オーディオ日記 第45章 エンドレス・オーディオ(その3)2019年4月8日


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ファイナルアンサー:セラミックドームへの挑戦(その8)

全ての条件が揃ったわけではないが、そろそろセラミックドームユニットの評価をしてみたいと思う。

諸条件は以下の通り:
クロスオーバー周波数は800Hz(₋48dB/oct)と2500Hz(-12dB/oct)である。周波数レスポンスとしてはリスニングポイントちょい手前に於いて高域方向は800Hz~9000Hzまではほぼフラット、そこから上の帯域はだら下がりで20KHzでは-6dB程度。設置位置はメインエンクロージャ位置(ウーファー位置)より25㎝前で、中低域(FPS)、高域(ベリリゥムツィータ)と併せてインライン配置。現状中低域用スピーカースタンドが少し高い(注記)ので、セラミックドームならびにベリリゥムツィータは少し下を向くように設置してある。(完全に耳の軸位置に高域ユニットを合わせている訳ではない) 現在のところ、このC51ユニットを使う場合、ほぼベストの設置環境、設定かなと思う。

(注記)スピーカースタンドとしては50㎝の高さのTAOC HST-50Hが適当かなと思ったのだが、既に販売終了となってしまっている。残念。

SUP-T11との比較で云えば、確かに音は重々しくなく、やや軽く明るい感じであるという当初のインプレッションからの変化はない。ただ、この音の傾向はモーツアルトの室内楽曲などを中音量以下で聴くことが好きな当方としては相当のストライクゾーンでもある。かなり評価の高いポイントとしては、高域ののびやかさ。歪感はほとんどなくす~っと伸びて音の広がりも充分。特性的にも非常に低歪のユニットなのであるが、この高域感と爽やかさはなかなか得難いと思う。クラシック系音楽の再生において、時に気になってしまうような弦の音はよほどの録音でない限りほとんど出さずその気持ち良さ、爽快感は特筆もの。ただし、音が丸いとかおとなしいという感じはなく必要にして十分な高域をストレートに出してくる。一方で、高域成分のかなりたっぷりと入っているチェンバロなどのリアリティ豊かな録音に対しては、逆に高域過多となるようなイメージを決して感じさせず、その出音は限りなく自然である。この辺りはちょっと不思議でもあるのだが、案外とベリリゥムツィータとの繋ぎや質感の連携も悪くはなく両ユニットによる相乗効果もあるのでは、と感じている。従って、この音の状況であれば、敢えてセラミックツィータの追加導入などは不要かもしれない。

なお、この音の自然さは並行的に導入して実験してきたMUTEC MC-3+USBによるリクロック処理ならびに10MHzマスタークロック入力による恩恵も多分にありそうだが、その効果の配分とか比率は正直判別しきれてはいない。総合的な判断としてはどれかが欠けてもうまくないんだろうな、と思っている。

ただし、JAZZYな、あるいはSMOKYな(敢えて類型的な表現を使用した)女性ボーカルなどはもう少し色艶というか魔力というか、そういうものが欲しくなってしまうところもある。そういう意味ではすこしさっぱりとした音楽提示になってしまうのかもしれないし、ホーンのように急に大きな音圧となった場合に感じるような圧迫感(イコール瞬発力、直線性)というものは良くも悪くも少ない。オールディーズ系の音楽は多少の新鮮さ(?)を纏うような気もするがまあまあ安心して聴ける。いずれにしても導入直後から感じたように、中高域に使用するユニットの変更で音楽表現にこのような(ある意味顕著な)違いが生じてくること、これを改めて実感している。

現時点では新しきものとして捉えたC51の魅力をじわじわと感じ始めているのだろうなと自己分析する。最終的にどちらが主役となるのかはまだ自分でも予測できない。だが、このユニットは当方のオーディオにとって「新しい風」を吹き込んでくれた存在であることは間違いない。ある意味で15インチウーファーとホーンドライバーという組み合わせは家庭用オーディオシステムとしては旧態依然たる構成でもある。元よりその構成の特徴と得失を重々認識してはいるのだが、そこに100%満足していたとも云い切れない。現代的なオーディオの音楽表現という言い方が正しいのかどうかは判らないが、このユニットに対するトライによってそのような一端に触れることが出来たんだろうなと思う。


4way構成の設定備忘録(2019年4月8日更新)Accuton C51-6-286対応設定値

項目 帯域 備考
Low Mid-Low Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
FPS
2030M3P1R
Accuton
C51-6-286
Scan Speak
D2908
-
スピーカーの
能率(相対差)
dB 97 (+7) 90 (0) 93 (+3) 93 (+3)
定格値
DF-65の
出力設定
dB +2.5 +0.7 +3.2 +3.6
 
マスターボリューム
アッテネーション
dB -3.0 -0.0 -3.0 -3.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB 0.0 0.0 -6.0 -6.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 96.5 90.7 87.3 87.6
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz pass

180
180

800
800

2500
4000

pass
Low Pass

High Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-48 48-48 48-12 24-flat Low Pass
High Pass
DF-55 DELAY
設定
cm -37.0 -0.0 +0.0 +1.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Norm Norm Rev JPLAY FEMTO
環境下
DF-55 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-55デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない

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