4way vs 3way:
前回も同様なことを記したが、SB AcousticsのCarbon Textremeユニットの導入後、我が家の音が大分理想に近づいてきたように感じている。もちろん、まだまだパーフェクトとは云えないと思うので、Magico M2(あるいはA5)、そしてParadigmなどのスピーカーシステムを聴いた上で我が家の音を再評価したいと考えている。折り悪くコロナ感染がやや再燃していることもあるので、その機会をうかがってはいるのだが未だ実現できていないのが何とも残念。
そんな中、このCarbon Textremeユニットの7.5インチ(19cm)サイズが登場間近。まだMadisoundでは販売開始されていないが、Solenでは既に価格を含めて製品が
掲載
されている(Available On Backorderということで入手可能となるのはもう少し時間がかかりそう)。4way構成のミッドローとして使用する場合、低域ユニットとのクロスオーバーは低域方向のデフィニションや質感を考慮してなるべく低くできないだろうかと考えているので、現行の6.5インチサイズよりもしかしたらアドバンテージがあるかもと妄想している。7.5インチであれば100~140Hzくらいのクロスオーバー設定が可能ではないだろうか。現状の6.5インチサイズではぎり160Hzくらい、実用上はやはり200Hz辺りからが望ましいのでその辺りどのような最適解があるのかチャレンジしてみたいと思う。だが、この6.5インチユニットを活かす対応も併せて検討しておかなければならないな~と。
音楽に対するパフォーマンスという観点で当方はこのユニットをかなり評価しているので、この6.5インチサイズでの使用方法のバリエーションを考え、3way構成を手始めに実験してみた。世の一般的な市販スピーカーシステムは結構な数のユニットを搭載している構成でも3way構成が多く、4wayというのはあまり見かけない。当然ここには4wayともなるとユニット自体の選定やクロスオーバーネットワーク設計が格段に難しくなるという事情もあるとは思うのだが、3way構成で充分という考え方が底流にはあるのかもしれない。3way構成ではミッドレンジは200Hz~400Hzくらいから使うことが多いようで、100Hzやそれ以下の組み合わせはあまり無いようだ。ツィータとのクロスはかなり低いケースで2000Hz程度、多いのは2500Hzから3500Hzくらいであろうか。
これらを参考に(ユニット自体のブレークインは既に終了したものと考え)我が家での3way構成を試してみた。ミッドレンジとしての帯域を250Hz~4000Hzからまずはスタート。これは残念ながらやや元気が良い感じとなるようで、もう少し質感を高めたくなる。一方で低域方向のつながりは250Hzでも相当にスムーズ、音の充実感はまずまずなので、こちらはむしろあまり下げ過ぎない方がいいのかも。そこで徐々に高域とのクロスオーバー周波数のみを下げていく。ここは高域ユニットの存在感を露わにしないことも肝要なので、あまり低くしたくないところであるが、音の広がりや高域の質感との兼ね合いとなろう。元々ベリリゥムツィータは2000Hz程度まで下げて使う事はできるのだが、ここまで下げてしまうとツィータが鳴っている、という感じがしてしまうので、4way構成においては4000Hzと若干高い設定にしているという背景がある。
さて、3550Hz、3150Hz、2800Hzと少しづつ下げてみて、納得のバランス(広がり、質感、高域感など)が得られたのは2800Hz。これは3wayの設定としては案外妥当なところかもしれないと思う。音楽の提示もかなりしっくりと来る。意外にも(あるいは当然?)4wayよりは音のまとまり感があって、これはこれで望ましい。6.5インチサイズのユニットであっても多くは1000Hzを越える辺りから周波数特性が乱れ始め、ブレークアップポイントに向かって悪化していく。同様に指向性(30度、60度のレスポンス)も周波数が高くなるに従ってかなり劣化する。その観点からは3way構成におけるミッドレンジユニットの優秀さは必須、不可欠のものだと思うし出来上がりの音へのインパクトも大きい。Magico A5が採用した12cmミッドレンジ(アルミハニカム+グラフェン)の受け持ち周波数帯域にはその意味でも非常に興味があるところ。Focalのベリリゥムツィータを搭載したシステムの高域クロスオーバーは2240Hzから2500Hz辺りとやや低いところにあるのだが、同社のミッドレンジユニットとの兼ね合いかもしれない。Magicoのこの12cmユニットであれば、2800Hzより上の3500Hz辺りでも余裕のような気がする、、、
