オーディオ日記 第51章 行く道は果て無く(その11)2021年4月15日


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密林とroonが歩む道:

既にもうかなり多くの方がroonをお使いになられているのでは無いかと思う。当方もroonが密林音楽と連携してくれるなら採用も、、、とは考えてきたのだが、残念ながらその動きは何時まで経っても始まらずその見通しもない。ビジネス的な戦略など方向性の違いや哲学の違いもあるものと思うのだが、ちょっと残念な点でもある。

密林音楽からTidalにサブスク契約を変更してroonを使用するという選択肢もあるのだが、そこは国内音源のカバレージを考えると(Tidalも充実してきているようではあるが)密林音楽に現状優位性があるし、両方をサブスク契約するのも若干抵抗がある。

そんな想いをいただいているところでBluesound関連情報であれ? と思う点があった。今まで見逃していたのだと思うが、Bluesound Node 2iなどの一連の製品はすべて「roon ready」となっていた。

もちろん、roon readyといっても所謂レンダラー的に出力デバイスとして使えるということなので、特段画期的と云うほどのことではないのだが、Node 2iとはAir Playでしか接続できないものと思い込んでいたのだ。Air Playの場合(その接続柔軟性はかなり素晴らしいのだが)、48Kまでにサンプルレートが制限されてしまうという当方にとってはやや致命的と云える課題がある。

「roon ready」ということであれば当然ながらAir Playを経由せずに直接roon CoreからNode 2iを駆動できる訳だ。経路としては、roon remote(iPAD mini)でroon coreを操作し、Node 2iを出力デバイスと指定するというスタイル。音源はいつものサーバーPC置いてあるものを使うという環境は同じ。

現状密林音楽と連携できない以上、roonを使ったとしても、我が家のローカル音源再生がメインになる訳で、さらにroon coreをどこかのPCで稼動させなければならないので、却って余分な機器が増えるだけなのだが、Node 2i上の負荷分散には成り得る。この点を含めて何らかのメリットもあるかな?と思いまずはやってみた、、、

同様に、AoE Symphonic-MPDもroon bridgeをインストールすれば、Node 2iと同じことができるので、この際両方の環境を作って確認しておこうと思う。実態としてはNode 2iもこのroon bridgeで動いているものと推測される。roon coreをインストールするPCは取り敢えず現役引退したWindows 10機とした。(いずれLinux版のroon coreもテストしてみたいと思うが)

Bluesound Node 2iとAoEをroon出力先として設定:
Roon Setting

roonの事前情報として、音源の解析に相当時間が掛かるということなので、サーバーPC上の音源を全て対象とすることではなく、テスト的にその一部に限定した。あまり多くない音源としても確かに案外と解析時間はかかる。

解析スピードのパフォーマンス設定もできるので「4コア使用の最速」としてみた:
Roon Setting

Node 2i側には何もする必要が無いのだが、AoE Symphonic-MPD(Arch Linux x86_64版のフロントエンド)では先に述べたroon bridgeをインストールして「roon ready」状態にしてあげる必要があるのだが、これもフォーラムにて対応手順など情報共有されているので数行のコマンドを打つだけで全く問題なし。ただし、当方の場合はS/PDIFにてデジチャンと連携させるスタイルなのでデジタル出力は24bit/192Kを上限とするような設定をroon側、AoE側両方に行っている。

roon coreのインストールや設定、AoE側の準備もとにかくほんの僅かなので時間はほぼ30分くらい。早速Node 2iから聴き始めてみる。とは云ってもroon remoteの操作には慣れていないので多少キョロキョロと操作箇所を探してしまう、、、ローカル音源だけでは当然ながらroonの持つ本来の機能アドバンテージは引き出せないと思うので、主に音楽再生の環境構成が変わることによる差異を当面の確認のポイントとした。

だが、率直に云ってほぼ差は感じなかった。まぁ当然のような気もするのだが、これはNode 2iでもAoE Symphonic-MPDでも同様で大きな変化はない。負荷分散の恩恵もあるかもとは思うのだが明確に把握できるほどのものは無かった。操作性云々はここではあまり対象にはならないが、roon remoteでNode 2iあるいはAoE Symphonic-MPDを「出力先」として選択するだけで良いので、比較試聴をする場合などは利便性がありそう(とは云っても、それぞれが便利なリモートコントロールアプリを持っているので特段のアドバンテージというほどのものにはならないかな)。

本来ならTidalでもっと突っ込んだテストをすべきなのだが、すでにTidalは解約をしてしまっていることもあってちょっと一般論的なレベルの確認にしかなっていないところが自分でももどかしい。なお、別の視点ともなるのだが、「何故roonと密林との連携」が行われないのか? という点も考察してみた。

ジャイアントである密林が比較すれば企業規模のずっと小さいroonに対して、音源提供するだけの役割となってしまうことへの警戒感かもしれない、と敢えて邪推してみる。サブスクによる音源提供という意味ではTidalも密林も同じ範疇であるが、roonはそれらを「包括的に」管理し、自らの足元に置くことになる。密林は一方で「Amazon Music App」で独自のインターフェースやサービス機能を提供し、合わせて利用者の統計データを蓄積し動向分析を行えるようにしたい。そう考えているのかもしれない。そうなるとキーは「履歴」の捕捉の仕方とその情報の所有権ということにもなる。その他には、APIを各社に広く提供することによって却って足を引っ張られる(改変や機能アップが難しくなる)ことへの危惧か。

関連することでもあるが、ネットワークオーディオ機器の雄であるLuminも密林音楽と連携することが現状できていない。実現できているのはHEOS機器(多分世界的なシェアーは多くない?)とBluos系機器のみである。この辺りの背景もいろいろと推測してみても然とは判らないのだが、目指すべきはユーザーの利便性である、という方向性にはやはり至っていない。

密林音楽ユーザーとしてみれば、ここはやはり少しでも早くroonとの連携を実現して欲しいと思うのだが、これはまた Bluos (Bluesound Node 2iのLinux系OS)が現状目指している世界とも競合することになる。密林がBluosのコンソーシアムに肩入れしているようには思われないのだが、実質そのような現状となってしまっている。見方を変えればこれは「roon vs Bluos」とも云えなくは無いと思ってみたりもする(ちょっと飛躍しすぎかも)。

基本は汎用的なプラットフォームにいかに多くのサービス提供者と利用者を取り込むか、これが端的且つ最重要な経営戦略であると思うのだが、密林音楽の企業戦略は緑に覆われたジャングルの何処かに隠されているようで方向性に関する情報はネットからほとんど入手できない。密林とroonの歩む道がこれからどこかで交差することがあるのだろうか。


                 4way MW16TX構成の設定暫定値(2021年3月17日更新)
項目 帯域 備考
Low Mid-Low Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
SB Acoustics
MW16TX
Sony
SUP-T11
Scan Speak
D2908
-
能率
能率(90dB基準相対差)
dB 97.0 (+7.0) 87.5 (-2.5) 110.0 (+20.0) 93.0 (+3.0)
定格値
DF-65の
出力設定
dB +0.7 +0.7 -10.5 +4.7
マスターボリューム
アッテネーション
dB -9.0 -3.0 -3.0 -5.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB 0 0 -12.0 -12.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 88.7 85.2 83.5 80.7
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz pass

160
160

1000
1000

2800
3150

pass
Low Pass

High Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-24 24-24 24-24 24-flat Low Pass
High Pass
DF-55 DELAY
設定
cm -10.0 +28.0 -37.0 +27.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Norm Norm Norm  
DF-55 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-55デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない

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