オーディオ日記 第48章 妄想と葛藤(その1)2020年1月4日


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PCオーディオの実力を考える(3):妄想編

PCオーディオを考えるに際して、PCあるいは機器として垂涎の Pink Faun 2.16X なのだが、我がPCにどのようなエッセンスを凝縮すれば更にこの先に行けるものなのか、それをしっかりと考えておかねばならない。

現状の構成は段々と肥大化しつつあるのだが、

1.JPLAY FEMTO(Single PC構成)、USB出力
2.Symphonic-MPD、S/DIF出力
3.lightMPD、S/PDIF出力
4.JRMC、USB出力

と我が家にはこの4つの再生環境(1~3の構成が常用、4はテスト用)がある。そしていずれもMUTEC MC+USBを経由しており、Cybershaftからの10MHzマスタークロックをベースにリクロック処理を行って、最終的にデジチャンに送り出している。

JPLAY FEMTO、Symphonic-MPD、lightMPDの三構成が常用:
lightMPD Config

チャレンジとして、はPink Faunの S/PDIF Bridge を使用する前提で考えてみたいのだが、これをどのような環境(OSならびに再生ソフトウエア)で駆動するのがベターなのだろうか。Windows+JPLAY FEMTOはKernel StreamingによるUSB出力に特化しているようにも思えるので対象とはならないかもしれない。PCベースのLinuxとMPDという組み合わせが妥当という意味で有力候補にはなるのだが、Ubuntu Serverなどの環境でMPDからALSAベースの出力というのも今更感があって実のところあまり心が躍らない。また、Linuxの場合はカーネルのリアルタイム化が望ましいのだが、ディストリビューションとしてセットアップされていないものを独力でビルドするスキルは残念ながら無い。このため有力候補として考えられるのはAudiolinuxかも?とは思うのだが、、、

そこで、昨今巷で話題のDirettaはどうなのか、改めて考えてみた。現状Diretta Target PCとして使えるものは極めて限定されており、OLIOSPECの「Diretta Target PC」位か(ネットワーク機器であるSFORZATOをLAN DACとして使う構成は当方にとっては対象とはなりにくい)。もちろん、このDiretta Target PCを使ってみるのも面白そうではあるのだが、やはり気になる点もある。それはUSBメモリからの起動専用であることやそもそも出力がUSB DAC想定であること。PC自体もコンパクトなものなのだが電源系の特段の考慮などはされていない。

この仕様だとやってはみたいが、敢えてチャレンジという強い欲求には至らない。だが、Direttaそのものは今後に大いに期待しうる ものだと思うので、何とかならぬものかしばし悩む、、、辿り着いた結論は、従来の我が家のAudio PCと同じように多少の電源系ノイズ対策も可能なFANレスシャーシにPink Faun S/PDIF Bridgeを搭載して、「Diretta Target PC」に仕立てること。もちろん、起動は内蔵SSDから行う前提でいきたい。

OLIOSPECのDiretta Target PCはLinuxベースと推定されるのだが、OSならびにソフトウエアとして単体で販売されているものではない。この辺りは当然ながらサポートの問題もあるので現状はやむを得ないとは思う。一方でOLIOSPECは各種オーディオ用PCの販売、カスタマイズも行っているので、もしかしたら「特注品」という扱いで、S/PDIF Bridgeを組み込んだカスタムPCとDiretta対応ソフトウエアの組み合わせという対応をしてもらえぬものであろうか?

もしこれが実現できるものであれば、これはなかなか面白そうにも思える。送り出しはWindowsベースのJRMC辺りから専用ネットワークで行えば良さそうだし、またASIO対応しているアプリケーションであればいずれも利用可能と推定される。Diretta Target PCにて、USBは使わずにS/PDIFでデジタル出力し、これを直にデジチャンに放り込むことが可能となるのだ。う~ん、これはイケてるアイデアかも!? 実現可否は別として、当たって砕けろ、の精神でチャレンジしてみねばなるまい。

(2020年1月7日追記)
カスタム版Diretta Target PCの実現可否について問い合わせたところ、ライセンス契約上指定のハードウエアという制限があり内蔵SSDからの起動やUSB以外の出力に変更することも不可との回答をいただいた。大変残念ではあるが、当方の妄想ベースの不躾なる問い合わせに対し懇切丁寧な回答をいただいたこと深く謝する次第である。

(閑話休題)パラメトリック・イコライザー

上記の構成でDiretta Host PCをJRMCベースで考えてみると、もうひとつやってみたいことが出てくる。それはJRMCの「パラメトリックイコライザー機能」の利用である。アナログの時代からグラフィックイコライザを試して来てその得失はそこそこ理解しているつもりだが、パラメトリックイコライザは本格的に使用した経験がない。パライコはプロ用としてはかなりの機種もあるのだが、デジチャンをベースにした当方の4way構成に組み込むためには多少のハードルがある。基本的にデジチャンへのデジタル入力前提なのでアナログタイプの採用は難しい。(もちろん、4way分用意すればデジチャン後段で使用はできるのだが)