などなど、あ~でもない、こうでもないと周波数レンジなど本来はどうでも良いこと?を考察しつつ、この3way構成をじっくりと聴き続ける。POPS系の音楽(特にボーカルが入っているもの)の提示は4wayに比しても遜色が無いどころか、むしろ好ましい点が多いと感じる。4way構成では800Hz~1000Hz辺りが中低域、中高域ユニットのクロスオーバー周波数になるため、どうしても声の帯域を分割してしまうことになる。この点は質感や全体としてダイナミックスの確保にはやむを得ない部分もあるのだが、マイナスの要素もある。
改めて3way構成のミッドレンジとしても評価してみれば、これもなかなか健闘している(262ドルというユニットの価格とは関係なく)と思う。特にCarbon Textremeの特質を活かした高域方向の再現性(周波数特性と指向性)は単にユニットの
特性
としてもかなり素晴らしいものがあるし、その上で音の立ち上がりの良さがありボーカルの質感を損ねることもなく密度の高い音楽を提示してくれるのだ。サウンドステージでは我が家の4way構成、特にホーンドライバーを使用した構成では中低域と中高域のユニットの位置が離れてしまう、という欠点が内在していることも改めて認識される。なお、全体的な音の質感や気配の静けさという観点からは4wayにもアドバンテージがあるが、3way構成の方には闊達な音楽の印象もあって音楽ジャンル(POPS系やJAZZ径など)とマッチした場合の魅力は充分。
4way構成を突き詰めようとすれば、低域方向の充実度の観点からは7.5インチサイズが(妄想的には)望ましいと思うのだが、この6.5インチサイズは3wayでも存外のパフォーマンスを示してくれることが分かった。現状の4way構成でもそこそこ納得している状況なので、敢えて7.5インチサイズを導入する意義があるか、ここはやはり再検討が必要なのかもしれない。だが、自己満に陥っている可能性も無いとは云えないので、冒頭のような比較を経ての練り上げが不可欠であろう。なかなか収束しないこのコロナが恨めしくもある、、、、
3way MW16TX構成の設定暫定値(2020年12月11日更新)
項目 |
帯域 |
備考 |
Low |
Mid-Low |
Mid-High |
High |
使用スピーカー ユニット |
- |
Sony SUP-L11 |
SB Acoustics MW16TX |
Sony SUP-T11 |
Scan Speak D2908 |
- |
能率 能率(90dB基準相対差) |
dB |
97.0 (+7.0) |
87.5 (-2.5) |
110.0 (+20.0) |
93.0 (+3.0) |
|
DF-65の 出力設定 |
dB |
+0.7 |
+0.0 |
-10.5 |
+5.5 |
|
マスターボリューム アッテネーション |
dB |
-9.0 |
-3.0 |
-3.0 |
-5.0 |
|
パワーアンプでの GAIN調整 |
dB |
0 |
0 |
-12.0 |
-12.0 |
|
スピーカーの 想定出力レベル |
dB |
88.7 |
84.5 |
off |
81.5 |
|
クロスオーバー 周波数 |
Hz |
pass ~ 250 |
250 ~ 2800 |
- ~ - |
2800 ~ pass |
Low Pass ~ High Pass |
スロープ特性 設定 |
dB/oct |
flat-24 |
24-24 |
24-18 |
24-flat |
Low Pass High Pass |
DF-55 DELAY 設定 |
cm |
-10.0 |
+28.0 |
-40.0 |
+26.0 |
相対位置と 測定ベース |
極性 |
- |
Norm |
Norm |
Norm |
Norm |
|
DF-55 DELAY COMP (Delay自動補正) |
- |
ON |
自動補正する |
DF-55デジタル出力 (Full Level保護) |
- |
OFF |
保護しない |
|