正しく理解することは難しい。それ故にオーディオ機器、ソフトウエアベンダーのいずれもが苦悶し模索しながら自らの製品戦略を立てざるを得ない。あるいは本来は望ましいと思える機能の実装を諦めざるを得ない。

林檎対応のネットワークストリーマ―機器(現状は sonos のみ)、roon、そしてLuminやLINNの密林対応。オーディオファイルのみならず音楽ファンからも望まれるものは多いはず。このような観点の議論はもう数年にわたってあちこちで行われてきているのだが、ほぼ改善の気配はない。かっては「密林がAPIを開示しない」ということをroonやLuminは言い訳にしてきたが最早これは通らない理屈なので、むしろガリバーに牛耳られ振り回されてしまうことを恐れているが故の製品戦略かもしれない。

このもどかしいとも云える状況を何とか打破できないものだろうか、と詮無いとは思いつつも考えてしまう。世の中の流れはスピードアップしているように思われるのだが、実際のところこの手の分野ではスローダウン、あるいは動きの停止もあって何だかすっきりしない、、、

まぁ、良さげな製品を早く見たい、聴いてみたい、欲しい、と思うのはオーディオファイルの「普通の心理」なんだろうと自分では思っているけれど。


                 4way MW16TX構成の設定値(2022年1月3日更新)
項目 帯域 備考
Low Mid-Low Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
SB Acoustics
MW16TX
Sony
SUP-T11
Scan Speak
D2908
-
能率
能率(90dB基準相対差)
dB 97.0 (+7.0) 87.5 (-2.5) 110.0 (+20.0) 93.0 (+3.0)
定格値
DF-65の
出力設定
dB +1.0 +1.0 -9.0 +4.0
マスターボリューム
アッテネーション
dB -9.0 -2.0 -3.0 -0.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB 0 0 -12.0 -12.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 89.0 86.5 86.0 85.0
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz

140
140

710
710

4000
4000

High Pass

Low Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-48 48-48 48-24 24-flat
DF-55 DELAY
設定
cm -8.0 +19.5 -37.0 +25.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Norm Norm Norm  
DF-55 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-55デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない

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