オーディオ日記 第53章 超えてきた壁越えられぬ壁(その20)2022年6月5日


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ハブと速度の考察、そして反省:

AoE Symphonic-MPDの直結しているフロントエンド、バックエンド間に100Mハブを介在させる構成が何となく良かった件に絡んでいくつかのケースを検証してみている。単純にはリンク速度の問題なのか、ハブという緩衝域(データのSore & Forwardをしている観点から)の存在なのか、、、

今までの構成は「100M(のみ)のハブを咬ましてリンク速度はオートネゴシエーションに任せる」というもの。これにケースとして以下の二通りを追加する。
1.シンプルに直結だけして、リンク速度を100Mに落とす(ハブ介在なし)
2.1Gのハブ(オートネゴシエーション機能有り)を咬まして、リンク速度だけ落とす

昨今ではもう100M速度までのハブは入手し難くなっていることもあって、2.の構成を試しておきたいのと、これによって介在するハブの機種(あるいは能力)の差が現れるのだろうか、という辺り。期待値としてはこの1Gハブ構成でリンク速度ダウンが最適解だといいかな~と思いつつ、、、

率直に云えば、それぞれの差(初期構成ならびに1.と2.)はかなり微妙。検知できないレベルとも云えなくはない。だが、直結のまま1G速度を使用する場合よりは何となく好ましいという点は確かにある。これはやはり単にリンク速度の差で、ハブ介在による緩衝域の役割はあまり無いと考えるほうが妥当なのだろうか。

AoE Symphonic-MPDのフロントエンド、バックエンド間の設定パラメータ(DREQ、RECVというパラメター)は単純なものであまり複雑ではない。これは送受信頻度という理解で良いと思うのだが、Diretta程シビアーな設定ではない。ここをなるべくバックエンド側に負荷をかけない設定としてみているが、この設定によってそれ程精緻に変化する訳ではない。

リンク速度が速いということは単位時間に受け取るデータ量が大きくなり、その分送受信の頻度は減少することから、バックエンドの総合的な負荷の平準化とはならない。低速(少量)、多頻度での受信であれば平準化されるであろう、という推測は成り立つ。だが、負荷をなるべく均一となるようにするということと音との因果関係(消費電力の負荷変動、それに伴う高周波ノイズ?)はいまだに明確には分っていない。

バックエンド(ラズパイ4)の稼動は1コア、226MHzという極小の状態に仕様上で制限されている。従ってラズパイ4の元々の能力が4コア、1.5HGzということを勘案すれば極めて小さな能力しか使用していない。このレベルのプロセッサー稼動であっても受信データをデジタルオーディオ信号(ここではS/PDIF)へと生成する処理には不足は無い。

そう考えると、必ずしもCPUの稼動状態に対するインパクトではないようにも思えてしまう。、LANチップに対する負荷変動がトリガーなのか? という疑問も頭をもたげる。LANチップの負荷変動に伴う高周波ノイズが、デジタルオーディオ信号の生成にも影響を与え得る? 考えるほどにますます答えが遠ざかるようにも思える。

速度の問題を一旦置いておくとすれば、ハブの介在、緩衝域の役割はどうなのか? ハブを多段構成にした方が良い、という意見も世の中にはあることは分かっているのだが、じゃその理由、根拠はなんだろう? オーディオにおいて音の是非は聴感と経験則で語られることが多いが故に根拠や理論はどうしても後回しになるのだが、そこに切り込みたい。

ハブに多くの機器をぶら下げる構成であれば、余分なパケット(arp関連など)が機器間で相互に流れることから、ハブでスクリーニングするという手段もあるだろうと思う。直結の場合であっても、ブロードキャストやarpのパケットが全く流れないという訳ではないが、直結の1対1の構成なら間違いなく減ると推測できる。また伝送データ自体は厳密に一定間隔で流れる訳ではない。バッファー処理に遅れないように送れば良い(バッファーアンダーランやオーバーランを起こさないように)ので、時間の間隔的には乱れが当然あって厳密に一律、一定とは云えない。

(注記)Direttaは(当方の勝手な推測であるが)この時間間隔の部分についてかなり追い込んでいるようにも思える。これはJPLAYにおけるDual PC構成で目指したアプローチと同類であろうと考える。

