オーディオ日記 第42章 枯淡の境地を目指し(その1)2018年3月14日


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所謂ハイエンド(?)と呼ばれる現代的な3種類のスピーカーの比較試聴の機会に恵まれいそいそと出かけてきた。 FOCAL SCALA UTOPIA EVO MAGICO S3 MK2 B&W 800D3 である。このうち、FOCAL SCALA UTOPIA EVO、MAGICO S3 MK2はこれまでに聴いたことが無く、是非聴いてみたいと考えていたもの。それぞれが、ベリリウム、ダイアモンドコーディングベリリウム、ダイアモンドというある意味で垂涎の振動板を持つツィータを搭載しており、基本的な構成も3way(FOCALのみシングルウーファで他の2機種はダブルウーファー構成)である。リストプライスも400万円~500万円ということで製品として競合するレンジのものである。オーディオファイルにとってはこのクラスのスピーカーシステムを導入することができたならば、まぁあがり、と云っても良いものかもしれない。あとはそのスピーカをとことん謳わせてあげることに日々注力することで素敵なオーディオライフになることと思う。

いずれの機種も品位の高いスムーズな音がするのだが、やはりそれぞれに個性がある。FOCALは充実した低域に支えられてやや落ち着いた印象。MAGICOは想像に違わずシャープで切れが良く好録音の音源を聴くにはもってこい。B&Wは一聴して表現力の高さと中庸のバランスを持っていることがわかる。

MAGICO S3 MK2はM6と比較すれば(価格の差異からしても当然なのかも?)ちょっと魅力は薄くなるようにも感じる。FOCALも僅かなもどかしさが残るなど、短い時間の中での比較試聴なので聴き尽くしたとは云えないのだが、この3機種の中ではB&Wが少し優等生的ではあるがまとまりが良いんじゃないかな、と思う。逆に云えば、FOCALとMAGICOは更に上のプライスタグを持つ製品があるのだが、B&Wは800 D3がトップエンドのモデルなので、その分お買い得(決して安い値段ではないが)と云えるのかもしれない。スピーカーの機器としての存在感(大きさも含めて)や製品の質感でも同様なものを感じた。

さて、我が家での音と比してどうなのだろうか。現状多少の迷いもある中での試聴であったので白状すれば、もしぴたっと来るものがあり、我が家の音を凌駕しているのであれば、飛び降りるかも、の覚悟は(少しは?)あった、、、高域のスムーズさ、表現力という観点ではほぼ遜色はない。これはScanspeakのベリリウムツィータのお陰であろう。音の質感や音楽の提示という点に関しては、これだけの試聴での判断では誤る可能性もあるのだが、我が家の方が勝っているようにも感じた。これは聴きなれていることが第一であると思うが、その差異理由についてはマルチアンプシステムのお陰なのか、アルニコのこれでもかというほどの物量が投入されたSONYのユニットの優秀さによるものか、正確に指摘することはできないのだが。

一方で、やはりそうかな、と思わせられる点もあった。それは音場感と広がりの部分である。大き目の試聴室でフリースタンディングに近い状態に置かれたこの3機種のスピーカと比せば、我が家での設置状況にはハンディがあることが判る。リビングルーム環境というレイアウト上の制約を受けているので縦長配置であること、背面、左右面とも充分な距離が取れていないことが主要因と思われるし、中高域部分にホーンスピーカーを使用していることにも遠因があると思わせられる。やはり、音像だけではなくより明確な「サウンドステージ」を我が家でも出現させたくなるのだ。これはこれからの大きな課題だな、と再認識せざるを得なかった。

ただ、決して十全な判断ができたということでもないのだが、この4wayマルチアンプシステムを練り上げる方向でしか、思い描き目指してきた自分なりの究極(?)の音にはやはり辿り着けないのではないだろうか、とも改めて感じた。マルチアンプシステムはあまりにも可変要素が多すぎて迷宮をぐるぐると回っているだけ、という自虐的要素ももちろん皆無ではない。そんな無駄な努力をやめて、ただ音楽を聴くことに専念したいとも思うことも少なからず。だが、やはりいずれかのスピーカー「システム」を購入してしまったら、おそらく別の部分をあれこれと弄りたくなってしまう事態となることは間違いないであろう。

それはまた、足るを知らない、あるいは見果てぬ夢がどこかにあるはず、という己の性格に起因するものなのかもしれないと強く思う。であれば、僅かづつでも半歩で1ミリでも悪戦苦闘しながら、目標に近づく道を選択したい。そしてそれは単にスピーカーユニットの選択とかその調整という問題だけではなく、根源的なものとして部屋とレイアウトという課題にも繋がっていくことにならざるを得ない。率直に云えば既に一軒家を断捨離してきてしまっている自分にはかなりシビアな課題でもある。その条件の中で、どのようにして解に近づけるのか、これからそこをしっかと考えねばならない。

(閑話休題)

JPLAY Dual PC構成におけるAudio PC側のWindows Server 2012R2の試用期間が満了した。音楽再生に特化させたファンレスPCを製作し、その後にJPLAYのチャレンジを始めてからもうそんなに時間が経ったのかと感慨深い。後釜としてWindwos Server2016やWindows 10Proも検討したが、ここはやはり素でのプロセス数が少なく、ドライバーの心配も要らないWindows Sever 2012R2を継続することがシンプルでいいかなと考えている。Audio PCの環境再構築はとても簡単なので30分程度あればすべて完了してしまうのだが、今回は久しぶりということもあって、一点作業漏れをしてしまった。USB DDCドライバーのLatencyの設定を忘れていたこと。デフォルト状態ではDAC Link値を大きくすると再生が止まってしまうのであるが、あれっ? という感じで悩むことしばし、、、コアモードから一旦戻してMinimum Latencyの設定をし直したが、やはり各種手順をしっかりと記録しておかねば(特に年寄りにとっては重要なこと)と肝に銘じた次第。


4way構成の設定備忘録(2018年3月14日更新)
項目 帯域 備考
Low Mid-Low Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
FPS
2030M3P1R
Sony
SUP-T11
Scan Speak
D2908
-
スピーカーの
能率(相対差)
dB 97 (+7) 90 (0) 110 (+20) 93 (+3)
定格値
DF-55の
出力設定
dB 0.0 0.0 +0.0 +2.5
Analog Att
OFF
マスターボリューム
アッテネーション
dB -6.0 0.00 -8.5 -3.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB 0.0 0.0 -12.0 -6.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 91.0 90.0 89.5 86.5
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz pass

315
315

800
800

3500
3500

pass
Low Pass

High Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-12 12-12 12-12 12-flat Low Pass
High Pass
DF-55 DELAY
設定
cm 15.0 35.0 0 37.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Rev Norm Rev VoyageMPD
環境下
DF-55 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-55デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない


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