オーディオ日記 第41章 流離う旅路の終わり(その10)2018年1月4日


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今更ではあるだが、PCオーディオにおけるリモコンソフトの選択に悩みが尽きない。

巷ではfidata Music Appの発表もあり、そこそこ評価も高いようである。リモコンソフトに関して、当方はVoyageMPDと対をなすmPOD、mPADをベスト評価してきたのであるが、iOSの新しいバージョンに追随できないらしく新たにApple App Storeからダウンロードすることはできないという状況になって久しい。次点の評価はJRemoteとMonkeyMoteHD、続いてLumin APPである。(アンドロイド系の評価は環境がないためしていない)残念ながら、一番普及(?)していると思われるKinskyはほぼ最後尾を誇っている。もちろん、このあたりはDLNA/Open Homeという標準化のための仕様の制約もあろうことは承知なのだが、いちユーザーとしては自分の思い通りの操作ができなければ不満が募るし、動作がもっさりしていれば要らぬ癇癪も出ようというもの。

総じて接続の汎用性を維持しているものよりも、PC上の音楽再生ソフトウエアと対をなしているものの方が機能も高く操作性も良いのはやはり仕方のないことなんだろうと思う。ただ、世の中は技術的に優位なものが生き残るとは限らないことはいろいろな例が示している事実。PCオーディオの世界で一世を風靡したとも思われるMPDが既にマイナーな世界になり、それに合わせるように秀逸なリモコンソフトも消えていく。したがって、新たに登場したリモコンソフトに期待せざるを得ないのだ。

確かにfidata Music AppはKinskyよりはマシだと思う。だが、、、、これを自分の環境で常用するかどうか難しいところ。mPOD、mPADの登場はかなり古くPCオーディオの立ち上がりの時期でもあるのだが、依然としてこれを超えるようなものは出てきていない。技術的な詳しいところまで判ってはいないのだが、総じてDLNA/Open Hopme準拠のアプリの分が悪く、DLNA/Open Homeという仕様そのものに機能上の限界をもたらしてしまうような作り難さがあるのかもしれない。

当方の現在のPCオーディオ環境は8割方がJPLAYでの再生で、VoyageMPD(とmPODあるいはmPAD)での再生は割合として少なくなりつつあることも事実。JPLAY環境において、JPLAY Streamerを使うのであれば、リモコンソフトとしてはiOS系では現状Kinsky、Kazooなどに頼らざるを得ない。不幸なことにKinskyやKazooではプレイリストのランダム再生ができないため、upplayと併用せざるを得ない、という苦痛の状態が続いている。fidata Music AppがJPLAY対応してくれれば、という儚い希望も残念ながら現時点では叶わない。(また重ねて残念なことにLumin AppもJPLAY Streamerを認識しない)

fidata Music Appのテストにおいては、JRMCとの組み合わせでKinskyとの比較を実施、またJRemoteとも比較した。無料のfidata Music App、Kinskyと有料のJRemoteを比べてしまうのは酷なのかもしれないが、JRemoteにやはり軍配が上がる。当方は予め作成しておいた数千曲の長大なm3u8形式のプレイリストを取り込み、これを適宜ランダム再生させて音楽を聴くことが多いので、基本的な機能に加えてこの部分の可否の比重がどうしても高くなってしまう。再生中のプレイリストにさらに別のプレイリストを追加し、あらためて曲の再生順をリシャッフルする、というような機能(mPOD、mPADは当然できる)も外せないのだ。

単純な帰結として、JPLAYの音の良さを維持しつつ、JRemoteによる柔軟なリモコン操作環境を再度考えてみることにした。JPLAYにおいては、Dual PC、Triple PCと構成を試してきたが、大きくジャンプアップするところはDual PC化し、Audio PCとControl PCを分離するところではないか、と考えている。またAudio PCにおいては、なるべく負荷変動を少なくするような対応(OSの選択、プロセスの絞り込み、Coreモード化など)に音質寄与の部分があると思う。Audio PCに関してはいろいろな物理的対策も行ってきているので、これを有効利用しつつ、ということが前提となる。