この辺りは極めて「虫眼鏡」的に、あるいは針小棒大に見ているので、現実的にそのような変動で何かのインパクトがあるものだろうか。突き詰めて考えれば考えるほど訳が分からず、そんなことは結局「ど~でもよい」とも思いたくなってしまう。とにかく音が良くなればいいんじゃい! というある種自暴自棄の感じなのだが、地道にアプローチしなければ音の向上に繋がる訳もない。

オーディオ用ハブの宣伝文句には必ず「ルータやハブが撒き散らすノイズ」というものが登場し、電源だとか、防振を含めた筐体構造とか、を謳い文句にする。またメタルのLANケーブルではこのノイズが伝播するので、光でノイズを遮断することが望ましい、と。いずれも一理あると思う。実際に程度問題もあるが音も変わる。一寸の虫にも五分の魂である。究極を目指すならば完璧であらねばならないのだ。

だが、、、だが、、、いったい何が原理原則なのだろうか。それを突き詰めるのに何か疲れてしまわないか? 

オーディオ機器のユーザーである側が(それが趣味とは云え)このようなことをどうして思い悩む? これは本来的に果たしてまともなことなんだろうか。世には500万程するオーディオPC(ミュージックサーバー?)もあるし、同様な価格のネットワークプレーヤーもある。それを購入すれば良いんじゃい! という意見もあろう(当然ながら後段の機器、構成の方が支配力が大きいのでそちらがしっかりしていなければその価値は享受できないだろうけれど)。

(注記)だが、どんなに高価なオーディオPCであっても、プロセッサー、メモリ、マザーボード等は所謂(PC用の)汎用パーツが使用されることになる。ましてOSが(GUIを持つ)Windowsベースであればいくらプロセスカットをしてみても自ずと限界がある。結局電源や筐体というところにコスト投入をして音質向上を図ったという帰結(見せ方、売り方)となる。ネットワークプレーヤの場合も汎用チップだが、専用のカスタムパーツを開発、使用しているケースはある。

もちろん、答えはそれだけではないだろう。逆に云えば、そのようにコストを掛けなければ「望む音にはなってくれないオーディオ」自体にも根源的な課題があるんじゃないだろうか、とも思えることも(これはちょっと脱線、、、)。だが、そこに対価に見合う価値観を見出せるのならばそれでも良いのかもしれない。

で、結局この課題は明確な結果、結論を出せぬまま、上記1.と2.の構成を行ったりきたりしている。気持ち的にはリンク速度を100Mに落として使用するなら、100M専用ハブよりも現状一般的な1Gハブでも良いんだろう、との認識から。現実には2.5Gハブ、10Gハブも世の中にはあるので、基本能力を重視するならより高速の対応ができる(ポテンシャルがある)機器がベターなのかも。でも、その伝送能力を音楽再生において発揮することは(多分)無い。

冷静になって振り返ってみれば、機器や構成、使いこなし(あるいは何らかの対策)ということに振舞わされてしまっている自分が見えてくる。確かに些少な変化や向上はあるのだろう。だが、重要なことは音楽そのものが楽しく、良い音で聴けるのか、ということが大本命。そしてそれは瑣末な部分ではなく、大元である「音源の質(曲、演奏、録音)」というところに当然のように帰結していく。ここが確かなものでありさえすれば多少は妥協でも良いんじゃないだろうか、とも思えてくる。実際音源が良ければ廉価なBluesound Nodeにてストリーミング音源を聴いてもほとんど不足はない。今回の一連の実験をやってみて逆に枝葉末節に余り拘ると本筋が見えなくなって何だか疲れてしまうということにもなりかねないな、と。真実は誰の目にも分かるとは限らないし、そんなにシンプルにもできていない。その反省が今回の一番の収穫かも。


                 4way MW16TX構成の設定値(2022年3月10日更新)
項目 帯域 備考
Low Mid-Low Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
SB Acoustics
MW16TX
Sony
SUP-T11
Scan Speak
D2908
-
能率
能率(90dB基準相対差)
dB 97.0 (+7.0) 87.5 (-2.5) 110.0 (+20.0) 93.0 (+3.0)
定格値
DF-65の
出力設定
dB +1.0 +1.0 -9.0 +4.0
マスターボリューム
アッテネーション
dB -9.0 -2.0 -3.0 -0.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB 0 0 -12.0 -12.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 89.0 86.5 86.0 85.0
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz

140
140

560
560

3150
4000

High Pass

Low Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-18 48-48 48-24 24-flat
DF-55 DELAY
設定
cm -8.0 +19.5 -37.0 +25.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Norm Norm Norm  
DF-55 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-55デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない

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