Minim Serverとffmpeg、さらにSoXとの組み合わせについて、Minim Serverのドキュメントを読み込んでみると、意外(?)にも痒いところに手が届くような設定ができることが見えてきた。ならば、早速実験して確かめてみよう。
まずはサンプルレート変換であるが、stream.transcodeの設定にて「Input type filter」という新しい機能によって、自在にサンプルレートのコントロールが可能になった。この辺りはJRMCであれば従来から緻密な設定が可能であり、JPLAY環境においては今ひとつの感があったのだが、これで遜色ない状況になったと思う。当方の新たな設定はシンプルであるが以下の通り。
Minim Serverの新設定:
stream.transcodeの設定:
flac:wav,flac(<24;88):wav24;176,flac(24;88):wav24;176,dsf:wav24;176
(追記:上記と同義の別指定方法、こちらの方がシンプルかも)
flac:wav,flac(<24;96):wav24;176,dsf:wav24;176
96KHz/24bit以上の音源ではオリジナルのまま、それ以下(44.1K、48K、88.2K)であれば、176.4KHz/24bitへアップサンプリングする。DSFは176.4KHz/24bitへダウンコンバート。48KHzの場合はバウンダリーでのアップサンプリングではないが、ほとんど音源が無いので設定の簡略化をしている。なお、この様な指定はフォーマット変換を行う場合のみ設定可能である点に注意。
次に、stream.optionsの指定である。SoXを呼び出す設定に関しては前回
記載
したが、新たに「preBuffer」という設定を試してみた。この設定はレンダラー(JPLAY Streamer)に音楽データを受け渡す際に指定秒数分のデータを先読みするというもの。これによってデータの受け渡しがスムーズに行われる由。JPLAYにおけるDAC Link 700、PC Buffer 0.01secという環境において、再生停止の担保になるのかどうかは短期間の検証ではまだ不明であるのだが、(UPnP) Server PCとControl PC間の連携に起因する問題は少なくとも回避できる可能性があるのでは? と考えた次第。
stream.optionsの設定:
preBuffer=1.2 (1.2秒の先読み、この秒数には根拠がなく今後更に検証したい)
さてさて、このように徐々にではあるが、当方のJPLAY環境や設定も充実(?)してきたように思う。だが、、、ファイナルアンサーとしては「音」がすべてであろう
。そこで、改めてJPLAY Triple PC環境とVoyageMPD環境を聴き較べてみよう。まずは従来JPLAYがビバインドしていたDSD音源のPCMダウンコンバートの音であるが、これはJPLAY、VoyageMPDの環境ともDSDtoPCM変換にSoXを使用することになったことが起因しているのか、全くと云っていいほど音の差は感じられない。従来JPLAYで気になっていたしなやかさの不足は最早無く、DSDを聴くのが楽しくなる。だが、両者がほぼ同等であれば、何もJPLAY Triple PC環境のような大掛かりなものは要らないのではないか、と逆に思ってしまう。ただ、これはもしかすると、ダウンコンバートという処理において、SoXの(音への)支配力が強いのかもしれないとも考えられる。
次にPCM音源である。これは微妙であるがJPLAYかな。だが、こちらもやはりCDベースの音源を176.4KHz/24bitにSoXでアップサンプリングしてしまっている影響があるやもしれない、と感じさせる部分がある。従って、厳密な比較を行おうとすれば、44.1KHz/16bit音源はアップサンプリングせず(SoXを介入させず)、flacからwav変換のみで聴き較べる必要があるのだが、、、だが、ここで聴ける音楽は「幸せな音」に多少なりとも近づいたのかと思えるような安堵感があり、敢えてあら探しのような試聴はしたくないな~、というのが本音である。
(注記)
JPLAY Triple PCとVoyageMPDの比較試聴の環境は以下の通り。音源はNASに配置。なお、JPLAYにおけるAudio PCとVoyageMPDは同一PCのDual Boot。従って、瞬間的な切替による比較試聴ではない。Audio PCから後段の構成(Intona USB Isolator~USB DDC)は全く同じ。
VoyageMPD vs JPLAY Triple PC (SoX Environment):
4way構成の設定備忘録(2017年8月6日更新)
項目 |
帯域 |
備考 |
Low |
Mid-Low |
Mid-High |
High |
使用スピーカー ユニット |
- |
Sony SUP-L11 |
FPS 2030M3P1R |
Sony SUP-T11 |
Scan Speak D2908 |
- |
スピーカーの 能率(相対差) |
dB |
97 (+7) |
90 (0) |
110 (+20) |
93 (+3) |
|
DF-55の 出力設定 |
dB |
-2.0 |
+1.5 |
+2.0 |
+4.0 |
|
マスターボリューム アッテネーション |
dB |
-6.0 |
0.0 |
-12.0 |
-3.0 |
|
パワーアンプでの GAIN調整 |
dB |
0.0 |
0.0 |
-11.0 |
-6.0 |
|
スピーカーの 想定出力レベル |
dB |
89.0 |
91.5 |
89.0 |
88.0 |
|
クロスオーバー 周波数 |
Hz |
pass ~ 180 |
180 ~ 1000 |
1000 ~ 3550 |
3550 ~ pass |
Low Pass ~ High Pass |
スロープ特性 設定 |
dB/oct |
flat-12 |
12-12 |
12-48 |
48-flat |
Low Pass High Pass |
DF-55 DELAY 設定 |
cm |
23.0 |
55.5 |
0 |
54.0 |
相対位置と 測定ベース |
極性 |
- |
Norm |
Rev |
Norm |
Norm |
VoyageMPD 環境下 |
DF-55 DELAY COMP (Delay自動補正) |
- |
ON |
自動補正する |
DF-55デジタル出力 (Full Level保護) |
- |
OFF |
保護しない |
|