急ぎCarbon Texremeを聴く:
もう若くは無いので物事はゆっくり、ゆっくりでもいいのではないかと思うのだが、逸る心は止められない。新たに導入したスピーカーユニット、
SB Acoustics MW16TX
のCarbon Textreme振動板の音を一刻も早く聴いてみたくて仕方がない。
このユニットに適合するエンクロージャをじっくりと製作していただくということが本来望ましいのだが、このユニットの全く音は聴いたことがない(そもそもSB Acousticsのユニットを聴いたことすら皆無)し、自分のこのユニットに対するインスピレーションが妥当なものであったのかどうかについてある程度の目星を付けてからでないと結局立派なものを作っても無駄に終わってしまう可能性も考えられるため、拙速ではあるのだが自分でえいやっとエンクロージャを製作してみることとした。
振り返ってみれば、ユニットはあれこれ漁ってきたのだが、エンクロージャはそれに見合うものを購入したり、製作してもらったりで自分で作った事は今まで無かった。自分でも不器用を任じているので、まともなものが製作できる自信は正直全く無いのだが、評価用と割り切り思い切ってチャレンジしてみた。
事前にある程度思い描いたイメージスケッチがあったので、それを元にサイズを決めて板取りのポンチ絵を持ってダメ元でDIYショップに行ってみた。板のカットをしてもらえる事は分かっていたが、ユニットを取り付けるような丸穴を開けてもらえるのかどうかが自分なりの重要なポイント。自分で綺麗に穴あけする工具など持っていない。結果すんなりとやってもらえることが分かり、板(24㎜厚)を購入、カットをお願いした。
当日夜にはカット完了の連絡があり、翌朝急いで取りに行く。仮組みをしてみてもバッチリの精度。これなら、最終的な仕上げ、見栄えはダメだとしても評価、試験用のエンクロージャとしては何とかなりそう。工程としてはユニット取り付け用のボルト穴と鬼目ナットからスタート、穴がズレてユニットが取り付けられなかったらどうしよう、と冷や汗をかきつつ何とかクリアー。(ユニット取り付けについてはさぐりを入れた落とし込みなどはしていない)各パーツ板の鳴き止めやら吸音材(フェルト)などの細工を先に行っておいて組み立て。カットの精度が高いのでここはあまり苦労せずホッとする。
それほど大きくないサイズなので、昨日今日という短時間で左右とも素の成型が完了。本来の順番としてはここから表面仕上げやら、塗装やらとなるのだが、一旦それは据え置いて、早速の音出し。ミッドローとして測定しつつシステムに組み込むのはユニットのエージングがある程度進んでから行う方が望ましいのでまずはフルレンジで聴き始める。
仕上げ無し無塗装状態かつ仮置き位置:
Carbon Textremeの音であるのかどうかは判然としないのだが、とにかく音離れ、音抜けが良い。音もキレがあってクリアーなのだが、尖がった感じはほとんどしないし硬質感もなくてこれは好ましいポイント。想定してきた音のイメージに近い。このユニット、16cm口径であるが、4KHz辺りまでの暴れが少なく、30度、60度の指向性も案外と良い。5KHz以降はブレークアップもあるので、本来の使用帯域ではないのだが、流石にカーボン振動板なので高域もそこそこ素直だし、なまらずにしっかりと出してくる。従ってフルレンジで聴いていても心地良く音楽が聴けるほど。これはまだ片鱗を垣間見たに過ぎないとは思うが。
現在ブレークインを兼ねてこのフルレンジでずっと音楽再生させているのだが、質感としてはまずまずの合格点だと思える。4wayのミッドローとしては、200Hzより下も試してみたくなる性能なのでこの辺りはいろいろ試行錯誤してみようと考えている。上の方は800Hzや1000Hzのクロスオーバーとするのはちょっともったいないかも? と思うような素直さなので、場合によってはミッドハイ無しで3150Hzあるいは3550Hzくらいまで使ってみるのも面白いかもしれない。従来のミッドローユニットであるFPSは平面振動板なので音を直線的に飛ばしてくる部分があるのだが、このユニットはもう少し音の広がりが感じられる。この辺りがアドバンテージになってくれると導入の甲斐があるというものだし、次の段階となる4wayへの組み込みも期待が持てそうで大変楽しみ。まずはブレークイン終了にあわせてエンクロージャの塗装などを仕上げて、設置位置調整や測定なども必要なのだが、、、
専用のスタンドで先行き高域系ユニットの高さが変わらないように配慮:
なお、このユニットはMadisoundから購入したが、1個262ドルとこのクラスとしては随分と廉価。設計はデンマークらしいのだが製造はインドネシアということでその分生産コストダウンのメリットが生かされているのかもしれない。ミッドローのユニット選定としては、Scanspeak EllipticorあるいはAccuton C890辺りが妥当であろうかと随分悩んだところもあるのだが、結果的には存外にベターな選定となったのかもしれない。
ミッドローのユニットとしては口径が16cmとやや小さいかな、と思わぬ部分が無い訳ではない。だが、SB Acousticsからは19cmのCarbon Textremeユニットがcoming soonとして既にアナウンスされている。まだ購入できる状況には調べた限りではなっていないのだが、4wayでのテスト結果が良好であれば、本採用としてはこの19cmサイズを選択するという可能性もあるかも。何にせよ選択肢が多い事は好ましくもある。しばらくはまたあれやこれやと楽しめそうである。
4way SUP-T11構成の設定備忘録(2020年6月17日更新)設定値
項目 |
帯域 |
備考 |
Low |
Mid-Low |
Mid-High |
High |
使用スピーカー ユニット |
- |
Sony SUP-L11 |
FPS 2030M3P1R |
Sony SUP-T11 |
Scan Speak D2908 |
- |
スピーカーの 能率(相対差) |
dB |
97 (+4) |
90 (+0) |
110 (+17) |
93 (+0) |
|
DF-65の 出力設定 |
dB |
+0.0 |
+1.2 |
-10.0* |
+4.0 |
|
マスターボリューム アッテネーション |
dB |
-7.0 |
-6.0 |
-3.0 |
-5.0 |
|
パワーアンプでの GAIN調整 |
dB |
0 |
0 |
-12.0 |
-12.0 |
|
スピーカーの 想定出力レベル |
dB |
90.0 |
85.2 |
85.0 |
80.0 |
|
クロスオーバー 周波数 |
Hz |
pass ~ 224 |
180 ~ 800 |
800 ~ 3550 |
4000 ~ pass |
Low Pass ~ High Pass |
スロープ特性 設定 |
dB/oct |
flat-24 |
24-24 |
24-24 |
24-flat |
Low Pass High Pass |
DF-55 DELAY 設定 |
cm |
0.0 |
-30.0 |
+28.5 |
+32.0 |
相対位置と 測定ベース |
極性 |
- |
Norm |
Rev |
Norm |
Norm |
|
DF-55 DELAY COMP (Delay自動補正) |
- |
ON |
自動補正する |
DF-55デジタル出力 (Full Level保護) |
- |
OFF |
保護しない |
|