果て無き模索:
我が家のシステム全体に関して、やらねばと思っていた事はリタイアして以後何年も掛かったがこつこつと対応してきて何とか課題消化へと至った。もちろん全てが理想的となっている訳ではなく、住居という現実環境からやりたくてもできないこともあるのだが。
ここしばらくの幾つかの施策を上流、中流、下流と分けて纏め的に振り返ってみる。まずはマルチアンプシステムのコアとなる中流部分。長期に亘って使用してきた4台のロートルパワーアンプをすべて更新して左右対称となるシンメトリカルな構成に設えた。Accuphase P-4200とA-35のコンビで片チャネルの低域、中低域、中高域、高域を受け持たせる変則的なもので擬似的ではあるが左右の分離を意図したもの。デジチャンについては音質的な向上を感じられたのでDF-55からDF-65に入れ替え。デジチャンとパワーアンプの間にマルチチャネルアッテネータ(8ch用のリレーによる抵抗切替方式)を採用してこれで4wayマルチアンプシステムの全体音量調節をデジチャン後段にてリモコンで行えるようになった(デジタルボリュームを通さずにデジタル信号をダイレクトにデジチャンに入力する方式であるが、このような構成を行うための機器がそれまでは製品としてなく実際の導入まではかなり苦労した経緯がある。現在では2機種程が入手可能)。これでこのパートは老朽化やボリューム制御の課題と不満がほぼ無くなり、しばらくはこのまま使用できるだろうと(おそらく、ではあるが)考えている。
下流部分となるスピーカーユニット周りは、SONY SUP-L11、SUP-T11という2way構成用のユニットが変わらずに基本であるものの、かってはリボンツィータを加えたりしていたが、最終的には4KHz以上を受け持たせる高域用ユニットと中低域ユニットを加えた4way構成を維持している。高域についてはScanspeakのベリリゥムツィータでこれはもう決まり。中低域に関しては平面振動板を持つやや特殊なユニットのFPSと最近試行しているCarbon Textreme振動板のユニットを交互に使っているが、現時点ではCarbon Textremeユニットがかなり優勢となっている。中高域に関しては時にSUP-T11というホーンドライバーだけではなく、セラミックドーム(Accuton C51)に変えたりして個性の違いを楽しめるようにはしている。この観点で云えば、中低域、中高域のユニットをそれぞれ変更できるようにしてあるので、その組み合わせのバリエーションが案外と多い(だが、全ての構成で納得の音に仕上げるのは実は結構しんどい面も)。従って、ここまでの4way構成で当面はかなり楽しめるだろう。
システムの上流に関しては、永らくPCオーディオがメインでこの一年余りラズパイオーディオにもチャレンジを続けてきたのだが、現時点でのほぼ最終として、自分のライブラリ音源再生はSymphonic-MPD(ラズパイ4ベース)、ストリーミング(Amazon MusicHD)についてはNetwork StreamerであるBluesound Node 2iでほぼ決まり、という状況になってきた。この分野に関しては、自分なりに究極のデジタルトランスポートを探して、ノイズ対策、電源対策をしつつあれこれのソフト、ハードを試してきたのだが、敢えて複雑な構成は避けシンプルなハード構成で極楽操作、鉄板の安定性、そして音質という観点からの選択となったもの。もちろん、この分野は極めて速いスピードで成長、変化しているのでこれで凍結ということにはならないだろうとは思う。なお、Symphonic-MPD、Bluesoundいずれからのデジタル出力(S/PDIF)も一旦リクロック処理(MUTEC MC-3+USBとCybershaftのMaster Clockにて)を行わせるスタイルとしているが、デジタルにおけるクロックの重要性はやはり避けて通れないと実感する。
アナログに関しては再生環境は一応残してはあるが、ほとんどのアナログディスクを処分して(早めの断捨離?)しまったので、今後復活や増強などは無いものと思う、、、
こうして纏めてしまえば僅か数行の文章で終わることでもあるのだが、その背景にはアイデアとそれを煮詰める思索、種々の葛藤、情報集め、試行そして後悔などを含めた余多の想いが重なっている。振り返れば過ぎたこと、通ってきた道でしかないのだが、これが今を形作っている自分なりのオーディオ史なのかもしれない。