かってデジタルイコライザーとして古くはAccuphase DG-28やその後BEHRINGER DEQ2496を随分あれこれとテストしてみたが、96KHzまでの対応であることやデジタル入出力であっても音質的な劣化が気になっていた。dBXなどのプロ用デジタルチャンデバにはパライコの機能が組み込まれているので本来的にはそれが一番望ましいのだが、4way用のdBX4800は既にディスコンとなってしまっているので、中古機を探すしかない。等々すんなりとはパライコを試すことが出来ないでいた。

JRMCをレンダラーとして使用する構成であれば(現状はJPLAY FEMTO用のコントロールポイントとしてしか使用していない)、このパライコ機能(JRMCのパライコ機能はそこそこ高機能)を使えることにもなるのだ。パライコは周波数レスポンスの補正にも使えるし、積極的な音作りにも使えるのだが、もちろんその使い方はかなり難しい。グライコの操作パネル上のスライダーとは違って「視覚的に」設定状態と音への関与度を認識する事はできない。従って「感性」、「経験」が充分にないと音そのものが破綻する可能性もある。当然そのようなセンスは当方にないのだが、周波数測定をしながら僅かな補正を加えつつ、「整音」レベルの意味で進めてみたい気がする。

そこで、こちらも習うより慣れろ、の精神でやってみた。デジイコを使った今までの経験から、デジタルDSP処理を行わせる場合、最低でも24bit化しておくことが望ましく、できればサンプリングレートも事前に上げておいた方が良い、と考えている。このため、音源データはMinim Server上でSoXによる変換(44.1KHz/16bitを176.4KHz/24bit化)を行わせるようなTranscode設定としておく。(こういうことが簡単にできてしまうことが、Minim Serverを利用することの大きなアドバンテージだと思う)

JRMCのパライコ機能はローシェルビング、ハイシェルビング、周波数によるイコライズなどは当然として多彩でまだまだ全体を理解して使いこなせるまでには至っていないが、従来からやってみたかった若干の設定から始めてみた。まずはローシェルビングによる30~40Hz辺りの増強、ハイシェルビングによる14000Hz以上のなだらかな落ち込みを補正。我が家のベリリゥムツィータの若干の個性ともなっている7000Hz辺りの山のフラット化。加えて400~500Hz辺りの混濁感を避けてすっきりとさせるための対応。もちろんまだまだ積極的な音作りという観点からは程遠いレベルのもので、多少の「整音」をしてみたに過ぎない。

JRMCパライコ機能の多彩な設定オプション:
JRMC Para EQ Option

Accuphase DG-58やトリノフに代表される自動化された(ある意味で極めて高価な)デジタルイコライザというものも視野にはあるのだが、そこまでのフラット化を求めている訳ではないし、逆に云えばリスニングポイントでフラット化した音にはそれほど心地良さを感じない、という経験値もある。音楽再生は理論も重要だが、感性や官能の入り込む余地を残しておく必要があるのかもしれない。

だが、現状でもこれはこれで案外と効果を実感できる。最終的にこれが採用に至るものなのか現時点はまだ分からないが、このパライコ機能に特化したJRMCレンダラー環境を作成したので、しばらくは実験を続けてみようと思う。そしてこの環境にてDiretta Target PC(カスタマイズ版)と連携が取れるようになったら、それはそれで面白くもなりそう。いずれSymphonic-MPDもラズパイ4対応となって一段と強化、ブラッシュアップされた音を聴かせてくれるはずで、その対決もまた待ち遠しい、等々妄想は尽きない。


4way構成の設定備忘録(2019年12月4日更新)設定値

項目 帯域 備考
Low Mid Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
Sony
SUP-T11
Accuton
C51-286
Scan Speak
D2908
-
スピーカーの
能率(相対差)
dB 97 (+4) 110 (+17) 93 (+0) 93 (+0)
定格値
DF-65の
出力設定
dB +1.2 -10.0* +1.7 +3.8
*DF-65 Att ON
マスターボリューム
アッテネーション
dB -3.0 -3.0 -6.0 -3.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB -6.0 -12.0 -6.0 -12.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 89.2 85.0 82.7 81.8
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz pass

500
500

1400
1400

2500
4000

pass
Low Pass

High Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-48 48-24 24-18 24-flat Low Pass
High Pass
DF-55 DELAY
設定
cm -7.0 -37.0 +30.0 +30.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Norm Norm Norm MPD
環境下
DF-55 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-55デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない

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