オーディオ日記 第47章 巡礼(その11)2019年12月10日


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ラズパイは美味しいか(その15):lightMPD編

多少の紆余曲折を経ながらも現状の我が家のオーディオ環境は案外と落ち着いてしまっている。PCオーディオに関してはJPLAY FEMTOのSingle PC構成とSymphonic-MPDの二本柱が当分続くものと思うのだが、Streamingに関してはまだお試し状態で再生環境とのスムーズな連携(特にタブレット端末からの極楽操作)が前提となるのでまだ最終的な結論は出し切れていない。いずれにしてもデジタルトランスポートという観点からはCDプレイヤーに戻る事はないし、所謂ネットワークオーディオ機を購入する心積もりも(今のところは)ない。

PCオーディオのプラットフォームについてはPCベースのものとラズパイを並行的に使っている状態であり、ラズパイに関しては3B、3B+を使い分けているのだが、ハードウェア性能のポテンシャルを考えるとそろそろ4も導入しておきたい。ただ、現状ではSymphonic-MPDは4では稼動しないようで、またいずれ対応するにしてももう少し時間が掛かりそうな様子である。

このため少し情報を集めてみると、lightMPDがラズパイ4に既に 対応している ではないか。なるほど! lightMPDはAPU系のプラットフォームのイメージが自分としてはあって、早くからPCベースのVoyageMPDに移行してしまっていたので、ALIX3D2は持っているのだがAPU系のハードは持っていない。そのような経緯から今まで縁がなくlightMPDを一度も導入評価したことが無かった。lightMPDではラズパイに関しては以前からサポートされているようだが、一気にラズパイ4対応まで進んだようなのだ。

ラズパイ3B+でももちろんのことlightMPDは稼動するので(ちょっと暇なこともあり?)、まずはこれでテストしてみようと思い立った。その上でラズパイ4を購入すれば買ったものが遊ぶことも無かろうと。

さて、lightMPDのラズパイバージョンのインストールだが、基本的な対応はダウンロードしたパッケージをマイクロSDカードに書き込んだ後、Windows環境にて設定ファイルを弄るだけなので特段難易度が高いという部分は無い。だが、設定をちゃんと行うためにはMPDとラズパイに関する知識経験がある程度は不可欠とやはり思える。幸いにもラズパイであれこれと遊んできたのでconfig.txtの基本部分は何となく分かるし、完璧ではないにしろMPDには親しんで来たので音出しまでにスタックしてしまうということも無かった。

一方で、lightMPDはSSHによるリモート操作が出来ないようでこれはちょっとした設定の手直しをしたい時には不便に感じた(telnetは可能だが、マイクロSDのマウントから行う必要があってそこそこ面倒)。順調に稼動していれば何ら問題が無いのだが、問題判別あるいは状況などをコマンド操作で確認したいと思うこともあるので。停止させる時は電源ブチ切りでいいようなのでこれは楽チン。(逆に云えば、現在再生中のプレイキューは保存されない。また、楽曲データベースやプレイリストなどはサーバーPC(あるいはNAS)に保存される仕組みとなっている)

現状はまずは音出し、という観点なので細かいセットアップはまだまだこれから習得する必要がある。特にDSD音源をDSDtoPCMした上で、Hifiberry Digi+ProからデジチャンあるいはMutec MC3+USBにS/PDIFで送り出す環境は当方にとって必須なのだが、これは基本の状態にて対応できていることは嬉しい(ただし、いろいろな設定オプションがあるようでまだ研究中)。

ラズパイ3B+とHifiberry Digi+Proから光ケーブルにてデジチャンに入力する素の状態で試聴を始めた。プラットフォームは全く同じなのでこのlightMPDとSymphonic-MPDとの出音の差には当然ながら興味のあるところ。lightMPDはVoyageMPDなどと同じように汎用的なオーディオ出力であるALSAにてHifiberry Digi+Proを駆動している。これはRaspbianやUbuntu系OSなどの一般的なMPD稼動環境とも同じである。Symphonic-MPDの方はxenomaiというリアルタイム処理に特化したやや特殊な環境でALSAは使用していない(いずれもOS的にはReal Time Kernel)。さてソフトウエア差異による音の違いが出てくるのだろうか。

