ラズパイは美味しいか!?(その4):Archphile編
さて、このかなり廉価なラズパイという「PC」は一丁前の音は出すのだが、Raspbian-LiteベースでのMPDでは、まだ「音が出ている」というレベルにすぎないようにも感じる。本来のポテンシャルをもっと発揮させるためにはやはりもう少し音楽再生を意識したLinux環境への移行が望ましいと感じる。一方で、ある程度はラズパイに慣れてきたところもあるが、まだまだ深いところは判っていないのでキャッチアップの学習は継続しなければならないだろう。現状では何か問題があったとしてもとても自分自身で判別、解決できるようなスキルはなく、ネット上の情報に頼らざるを得ないことがほとんど、、、
だが、Raspbian-LiteのMPDがえらく古いバージョンのため試しておきたい機能検証もできないことから、ここは更に次のステップへ進めてみようと。MPD は0.20以降でDSDtoPCMのための「resampler plugin」が使えることは必須条件と考えている。先日当方の掲示板にてみみず工房のyoさんからご教授いただいた「
Archphile
」というのは音楽再生に特化したものらしいので詳細をじっくりと検討してみると、当方の希望にかなりマッチしている。MPDのバージョンを含む環境もいい感じで適合する。課題はArch Linuxベースであること。当方はArch Linuxは今まで触ったことが無くちょっと不安もある。だが、Arichphileには結構親切な
マニュアル
が用意されていて、それをじっくりと読んでみると案外行けそうな気もしてくる。(一般的にこの手の設定マニュアル的なものは簡素なものが多いが、Archphileでは素人向けのレベルでかなり充実していると思う)
早速マイクロSDカードに焼いてインストール、僅かの時間で環境構築完了。音出しも完了となる。肝心の音であるが、Raspbian系より一段階充実した音が聴ける。細かい技術的な事と音との相関関係は未だ判らない点が多いのだがこの音の違いは判り易い。如何に廉価な仕組みであってもこのレベルの音は必須だな~と改めて感じる。また、もしかしたらラズパイ自身のポテンシャルはもっと高いところにあるのでは?と思えてくるのだ。
セットアップはとても簡単だった:
ArchphileではCPU Isolation(Affinity)の設定がなされており、Quad Coreの割り当てについてもマニュアル上に明記されている。デフォルト状態ではMPDはCore2に固定で占有稼動させているとのこと。(EthernetやUSBのインタプラションハンドリングがCore 3と4、その他の処理がCore 0?との記載あり) このようなチューニングによってRaspbian-Lite比での明確な音質向上がなされているものと思う。(リアルタイムカーネルの採用有無については記述はなかったが、おそらく採用されているものと推測)
機能面ではUPnP/DLNAも組み込まれており、TIDALなどのストリーミングも可能な由。ブラウザからの操作環境であるympdも始めから入っている。まだ網羅的に機能確認が出来ている訳ではないが、総合的な満足度は高い。重心が低く落ち着いた音であることも含めて好感が持てる。
音楽は白いキャンバスに描かれるのではない。漆黒の闇の中から個々の楽器が輝くように空間に現れてこなければならないのだ。だから、背景となる闇は深くなければならない。闇が深ければ深いほど、そこに光を纏って現れた楽器の存在が際立ち印象的となるのだ。このような表現がなければ幸せな音楽は生まれてこない。ベートーベンの序曲は闇の中から忽然と立ち上がり空間を満たし始める。そして自律的に推進されるリズムと響きが徐々に音の伽藍を構築していく。そこに浸り、響きそのものの律動に身を任せることが聴くことの愉悦でもある。チャイコフスキーはその厳つい肖像画に全く似合わない色彩感とチャーミングさに溢れ、モーツアルトはこの先永遠を彷徨うこととなる自分の天上でのBGMなのだ。翻って、デジタル、特にPCオーディオは残念ながらこのようなところが不得意だとも感じてきた。だが、少しづつではあってもそのもどかしさが払拭されつつあるようにも思う。
もしラズパイでこの先満足の域に到達できるとしたら、それはこの機器の価格から考えてある種の脅威でもあろう。今世にあるネットワークオーディオ機器も本質的にはCPUやメモリ、そしてLinuxという概念ではほとんど同じ土俵なのだが、オーディオ機器として設定された価格はラズパイの比ではない。ステップを踏むごとに、徐々にではあるがまだ先の見えていないラズパイの限界を知りたくなってしまうことはやむを得ない。そして次にやるべきこともまだ多い。
だが、現時点ではこのArchphile構築で解決できていない点がある。lighttpdによるカバーアートの取得が上手くできないのだ。設定が間違っていればブラウザーで確認のためのアクセスをした場合「Not Found」となるのだが、何故か「JPEGファイルが壊れてます」という状態になってしまう。音源ファイルと/var/wwwの相関関係はちゃんと成立しているし、Folder.jpgにアクセスすることも問題ないし壊れてもいないだが、、、Raspbian系では問題が無かったこともあり、これは経験したことのない状態なので、果たして解決できるか?
(2019年6月7日追記)
カバーアートの取得に関して、あらかじめ組み込まれているympdとどうも干渉が起きているようだ(不確か)。ただし、単純にymdを停止してしまうと、そもそもラズパイ自体にブラウザからアクセスできなくなる。単純にlighttpdをスタートさせてもダメ。(lighttpdは停止していてもympdによるブラウザ画面にアクセスできるので、これはバッティングが起きているのかも?)駄目元でymdをdisableにしてreboot。それでもダメ。次にlighttpdをenableにしてreboot。駄目、、、、とほほ。ちゃんとlighttpdにサービスさせれば本来は?うまく行くような気がしているのだが。
4way構成の設定備忘録(2019年4月25日更新)SONY SUP-T11暫定設定値
項目 |
帯域 |
備考 |
Low |
Mid-Low |
Mid-High |
High |
使用スピーカー ユニット |
- |
Sony SUP-L11 |
FPS 2030M3P1R |
Sony SUP-T11 |
Scan Speak D2908 |
- |
スピーカーの 能率(相対差) |
dB |
97 (+7) |
90 (0) |
110 (+20) |
93 (+3) |
|
DF-65の 出力設定 |
dB |
+2.4 |
+0.7 |
-9.5* |
+4.8 |
|
マスターボリューム アッテネーション |
dB |
-3.0 |
-0.0 |
-0.0 |
-0.0 |
|
パワーアンプでの GAIN調整 |
dB |
0.0 |
0.0 |
-6.0 |
-6.0 |
|
スピーカーの 想定出力レベル |
dB |
96.4 |
90.7 |
94.5 |
91.8 |
|
クロスオーバー 周波数 |
Hz |
pass ~ 200 |
200 ~ 1000 |
1000 ~ 2500 |
3550 ~ pass |
Low Pass ~ High Pass |
スロープ特性 設定 |
dB/oct |
flat-24 |
48-48 |
48-12 |
24-flat |
Low Pass High Pass |
DF-55 DELAY 設定 |
cm |
-37.0 |
-0.0 |
-58.5 |
+0.0 |
相対位置と 測定ベース |
極性 |
- |
Norm |
Norm |
Norm |
Rev |
JPLAY FEMTO 環境下 |
DF-55 DELAY COMP (Delay自動補正) |
- |
ON |
自動補正する |
DF-55デジタル出力 (Full Level保護) |
- |
OFF |
保護しない |
|