オーディオ日記 第41章 流離う旅路の終わり(その7)2017年11月30日


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オーディオにおいてはいろいろなノイズが再生の邪魔をする。アナログディスクにおけるスクラッチノイズ、ゴロノイズ、あるいはテープヒスといわれるもの。アンプ周りに起因する残留ノイズ、ハムノイズなどなど。これらはノイズ要因の由来が明らかなものである。もちろん、音源に含まれてしまっているノイズは再生側では対処のしようがないのであるが、案外と再生音そのもの対する「悪さ」加減は限定的でもある。スクラッチノイズやテープヒスは無いに越したことがないのであるが、これらは「音楽を聴く」という行為において音楽そのものや音色に直接的にそれほど大きなインパクトを与えてはいないと感じている。これは当方のような旧世代の人間は、アナログディスク再生でのスクラッチノイズやテープヒスには「慣れている」ということもあるかもしれないのだが、それだけではないようにも思う。

一方で、デジタルまわりにおける電源や伝送過程などに起因するノイズ(と云われるもの)は少し違っていて、それ故に厄介と感じている。スクラッチノイズやテープヒスなどをアナログノイズと呼ぶとすれば、こちらはデジタルノイズと呼べるのかもしれないが、アナログノイズとは異なりそれ自体を「音」として聴くことはできない。しかしながら、肝心の音楽そのものから透明感を失わせ、ざわざわとした微妙に気持ちの悪くなるような悪影響を与えてくる。直流電源の生成過程で含まれてしまうパルス系ノイズ、プロセッサーなどの演算系素子が発する高周波ノイズ、デジタル伝送経路へのさまざまな飛び込みノイズなどが絡み合って、結果としてデジタル再生における音楽を「汚している」と感じる。そして、その原因、要因は明確に捉えることが案外難しい。このため因果関係のはっきりとした対策が取りにくく、対症療法的にならざるを得ない。

特にPCオーディオではこの対策の必要性を強く感じ、いろいろと教えを乞いながら、自分なりに工夫を重ねながら、些細なことも含めて、総合的な対策を採ってきた。もちろん、全ての対策ができている訳ではないし、その対策の効果と音の改善度を客観的に評価することも十全にできてはいないのだが、自作PCによるPCオーディオという範疇においては、少しづつではあるが、音楽の持つ透明感を何とか再現できるようになってきたようにも思うのだが、、、

アナログであれ、デジタルであれ、電源の質(主としてそれに含まれるパルス系やリップル系ノイズ成分)がオーディオの音を左右する、というのは最早一般論、常識の範囲であると考えているのだが、デジタル再生においては、どこの段階で、どのように効いてくるのか未だに釈然としないものも残る。最終的にD/A変換によって、人間の耳が捉えることのできる「音波」になるのだが、電源の質やデジタルノイズの影響を受けて、このD/A変換においてそれと判る「誤差」が生じるということなのであろうか。この辺りが未だ浅学にして良く理解できていないのだ。

D/A変換におけるDACチップ、あるいはFPGAの処理によって、最終的にアナログになる音に違いが生じる、ということも最早常識だし、現実的にも異なる。一方で、伝送過程において、何らかの脱落(デジタルストリームは垂れ流しであって、DACあるいはDAC直前ではエラー訂正はされていないとも聞く)があって、それがまた、音の劣化につながっているとも当然考えられる。他方、コンピュータを始めとする演算処理においては、本来的にはこの劣化は許されないのだが、映像や音楽の範疇においては、演算の簡略化、省略が多々起きている(サンプリングレート変換などが代表的)という現実もある。現代的な演算素子やプロセッサーの処理能力を考えれば、D/A変換の直前において、この種の「エラー訂正」を行うことは決して難しくはないはずなのだが、そもそもデータストリーム自体にこのエラー訂正の行うためのフォーマットが組み込まれていないので、ここはない物ねだりになってしまう。(注記)ここではTCP/IPにおける伝送上のエラー訂正のことを指していない。

このように考えてくると、現在のデジタル音源、デジタル再生、というものは、データ信号とクロック信号を同時に送る難しさもあって、根源的に外部要因によって変動を受けやい脆弱性がある、と云えないだろうか。(もちろん、アナログだって同じじゃん、という声も聞こえそうであるが、、、)ただ、ここで云いたいことは、そのような脆弱性を排除する、という仕組みもデジタルでは本来的には可能であるはず、ということ。あるいは影響を受ける範囲や要因をできるだけ排除するような仕組み、ということでも良い。

あんまり無い物ねだりをしても仕方ないのであるが、できるだけ排除する仕組み、という観点を突き詰めて考えてみると、どうしてもDante Audio Networkに代表されるようなLANベースの構成に行き着く。垂れ流しによってエラー訂正のされないようなUSBやS/PDIFのインターフェースを使用しない仕組みである。プロの世界ではかなり広がりつつあると認識しているが、アマチュアオーディオ用としては残念ながらまだまだ選択肢が少ないという課題もある。肝心なのは最終的な音なので、情報収集を続けたいと思う。

閑話休題:

それなりにはなってきた我がオーディオだが、「オーディオは海の水と同じである。飲めば飲むほど喉が渇く」のである。このオーディオから「自然音」に近い音、音楽の再生ができているかと自問すれば、答えは未だ明確に「NO」である。頑張ったつもりでも、「オーディオシステムから再生」している音にしかならないのだ。自然界に存在するような音、そこで奏でられるアコースティックな楽器の音色、優れたホールにおける響き、ざわめき。

楽器であれ、人の声であれ、その他の所謂雑音であっても、自然音というのは広大なダイナミックレンジと瞬発力を持っている。音はぴんぴんと立っていて、それでいてさりげなく耳と身体を通り抜けて行く。そこには何も引っ掛かるようなところはない。だが、オーディオシステムから再生される音はそうはいかず、微妙にあれこれと耳を刺激し、心に引っ掛かりを残す。

この差をどうやって埋めるのか。それはそもそも音源に起因するものなのか、我がオーディオの至らぬところか。まだ答えはない。多分、自然音との比較という観点からオーディオを「理想化」してしまったら、永遠に答えは見出せないものかもしれない。半分居眠りをしながら、モーツアルトがこの世界に残してくれた数多の音楽を穏やかに、ほどほどで堪能できればそれで良いじゃないか、とも思うのだが、、、

今更ながら、ショーペンハウアーの残した名言が心に染みるのである。この渇きは足るを知らない人間の救いの無い愚かさでもあるのだと。


4way構成の設定備忘録(2017年11月30日更新)
項目 帯域 備考
Low Mid-Low Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
FPS
2030M3P1R
Sony
SUP-T11
Scan Speak
D2908
-
スピーカーの
能率(相対差)
dB 97 (+7) 90 (0) 110 (+20) 93 (+3)
定格値
DF-55の
出力設定
dB 0.0 0.0.0 0.0 +1.0
Analog Att
OFF
マスターボリューム
アッテネーション
dB -4.0 0.0 -10.0 -6.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB 0.0 0.0 -12.0 -0.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 93.0 90.0 88.0 87.0
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz pass

224
224

800
800

5000
5000

pass
Low Pass

High Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-24 24-24 24-24 24-flat Low Pass
High Pass
DF-55 DELAY
設定
cm 25.0 54.5 0 54.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Norm Norm Norm VoyageMPD
環境下
DF-55 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-55デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない


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