オーディオ日記 第44章 理想と現実の距離(その8)2019年2月27日


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MUTEC&JPLAYベスト設定を探す:MUTEC MC-3+USB(その5)

我が家のPCオーディオ環境は結局のところJPLAY FEMTO Dual PC構成からINTONA USBアイソレータを経て、MUTEC MC-3+USBへ送り込むスタイルとなった訳であるが、この構成における最終的な音の最適化を図らねばならない。特に迂闊であったのは、MUTEC MC-3+USB用のWindowsドライバーでLatencyとBuffer Sizeの設定ができない、と思い込んでいたこと。これはドライバーをインストール後接続確認のみでCoreモードにしてしまっていたこともあるが、やはり慎重に確認すべき項目であった。ここでの設定をベースにJPLAY FEMTO環境とのバランスを取る必要があるので、従来の環境における設定値と同じLatencyは「Minimum」、Buffer Sizeは「64」で追い込みを行うこととした。当然JPLAY側のDAC Link値とのバランスも出てくる訳であるが、ここは無理をせず「500」で固定して比較試聴を開始した。

だがこの設定では悪くは無いのだが、良くもない、、、、というか期待には届かない結果である。Minim Server(+SoX)でのUp-Sampling(176.4KHz/24bit)、INTONA USBアイソレータでの「Re-Packetize}、MUTEC MC-3+USBでの「Re-Clock」というデジタル周りの処理をテンコ盛りにしている訳であるが、Latencyが「Minimum」、Buffer Sizeが「64」という設定では現在の環境との相性が良くないようにも感じられる。どこかに「負荷」がかかってしまているのか? との推測の上でBuffer Sizeのみ「128」に変えてみるが顕著な改善効果はない。となると、順番にSimpleな設定に戻しながら確認するのが手順なのだが、「Re-Packetize」と「Re-Clock」はこの構成のポイントなのでそれを外してしまう訳には行かない。となると、「Up-Sampling]による処理、あるいは伝送系の負荷だろうか?

疑わしきは、元に戻してテストするしかない。そこで一旦、Minim Server(+SoX)でのUp-Sampling(176.4KHz/24bit)を止めて確認。僅かに? という感じである。MUTEC MC-3+USB側に使われているUSBインターフェースのチップが何であるか本来まずは確かめる必要があるのだが、スペックシート上にも記載がなく、基板上からも(二階建てになっていてチップが隠れているので)確認できない。ただ、Windowsドライバーにおける設定画面から推測するにこれはThesyconのドライバーであると思われるのだが、Thesyconドライバーに特有の赤いT字のアイコンではなく、MUTECマーク(それも昔のロゴの方)が表示されるもの。このため、USBインターフェースのチップから推測してのLatency、Buffer Size設定は難しく下手な鉄砲よろしく、あれこれと設定値を変えてベターを探していくスタイルにならざるを得ない。当然その為にはAudio PCをGUIモードに戻した状態で確認せねばならない。

Up-Samplingを止めて、Buffer Sizeを「128」としてみると、幾分かベターになった印象。なるほど、最初の設定は悪くはないはずなのだがMUTEC側の負荷がどうも大きいのかもしれない。Up-Samplingを止めてしまう場合、ここには選択肢がある。当方の音源は基本FLAC形式なので、Minim Server(+SoX)にWAVへのファイル変換をさせるか、JPLAY FEMTOに変換を任せるか、のいずれかである。Minim Serverを使わずにJPLAY FEMTO Serverを使った方が(使い勝手は別にして)音が良いのは今までの経験値からもう既に十分判っているので、それではこの変換をJPLAY FEMTOに任せてしまうスタイルではどうかと試してみた。

ただし、JRMC(+JRmote)での超極楽操作環境は絶対に捨てられないためMinim Server自体を使用停止にはできないのだが、音源管理とDSDtoPCMだけ任せることとし、FLACtoWAV変換はJPLAY FEMTOに任せるスタイルに変更してみた。DAC Link値は500、LatencyはMinimum、Buffer Sizeは128の設定である。(従い、CDリッピング音源のUp-Samplingは無し)

