オーディオ日記 第46章 幸せの音(その16)2019年8月15日


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PCオーディオお勉強と雑感:

二台のラスパイにてSymphonic-MPDを運用する体制がやっと落ち着いた。電源系を整備してある3BはFLAC音源の再生用としノーマルの3B+はDSD音源をDSDtoPCMダウンコンバートして再生する専用機の位置付けである。3B+でのDSDtoPCMに関しては我が家の環境依存もありそうなのだが、当初最新版のSymphonic-MPD(V.0.8.29)では何故かうまく行かなくなり(V0.8.23まではOKであった)、開発者のパパリウスさんにはいろいろとサポートしてもらうなどお手数をおかけしてしまった。改めて考えるまでもなく、ラズパイ全般に関してはまだまだ当方も判っていないことばかりでもう少しボケ防止のお勉強が必要であると認識している。心地良くSymphonic-MPDにて音楽を音楽を聴きながらもつらつら思案していて、ふと一足先にラズパイ4の準備をしておこうと考えついた。

ラズパイ4本体は日本での販売にはもう少し時間が掛かるであろうが、対応OSであるRaspbian Busterは3B+でも稼動可能であるので、この環境をまずは作ってみようと。当然ながら音楽再生目的なので、Raspbian-Lite Busterを選択し、早速インストール作業。MPDはRaspbian-Lite StretchではMPD 0.19.0とかなり古いバージョンが使われているのだが(Symphonic-MPDもこれをベースにしている)、Raspbian-Lite Busterでは何と「V0.21.5」と相当にジャンプアップしたものが採用されている。これにともないMPD周りの設定パラメータその他一部変更となっているものもありそうなのだが、まだ詳細は未確認。

音出しまではもう大分慣れている(昔を思い出した?)作業なのでそれほど時間も掛からずさっさと進む(導入手順忘備録は後段に記載)。3B+からの光出力で音楽を聴き始めるが、案外と悪くはなくそこそこの感じ。記憶ベースでしかないが、先にRaspbian-Lite Stretchで環境設定した時の音と比較すればすっきりと洗練された感じ。MPDのバージョンが比較的新しいものであることが影響しているかどうかまでは判らない。おそらくはSymphonic-MPDでの設定を参考にして不要なラズパイ機能をいろいろと止めていることと関連があるものと思う。多少厳密に聴いてみると僅かに低域に膨満感も感じられもう少し引き締まった低域が欲しいかな?と思うところはあるのだが高域感はなかなかのもの。総合的にはかなりイイ線でもある。

さて、このRaspbian-Lite Busterで改めて音楽を聴きながら、次はどうしたものかな?と考えてみると、リアルタイム処理環境であるxenomaiをインストールできぬか、というところに行き着く。ただこれは当方のような全くの素人が出来るレベルのものかどうか検討もついていない。またxenomai環境を構築できたとして、alsaベースで音楽出力が相変わらす可能なのか、どうか。あるいは何らかのプログラミングレベルの作業が必要となるのか、等々。まぁこの辺りはゆるゆるとお勉強をしながら更に知識を蓄えない限り如何ともし難いものとは思う。

(閑話休題)

PCオーディオのいろいろな意味での進化はやはり素晴らしく、ラズパイのような廉価な機器でこのレベルの音が出せてしまう現実は素直に認めなければならないだろう。感覚的なレベルでの優位性として機器の分割なども行ってみてあれこれと工夫をしてきたが、音源をサーバーPCに分離しているこのMPDの構成であればラズパイ単体でも全く能力的にも音楽再生の質的にも不足は無さそうに思える。実際、Symphoic-MPDの(ラズパイ単体での)音はDual PC構成の他の再生アプリの音と遜色なく、浮遊感のある爽やかな音という観点から最早それを越えていると明確に感じられる。一方で負荷分散という頭の中での思考として抗いがたい部分もあるのだが。あるいは不可避な電源系ノイズ対策なども、、、

従ってこの観点からは機器を分散させるという手法を全く否定する事はできない。だが一方で、この負荷分散は機器を増やし接続など環境維持の複雑さを増すこともあって「安定感」あるいは「安定運用」という見地では却って好ましくは無いことも事実なのだ。この辺りのバランスにはとても悩ましいものがある。また、複雑な構成を組み上げて音を出すことを目標として求めてはいけないのだ。なお、機器を分散させるための手法は現在百花繚乱とまでは云わないがいろいろと選択肢もあってどれが音的にベストなのかちゃんと判断できるような把握も比較も仕切れていない。今後ここはひとつの課題であろうと思う。ただ、UPnP/DLNA方式でDual PC構成を運用してきた経験を踏まえれば、この手の方式のまだだまだ多いトラブル、安定運用の難しさ、何よりもコントロールアプリの脆弱さ、操作感の悪さ、というものからは根本的に逃れられ無いようにも思える。またラズパイベースのArchphileをUPnP/DLNA化する実験も少し前にしてみたが音としては決して改善されなかった。この辺りにはまだまだ迷信や風評レベルの評価も絡んでいるので、最終的な「解」は自分の耳で突き止めることが肝要と思う。