書き忘れたが、lightMPDはUPnP/DLNAを使わないシングル構成である。これは操作にyaMPCを使いたいため。率直に云って、UPnP/DLNA系のメディアコントローラによる操作感はもっさりしていて好きではないのだ。lightMPDをお使いの方はUPnP化したデュアル構成にすることが多いのかもしれないのでこの点は少し異なっていると思う。(yaMPCの操作感は抜群であるので、多くの方にお勧めしたいのだが)また、アルバムカバーアートのyaMPCへの表示方法についても直接音源の乗っているサーバーPC(NAS相当)のIISにアクセスさせるという方法を使っていることなどもその他の違う点かも。なお、yaMPCからの操作性ならびにlightMPD自体の安定性は非常に良好なレベルにある。

さてlightMPDの音である。lightMPDのファンが多いということを頷かせる。シンプルで直截的、滲みなど微塵もなくかっちりしたかなり切れの良い音だと思う。従って充分に高域感を伴った素晴らしい音楽が展開される。この点についてはSymphonic-MPDとも共通するアドバンテージだと云えるだろうけれど微妙に差異もある。まだ厳密な比較が充分できている訳ではないが、低域の厚み、押し出しという観点では当方にとってはSymphonic-MPDの方に好ましさを感じさせるところがあるかな? 特にオーケストラなどで低域が広がりを持って展開されてくるような部分。だがこの辺りはもっと時間をかけて多様な音源を聴き込まねば正しい判断はできないだろうと思う。いずれにしても相当に高いレベルにある音だと感じさせてくれることには違いがない。となれば、ラズパイ4でもこのlightMPDの音を聴いてみたくなる、というのはまた人情でもあろう、、、、

なお、試してはいないのだが、このlightMPDはWindows系PCプラットフォームの環境でも(若干の制限はあるようだが)稼動するらしい。我が家のファンレスPCでも試してみたくなるという誘惑が無い訳ではない、、、だがこれはやはり辞めておこう。

デジタル再生という観点では多様な選択肢がある事は歓迎だが、そもそも何をやっているのか(音楽を聴きたいのか? PC遊びがしたいのか?)分からなくなってしまう気がする。あれこれ目先を変えて楽しむことが本意でもない。本当に良いと思える再生環境をじっくりと試し細部を煮詰めて行きたいのだ。そのような意味からもラズパイによる音楽環境は最早我が家では必須のものとなっていると云えるかも知れないがまだ完成には至っていない。この音自体とラズパイのコストパフォーマンスからラズパイ抜きのデジタル再生は到底考えられない状態なのでさらに熟成させていきたいと思う。

電源環境(さらにはクロック)の整備によってもラズパイはまだまだオーディオ的な高みに行けるものと思う。Symphonic-MPDもlightMPDも環境的には少々取っ付き難い印象はあるかもしれない。だが、デジタル再生はオーディオの観点から最早必須である現在(アナログ再生を否定するものではない)、抜群の音質とコストパフォーマンスを提示してくれているこのラズパイオーディオを避けて通ることはとてももったいない。ラズパイ、やっぱり美味しいです!


4way構成の設定備忘録(2019年12月4日更新)設定値

項目 帯域 備考
Low Mid Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
Sony
SUP-T11
Accuton
C51-286
Scan Speak
D2908
-
スピーカーの
能率(相対差)
dB 97 (+4) 110 (+17) 93 (+0) 93 (+0)
定格値
DF-65の
出力設定
dB +1.2 -10.0* +1.7 +3.8
*DF-65 Att ON
マスターボリューム
アッテネーション
dB -3.0 -3.0 -6.0 -3.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB -6.0 -12.0 -6.0 -12.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 89.2 85.0 82.7 81.8
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz pass

500
500

1400
1400

2500
4000

pass
Low Pass

High Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-48 48-24 24-18 24-flat Low Pass
High Pass
DF-55 DELAY
設定
cm -7.0 -37.0 +30.0 +30.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Norm Norm Norm MPD
環境下
DF-55 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-55デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない

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