となれば、JPLAY Streamerの利用をあきらめて、JRMC(JRiver Media Center)にJPLAY Driverを叩かせる方式しか思いつかない。JRMCを動かすPCをJPLAYでいうことろのControl PCに見立てる訳だ。JPLAY DriverはJPLAY Serviceを通じて、Audio PCと連携する。この方式であれば、Windows Server 2012R2のCoreモードとしているAudio PCの環境をそのまま何もいじらずに流用可能である。

JPLAY and JRMC Config

同様のことはfoobar2000とMonkeyMoteHDの組み合わせにおいても可能であるのだが、JRMCをここで選択した理由は統一したインターフェースにて各種の設定、特にDSF音源のPCMへのダウンコンバートやサンプリングレートコントロールのし易さ、合わせてSoXも手軽に利用できることによる。

なお、JRMCとJPLAYを連携させるこの方式においては同じPCを使用していても高いDAC Link値を選択することはできにくいようだ。ただ最近はDual PC環境でもあまり高いDAC Link値は使用していないので、この点はそれほど問題ではない。もちろん、最終的には音がポイントである。確かに微妙に音の差があるような気はする。だが、全然ダメという感じではない。リモコンソフトの使い勝手は、これが常にリスニング状態では手元にあるものなので、ストレスのないことの方に比重を高めても良いのかもしれない。

(注記)従来のupplayによるプレイリストの投入はPC画面操作なので、ランダム再生指示をiPAD Miniからリモコン操作で行うためにはリモートデスクトップ接続する必要があるのでとても面倒。また実際に投入される曲数は20曲までと制限されてしまうことも痛い。

この構成で音と使い勝手の合計点として最終結論を出すためには少しランニングで様子を見なければならないと思うのであるが、このスタイルでもいいのかな~というのが現時点の感想。しかし、改めて思うのは、リモコンソフトというのはPCオーディオ、ネットワークオーディオの要でもある。ここに新たなスタンダードを目指して、fidata Music Appが登場してきたことは非常に喜ばしいことである。徐々に機能アップがなされていくと思われるのでそれを期待したいし、一方でJPLAY側にもリモコンソフトへの柔軟な対応と機能拡張の意識も望みたい。だが、重ねて思う。新しいものは表示やレイアウトなど多少見栄えが良くなっているものもあるが、リモコンソフトとしての機能自体はmPOD、mPADとの比較においてほとんど何も進化がないように思えて、これはやっぱり寂しいことである。

(注記1)
JRMCにJPLAY Driverを認識させるにはレジストリをいじるという若干の小技が必要なのだが、あまり難しいものではない。Windows10ならびにWindows10 Proでは問題なく使用できるようになったが、Windows Server 2012では同様の対応を実施してもJRMCでJPLAY Driverを認識させることはできていない。何か制約があるのか、別の方法があるのか、もう少し調査したいと考えているのだが、そもそもJRMCがJPLAYを利用することを制限していること自体、(商売敵なのかもしれないが)とんでもなく狭い料簡じゃないかと思う。Windows10系を使用する場合はWindows Serverに比して大幅にプロセス数が多いので、これをしこしこと停止させねばならないのでちょっと面倒なのだ。

(注記2)
JRMCは相当に多機能で非常に多くの設定項目があるが、音質に係るような設定も若干あるので注意深く選択する必要がある。初期設定では以下がデフォルトとなるので、変更しておいた方がいいと思う。
・SoXは使用されない
・ソフトウエアボリュームがオン
・音量を最適化する機能がオン
・クロスフェードがオン


4way構成の設定備忘録(2018年1月1日更新)
項目 帯域 備考
Low Mid-Low Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
FPS
2030M3P1R
Sony
SUP-T11
Scan Speak
D2908
-
スピーカーの
能率(相対差)
dB 97 (+7) 90 (0) 110 (+20) 93 (+3)
定格値
DF-55の
出力設定
dB 0.0 +2.0.0 +0.4 +1.2
Analog Att
OFF
マスターボリューム
アッテネーション
dB -5.0 0.0 -10.0 -0.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB 0.0 0.0 -12.0 -6.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 92.0 92.0 88.4 88.2
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz pass

250
250

800
800

3150
3150

pass
Low Pass

High Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-12 12-12 12-24 24-flat Low Pass
High Pass
DF-55 DELAY
設定
cm 25.0 37.0 0 37.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Rev Norm Norm VoyageMPD
環境下
DF-55 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-55デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない


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