純粋に「音だけ」に拘るのも良しではあるが、当方の実感あるいは経験値としてPCオーディオに求めるものは「音」、「安定性」、「操作性」の三本柱である。もちろんそれぞれに何らかの妥協は現実としては不可避なんだろうとも思う。しかし、居眠りしつつ心地良く音楽を聴く、というスタンスである以上、「安定性」と「操作性」にも高いものを求めたいのだ。もちろん、PCオーディオの弄る楽しさを否定はしないのだが、、、

ラズパイとMPD環境に舞い戻ったことによって、改めてリコモンアプリの十全な操作性が与える安心感というものを感じている。もちろんひとつの方向性としてはroon環境というものも今後は避けて通れない選択肢であろう。だが、現状手持ちの音源でも聴き切れないくらいのものがあり、現時点ではこのシンプルなラズパイ構成とyaMPCなどのMPDクライアントでそれらを堪能する至福の時を過ごしている。

翻って、我が家のオーディオ環境を顧みると、最上流にラズパイを置いた構成の何とアンバランスなことか。サイズ的にも重量的にも価格的にも、、、ラズパイに比せば後段の機器構成はあまりにも膨大、複雑怪奇である。一般的な音楽再生という感覚からは随分と遠いところまで来てしまった。現状のマルチアンプシステム、4way構成のスピーカーなどは家族の誰も設定、維持管理などできない。極端に云えば、それぞれの機器の役割、電源の入れ方やその順番すら理解されないであろう。これが良かったのか、悪かったのか、今はまだ判らない。だが、この普通の人にとっては訳の判らない状態の機器構成で聴ける「何気ない音楽」は当方にとっては限りなく「幸せの音」になりつつある。

しかし、これで安心してはならない。ラズパイベースの音が本当に良いのか? 単に感性だけではなく、世のネットワークトランスポート機器などともじっくりと聴き比べて対決させる必要があると思うし、総合的なレベルでのリスニングルームの電源対策という観点ではまだまだ手をつけていないに等しい。だから現状をゴールにしてはいけないのだと思う。

(忘備録)Buster導入手順:

1.Raspbian-Lite Busterのダウンロードは公式サイトからは遅くてまともにダウンロードできないので、日本のサイトを利用する。

2.インストール後最初に行う「/boot/config.txt」の設定はSymphonic-MPDの設定を参考とさせていただいた(なるべく不要な機能は止める方向なのだがある程度理解できているレベルのものにまだ留まっている)。またsshファイルを作っておくことも相変わらず必要のようだ。
(設定内容は下記の通り)
dtoverlay=hifiberry-digi-pro

force_turbo=1
arm_freq=1344
arm_freq_min=1344
avoid_warnings=2

gpu_freq=62
gpu_freq_min=62

# disable wifi/bluetooth
dtoverlay=pi3-disable-wifi
dtoverlay=pi3-disable-bt

dtparam=i2s=on
dtparam=i2c_arm=on
dtparam=i2c_vc=off
dtparam=spi=off
dtparam=audio=off

3.IP固定はRpasbian方式(/etc/dhcpcd.confの編集)にて行う。またNASのマウントは「/etc/fstab」に自分で記述するのだが、raspi-configでネットワークの起動を待ってbootするというオプションを設定をしないとマウントに失敗するので、ここは注意が必要。

4.apt update、apt upgrade(「--fix-missing」オプション設定が望ましい)を行ってからmpdとsambaのインストール。

5.「mpd.conf」の編集はまずは再生確認を優先。
port、bind_to_address、mixer_type辺りを触ればいいだろう。為念、「aplay -l」にてHifiberry Digi+Proがちゃんと使えることを確認。

6.yaMPCなどのmpdクライアントからの操作が前提となるので、カバーアートの取得設定も重要。ここは全体を理解していないとちょっとまごつくのだが、「/NAS」というディレクトリを作成し、[/var/lib/mpd/music」にシンボリックリンクを張るだけ。mpdクライアントからはラズパイではなく、音源を搭載したサーバーPCへ直接カバーアートを参照しに行くように設定(IPアドレス/NAS)する。ただし、サーバーPC側では「NAS」という名称をデフォルトルートディレクトリに設定したHTTPサーバーの稼動などが必要。

7.環境設定の確認(全体ならびにmpd)のため、ある程度音源再生を行ってからマルチスレッド対応のresampler設定を行う。

resampler {
      plugin "soxr"
      quality "very high"
      threads "0"
     }
(threds=0がOpenMPによるマルチスレッドの指定、デフォルトは1で使用しない)


4way構成の設定備忘録(2019年8月3日更新)設定値(Mid-Highは未補正)

項目 帯域 備考
Low Mid Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
Sony
SUP-T11
Accuton
C51-286
Scan Speak
D2908
-
スピーカーの
能率(相対差)
dB 97 (+4) 110 (+17) 93 (+0) 93 (+0)
定格値
DF-65の
出力設定
dB +1.7 -9.3* +1.7 +3.2
*DF-65 Att ON
マスターボリューム
アッテネーション
dB -3.0 -0.0 -3.0 -0.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB -6.0 -12.0 -6.0 -12.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 89.7 88.3 85.7 84.2
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz pass

630
630

1250
1250

2240
3550

pass
Low Pass

High Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-24 24-24 24-24 24-flat Low Pass
High Pass
DF-55 DELAY
設定
cm -5.0 -37.0 +37.0 +40.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Norm Norm Norm MPD
環境下
DF-55 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-55デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない

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