さて、このようにあれこれとやってきて、実際どのように音が変化したのか、向上したのか自問してはみるが明確な答えは出し難い。少なくとも自分ではかなり納得した音楽を聴けるようになってきたのは事実だと思うが、決して究極でも完璧でもない。結局は音源次第なのか、と思ったりもするし、音楽の内容に見合った程良い音量も相当に大事だな~と改めて思うことも多い。特にオーケストラの再生では音に包まれるような感触や量感の支えが無いと音楽自体が堪能できない。そういう意味では大音量も小音量もこなせる防音、遮音の整った専用のリスニング環境はやはり欲しいよな~とは思う。が、無いものねだりはしてもここは仕方がない。
自分で自分の音を客観的に評価する事は、自画自賛してもいけないし、卑屈になってもいけないのでなかなか冷静な取り纏めは難しい。それでも、自分の「納得」が得られなければそれはまだ不合格ということでもある。じゃ、納得ということに達したのか? と問われれば答えには窮する。納得、合格と思える音源の再生もあるし、全然駄目ジャン~と思ってしまう時もある。つまりはパーフェクトなどとはとても云えなくて、まだまだ先は遠いとも思われるのだ。
微細な音から壮大な音の伽藍へと一切のストレスが無く音楽は立ち上がっていかねばならない。身体で受け留める音圧も重低音も欠かせないし、微小なささやきも漂うような気配も自然で、なおかつ凛として音が立っていなければならない。弦はどこまでも透徹に高域感を提示してくれなければならず、そこに雑味があってはならない。
未だ出来ていないこと。それをこの先どのようなステップ、段取りで我がシステムの構成に取り入れていくことが可能なのか、、、自分なりの打ち手がほぼ終わった段階で次に至る具体策は見えてこない。所謂アクセサリーの類で理想が実現できるとは全く思えないので、何か根源に迫るような対応が実は必要なのかもしれない。だが、それは何か? 当然ながら全てをガラガラポンするようなことで何とかなるものとも思っていないし、それは多分もうできない。故に地道な改善を含めた積み上げでしか先へは進めないものと今は考えている。
理想は理想として高く持っていたいと思う。それでも現実は混沌とも思える様な模索がやはり果てなく続くのであろう、、、
4way MW16TX構成の設定暫定値(2020年11月2日更新)
項目 |
帯域 |
備考 |
Low |
Mid-Low |
Mid-High |
High |
使用スピーカー ユニット |
- |
Sony SUP-L11 |
SB Acoustics MW16TX |
Sony SUP-T11 |
Scan Speak D2908 |
- |
能率 能率(90dB基準相対差) |
dB |
97.0 (+7.0) |
87.5 (-2.5) |
110.0 (+20.0) |
93.0 (+3.0) |
|
DF-65の 出力設定 |
dB |
+0.0 |
+0.0 |
-11.0 |
+6.0 |
|
マスターボリューム アッテネーション |
dB |
-9.0 |
-3.0 |
-3.0 |
-5.0 |
|
パワーアンプでの GAIN調整 |
dB |
0 |
0 |
-12.0 |
-12.0 |
|
スピーカーの 想定出力レベル |
dB |
88.0 |
84.5 |
84.0 |
82.0 |
|
クロスオーバー 周波数 |
Hz |
pass ~ 160 |
160 ~ 900 |
900 ~ 3150 |
4000 ~ pass |
Low Pass ~ High Pass |
スロープ特性 設定 |
dB/oct |
flat-24 |
24-24 |
24-18 |
24-flat |
Low Pass High Pass |
DF-55 DELAY 設定 |
cm |
0.0 |
+35.0 |
-35.0 |
+25.0 |
相対位置と 測定ベース |
極性 |
- |
Norm |
Rev |
Norm |
Norm |
|
DF-55 DELAY COMP (Delay自動補正) |
- |
ON |
自動補正する |
DF-55デジタル出力 (Full Level保護) |
- |
OFF |
保護しない |
|