オーディオ日記 第50章 幸せのひと時(その18)2020年12月2日


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中庸なるモーツアルト:

SB AcousticsのCarbon Textremeユニットの導入後、4way構成の微調整を続けてきたがここへ来てかなり納得の領域まで追い込むことが出来た。ホーンドライバー(Sony SUP-T11)との組み合わせでも、セラミックドーム(Accuton C51)の場合でも自分としてはこれで「弄る」プロセスは一旦終了かなと考えている。明るく現代的というのが適切な表現とは思わないが、総じてそのような感触があり、長年使ってきたSONYのユニットがまた新たな魅力の一端を見せてくれている。それぞれが実力のあるスピーカーユニット達なので、きちんと設定し使ってあげれば古びることもないのだと今更ながら思う。

自分でも不思議なのだが、我が家で現用としているこのユニット達はひとつとして同じ振動板を持つものはない。ウーファーのSUP-L11はペーバーコーン、ミッドローはこのCarbon Textremeであり(FPSはポリフィルム素材)、ミッドハイではホーンドライバーがアルミ、Accutonはセラミック、ツィータはベリリゥムである。これを以って「支離滅裂」とするか、「適材適所」と呼ぶか人それぞれ評価が分かれるかもしれない。やはりここにもオーディオの不思議、理想のスピーカー実現の難しさやハードルがあると思う。

だが、どのようなユニット(や振動板素材)で構成しようと、最終的にはそこで奏でられる音楽に没頭し、感動できるか、がポイントだろう。シングルコーンからマルチウェイまで様々なスタイルがあり、それぞれに一長一短があってどれかがベスト、ということは多分無い。もちろん全ての帯域をカバーできる理想的なユニットが出現すればシングルユニットでも良いのだが、それはどう見ても現状では夢物語のようだし。

中学時代~高校時代に目覚めた音楽とオーディオ、付かず離れず(あるいは多少は入れ込んで?)もう何十年も経てきたのだが、自分の手にした装置やそこで奏でられる音楽に「満足する」ことは多分無かったと思う。音楽自体には相当感動させられたことも多々あり、それが原動力となってきたものと思うが、どこかに今聴いている音に「これじゃない」という意識が潜んでいたことも否めない。おそらくはその飢餓感がオーディオをここまで続けさせてきたものなんだろうと思う。

長い長いトンネルを突き抜けられたのか、今は未だ判然とはしない。ゴールのテープを切れたとも決して思えない。だが、この納得に至った構成と設定で聴くモーツアルトは自分には限りなく優しい。遠ざかっていく遥か昔の青春の思い出が自分に優しいのと同じように、ある種の甘美さを伴ってくる。だが、一方でこれはオーディオ的に完成された音なのだろうか、という一抹の疑問もあることは事実。

Amazon MusicHDを良く聴くようになって改めて思ったことがある。比較的新しいと思われる録音、音楽はそれがPOPS系でもクラシック系を含むその他のジャンルであっても「オーディオ的な音」がすると感じる時がある。それは音圧でもあり、自然さを失うほどの加工であったり、極めて強い高域感であったり。正にこれでもか! というほどのオーディオ的?装飾である。この表現が正しいのかどうか自分でも良く判らないのだが、音自体はとても良く感じてしまうのである。明確でメリハリがあって、エコー感にある種の心地良さも。時にはっとするほどの音楽、音を提示してくれる曲もあって、あ~、これはオフ会向けの音源だなと聴き入る。女性ボーカルに於いても、評価されるのはどうもこのようなオーディオ的な加工に成功した曲が多いんじゃないかな、とも(歌の上手さ、声の良さとは別次元で)。

だが、今聴き続けている自分のモーツアルトの音源。ほとんど中庸、凡庸であってキレキレの音源など無い。音圧だってオーディオ的に考えれば低め。多分何処にもあるような普通のクラシック音楽の録音と同じで奇をてらったところはあまり感じられない。にも拘らず、この柔らかさ、自然さ、ホールの微妙な響き、ほわほわとした音場感、個々の楽器の音色の美しさ。そこにはコンピュータで処理された絢爛豪華さや強調感はあまり無い(実際には皆無ではないのかもしれないが)。だがら、ぱっと聴いておっと驚くような音源では全くない。でもず~っと聴いていられる。聴いていたくなる。

先にあげたようなオーディオ的にも素晴らしいと思う音源は何故か聴き続けられない。キレキレで凄い音だと思えば思うほど、もう沢山! となってしまうのだ。たまにはちょっと爆音で聴いてストレス発散などにはもちろんなるのだが、とてもずっとなど聴いていられない。これを以って年齢の為せる劣化(=老化)と考えることが正解なのか、自分でも逡巡する。

いろいろな楽しみ方、音楽の好みがあって良いのだと思う。人は皆それぞれ。そして自らの経験を踏まえた価値観しか持てないものだし。計らずも居眠りをしながらモーツアルトを聴くという己のオーディオの理想には少しは近づけたんじゃないだろうかと、この中庸のモーツアルトを聴き続けながら改めて自分のオーディオの来しこの方を思う。

そして、そのような観点をベースとして、自分なりのこれからのオーディオを考え、煮詰めていけばいいんだろうなという方向性の結論に至る。普通で自然な音楽に単純に感動し、心安らぐことが自分の目指すべき道。ただ、オーディオ的ハイチューン音源だって「それなりに」聴けなきゃ遺憾ということは当然としても、それを誇示するような方向性には行きたくないと思う。

だが、純粋な音として評価できないオーディオシステムに全うな音楽を提示できるはずも無い。それも否定し得ない真実なのだ。さてさて、、、あれこれ考えても埒が開かないので、今日も居眠りの時間ですよ!


                 4way MW16TX構成の設定暫定値(2020年12月2日更新)
項目 帯域 備考
Low Mid-Low Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
SB Acoustics
MW16TX
Sony
SUP-T11
Scan Speak
D2908
-
能率
能率(90dB基準相対差)
dB 97.0 (+7.0) 87.5 (-2.5) 110.0 (+20.0) 93.0 (+3.0)
定格値
DF-65の
出力設定
dB +0.7 +0.0 -10.5 +5.5
マスターボリューム
アッテネーション
dB -9.0 -3.0 -3.0 -5.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB 0 0 -12.0 -12.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 88.7 84.5 83.5 81.5
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz pass

160
160

800
800

3150
4000

pass
Low Pass

High Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-24 24-24 24-18 24-flat Low Pass
High Pass
DF-55 DELAY
設定
cm -10.0 +28.0 -40.0 +26.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Norm Norm Norm  
DF-55 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-55デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない

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