オーディオ日記 第46章 幸せの音(その11)2019年7月12日


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Symphonic-MPDを試す(その6):電圧編

懸案となっているラズパイの曜日や時間帯によって発生する電圧低下の問題だが、どうもいろいろな条件が複合されて発生するところまでは判って来たのだが未だ解決には至っていない。電圧低下を引き起こす要因としては、

1.我が家の電源環境(集合住宅)
2.電源アダプタの能力不足(5V3A仕様)
3.Hifiberry Digi+Proの搭載による電力消費の増大
4.マイクロUSB端子起因による電圧減少

等々が推測としては考えられるのだが、電圧低下の発生状況が必ずしも一律ではないため単一の条件によって引き起こされている訳ではなさそうである。そもそもラズパイ3B+の仕様において3Aの電力供給が全くの不足とも考えにくい。

電圧低下自体はLEDの点灯状況(SMPDでは点灯によって電圧低下を把握)や一連のvcgencmdで確認しているが、一定時間継続して低下状態になる時と、いったりきたりしている状況(LEDが周期的に点滅)が混在している。本来5V必要な電圧が4.63V以下になるとこの「電圧低下」を検知する仕組みのようで、この状態となるとCPUクロックが600MHzにダウンしてしまう。こうなると操作はもたつくし、何より音が生気のない状態になってしまって実運用には適さなくなる。

一義的な対応としては上記の1~4の推定要因に対して

1~3には安定化電源の手当て。出来れば4A仕様
4にはGPIOピンからの電源供給

などが考えられるところ。まずは早急に4から対応してみることが一番手っ取り早いか、、、

だが一方で、電流供給量的には3Aで不足は無いはずとも思えるので、瞬間的な電圧低下が発生してもCPUのクロックダウンをさせない方法を試してみた。方法としては電圧低下発生時の警告を無視してCPUクロックを維持する設定を/boot/config.txtで行う。

arm_freq_min=xxxx (xxxxはarm_freq=xxxxと同じクロック数を指定)
avoid_warnings=2 (警告条件発生時でもforce_turbo=1を有効のままにする)

当然ながらこのような設定ではCPUを含めた各部が正しく操作できないような電圧低下が起こってしまった場合はカーネルパニックなど予想外の事象の発生も予測され、最悪は起動用のマイクロSDカードを破損する危険性もある。従って推奨はできるようなものではないのだが、まだ試行運用の状態なのでどういうことが起きてしまうか確認の意味も含めて実験してみた。

最初はSMPDの初期値であるCPUクロック1152MHz(3B用)、LEDは消灯したままで再生し各種操作も問題なし。次にB3+のCPU性能を活かすようなCPUクロック1368MHzの設定。これも大丈夫。調子に乗って、CPUクロックの最大値である1400MHzに設定して現在様子を見ているが、今までのところは全くの平常運転。この状態で再生音の劣化は特に感じないし、音切れなども発生しない。また、SMPDのダッシュボード上の「latecncy Sample」にも特段の異常がない。CPU温度は空冷を行っていることも勘案しなければならないが45℃を越えない。1400MHzでも概ね順調に稼動していると云って良いだろう。

テスト用音源再生中のDash Board:
SMPD Dash Board

課題は曜日や時間帯での変化。特に週末の夜間、またこれからの季節、集合住宅内の各戸がクーラーを多用するような状態の時でも同様の運転状態を維持できるか。あるいは過度に電圧低下が起こって何らかのパニック状態が発生しないか、などウォッチしていく必要があると思う。

もちろんこれは暫定的バイパス対応というべきもので、本来的な手当てではなく若干の危険性も含んでいると思う。ただ、ラズパイ自身が電圧低下を検知する仕組みとそもそもの基準電圧に若干のマージナル、余裕が見込まれている可能性もある。であるとすれば、僅かに基準電圧を下回った状態が多少の頻度で起きても稼動そのものにはあまり影響が無いとも考えられる。特にSMPDにおいては600MHzへクロックダウンした時の弊害が大きいので、これを最低条件として避けなければならないことを優先するならば、この対応は「あり」と云える。

ただ、いずれにしても電源廻りの抜本的な対策が不可欠であることは論を待たない。当方は工作やハンダ付けなど不器用なためえらく苦手なのだが、まずはマイクロUSB端子を介さない電源供給方式を試してみようと思う。並行的に今回の設定で運転状況をウォッチしていくこととしたい。この電圧低下の課題、問題点をすっきりとさせないと本来オーディオ的に必要な良質な電源の供給方法を確定できない。マイクロUSBによる供給(これがラズパイの基本ではあるのだが)はどうも避けた方が良さそうにも感じている。

(閑話休題)

昨日家内にせがまれてオーチャードホールで公演されている マシュー・ボーンのSWAN LAKE を一緒に鑑賞してきた。バレーにはほとんど見識を持ち合わせておらず多少の新鮮味があったというレベルなのだが、当方の関心ごとはもっぱらオーチャードホールの響き。この公演は普通のバレー公演とは違い生演奏ではなく、録音音源が使用されている。このためホールのPA装置がこの音響空間でどのように聴こえるか大変興味があった。当然ながらホールの響きに裏打ちされているのでそこそこの質感は保っているがやはり音量が上がった時には多少圧迫感が増す。この辺りは生演奏との大きな違いであろう。一方でPA装置の能力はそれほど低くはなく音の密度間、充実度というものが充分感じられ、濃い音がしていたように思う。演奏は異なるが自宅に帰ってから同じ音源を聴いてみるとやはり大きなホールでの豊かな響きというものの重要性を改めて感じない訳にはいかない。このような表現、再生を我家のオーディオからも楽しめるように(音量の観点では難しいが)なりたいものだ。


4way構成の設定備忘録(2019年6月17日更新)暫定設定値

項目 帯域 備考
Low Mid-Low Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
Sony
SUP-T11
Accuton
C51-286
Scan Speak
D2908
-
スピーカーの
能率(相対差)
dB 97 (+4) 110 (+17) 93 (+0) 93 (+0)
定格値
DF-65の
出力設定
dB +2.4 -9.5* +1.0 +3.5
*DF-65 Att ON
マスターボリューム
アッテネーション
dB -3.0 -0.0 -6.0 -0.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB 0.0 -6.0 0.0 -6.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 96.4 94.5 88.0 89.5
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz pass

630
630

1250
1250

2800
4000

pass
Low Pass

High Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-24 24-24 24-12 24-flat Low Pass
High Pass
DF-55 DELAY
設定
cm -5.0 -37.0 +37.0 +40.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Norm Norm Norm MPD
環境下
DF-55 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-55デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない

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