う~ん、音的にはこれが少し良いかも、、、、すっきりと音が抜けて来るようで気分が良い感じ。いやはや難しいものである。正直に云えばこの辺りは論理的な根拠はあまり無く手探り状態とも云える。また音の差自体もその日の電源事情やこちらの気分、あるいは聴く音源によっても左右されるかもしれない。デジタル音源の再生は改めて難しいと思う。ではBuffer Sizeをもっと大きくすれば、あるいはLatencyをMinimumからLow Latencyに変更すれば、Up-Samplingをかけてもこの気持ちの良い音がキープできるであろうか。仮説ではあるがそれも成り立つ。Up-Samplingした時にふわっと広がる良い感じになったのは、Mutec MC-3+USB用のWindowsドライバーを何も弄らずデフォルトの設定状態で使っていてそう感じた訳だ。となると、ぎりぎりとこの設定を弄ってシビアな値とするよりはMUTEC MC-3+USBに負荷がかかり過ぎない(MUTEC搭載のFPGAがどの程度の処理能力を持っているものかは把握できていないので)設定の方がいいのかもしれない、という仮説だ。となるとデフォルト状態とUp-Samplingという元の状態にして、今回試したUp-Samplingを止めた構成と設定と比較しなければならない、ということである。正直ちょっと面倒、、、かも。

だが、最適解、ベストな設定を模索するのであれば、それも含めてさらにあれこれやってみなければなるまい。なお、もうひとつ思いが至った点はUp-Samplingした場合にMUTEC側の(リクロッキングを含めた処理)負荷の課題があるとすれば、それはDSDダウンコンバート音源であろうと、176.4KHz/24bitや192KHz/24bitのハイレゾ音源でも同じではないか? ということ。となるとこのテスト自体はハイレゾ音源ないしはDSD音源で行った上で評価、最適値を決めないと駄目なことは明白なので、そちらを優先して最適設定値を探してみることとした。

その結果であるが、以下の設定内容の時にハイレゾ系音源では、「いろいろな値の中ではまずまず気持ち良い」という状態となった。Latencyは「Standard」、Buffer Sizeは「512」である。従来のUDA USB/DDCに比すればかなりのんびりとした値である。また、JPLAY FEMTOのDAC Link値は「200」である。

現時点でのMUTECドライバー設定:
MUTEC MC-3+USB driver setting

JPLAY DACLink値は「200」:
MUTEC MC-3+USB DACLink

MUTEC MC-3+USBのユーザー情報として、ドライバー設定値に言及したような情報がないかいろいろとネット検索してみたが探し当てられなかった。ここまで気にしてるような人はいないのかな?(下記に訂正あり) この設定ではオーケストラの低弦の動きや押し出し感、高域のふわっとしたところなど神経質にならずに音楽に浸れる。もう少し締めた設定も可能なのであるが、あまり尖らせずにこれくらいが丁度いいのかもしれないと思う。なお、CDリッピング音源についてこの設定であればUp-Samplingも問題ないと思うが、負荷をかけないという観点から、前述の通りUp-Samplingを止めた設定でしばらく様子を見ることとしたい。(ただしこの場合はサンプリングレート変更時のロックが遅い、という課題は残ったままとなるのでこれはこれで少々困ったチャンではある)

現時点ではこの辺りの環境変数を弄れば「確実に音が変化する」ということがある程度明確になったということで、実験第一段階としてはまずますと(自己)評価してしまおう。つまるところそれくらいにやることがあって面白いということでもあるのだ。また将来的には10MHzマスタークロック入力や電源の見直しなどやってみたいこともある。PCオーディオにおける単なるUSBインターフェース(USB DDC)としてだけで捉えるならばMUTEC MC-3+USBは割高な機器のような気もする。だが、クロックに関わる諸機能、デジタル入力切替機能と総合的に考えてみるとこれはとても面白い機器ではないだろうか。何より「Re-Clock」した時の音が(当方にとってはであるが)ストライクゾーンである。

(2019年2月27日訂正)
何と JPLAY Forum(本家) の中でMarcin自身によるコメントを見つけた。灯台下暗し。
「This is what I use」だそうだが、やはり緩い設定にしている感じだ。参考になる。

MarcinのMUTEC MC-3+USBドライバー設定:
JPLAY MUTEC MC-3+USB setting
(訂正終わり)


4way構成の設定備忘録(2019年2月27日更新)MUTEC MC-3+USB対応設定値

項目 帯域 備考
Low Mid-Low Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
FPS
2030M3P1R
Sony
SUP-T11
Scan Speak
D2908
-
スピーカーの
能率(相対差)
dB 97 (+7) 90 (0) 110 (+20) 93 (+3)
定格値
DF-65の
出力設定
dB +2.2 +1.2 +0.5* +4.5
*Analog Att
ON(-10dB)
マスターボリューム
アッテネーション
dB -4.0 -0.0 -4.0 -3.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB 0.0 0.0 -6.0 -6.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 95.2 91.2 90.5 88.5
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz pass

280
280

900
900

4000
4000

pass
Low Pass

High Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-24 24-48 48-48 48-flat Low Pass
High Pass
DF-55 DELAY
設定
cm -10.0 -0.0 -37.0 +4.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Norm Norm Norm JPLAY FEMTO
環境下
DF-55 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-55デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない

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