オーディオ日記 第39章 扉を叩け、開け(その11)2017年1月2日


TOP Audio Topics DIARY PROFILE LINK 掲示板

振り返ってみればこの駄文を書き連ね始めたのが1997年12月からであり、まるまる20年が経過したことになる。飽きもせず書き続けたものとは思うが、2017年の今年はもう21年目に突入いうことにもなり、その割にはたいした進歩が見られないことに情けなくなりながらも、いろいろと思うところ多く感慨は深い。書き始めのころを若干ながら読み返してみれば、マルチアンプシステム構成の勘所など全く判っておらず右往左往しながらも、発表されたばかりのデジチャン(当時はDF-35)に注目し、製品が登場するやいち早く自宅試聴して落胆してみたり、SONYのユニットに大いなる憧れをいただきつつも自宅に迎え入れることがなかなか叶わなかったり、、、

今に至れば、デジチャン(DF-55)を中核とし、SONYのユニットで4wayを構成するなど、なるほどその頃の目標をある程度は達成したかに見える。だが当然ながら、オーディオは機器を入手したらそれで終りということは無く、そこからが本当の始まりであるのだと今は思う。

この20年で我がオーディオの音はそれなりに進歩、進化したのであろうか?そう思える部分もあり、思えない部分もある。オーディオにおける音楽は音源にこそあって、必ずしもシステムではないことを痛感してきた。素晴らしい音楽に出会えてこそのオーディオだと思うことしきりである。好きな音楽(音源、曲)は昔も今も変わらずに愛聴しているし、その好きな度合いが大きく変化してしまっている訳でもない。もちろん些末な進歩は若干なりにあったのだとは思いたいのだが、好きな音楽を聴きしみじみと幸せに浸ること自体は何も変わっていないような気がする。

今では常用する機器構成は大分変化してしまっているが、かってCDトランスポート(DP-90)、DAC(DC-91)、プリアンプ(C-290V)、アナログチャンデバ(F-20)という構成で聴いていた音楽にもその時々のある種の満足感はあったようにも思っている。だが、いつしかPCオーディオに熱中しのめり込んでからというもの、CDトランスポートの出番はだんだんと無くなり、ハイレゾ音源に対応していないDAC(注記)は手元を離れていくことになった。また、プリアンプもデジチャンへのデジタル入力を指向したことによってアナログ再生時のフォノイコライザとしての役割しか出番が回ってこない。

(注記)バブルの終り頃に登場したDC-91はディスクリート構成でD/A変換を行うという構造的にも音質的にも稀代のDACなのだが、時代背景故に44.1KHzと48KHzにしか対応していない。

先般、VoyageMPDにてSoXサンプルレートコンバータを使用してアップサンプリングすると極性(位相)が反転するという現象に出会い、確認のために本当に久しぶりにCDトランスポートをシステムに接続したのだが、ふと思いついてこの CDトランスポート からデジチャン直結の構成で音楽を聴いてみた。何だろう、この安定感のある一種落ち着いた音は。決してこれ見よがしな音はせず控えめであるのだが、適度に押し出し感があり、音楽を楽しませてくれるところがある。CDトランスポートだけで20Kgを越える質量があることのアドバンテージなのだろうか。それともかって(四半世紀前?)ハイエンドと云われた機器のプライドと実力か。もちろん、厳密に云えば、低域には少しゆったりと膨らむ部分があり、突き抜けるようなシャープさとか切れ味はここには無い。むしろ、進化したPCオーディオの実力に震撼さえ覚えるのだが、「音楽を聴く」という行為においてはそれだけが重要な点ではなく、むしろゆったりとした鷹揚さもまた肝要なのだと思わせられる。つまるところ当方のオーディオの進歩などというものはこの程度のものなのか?とも自問する。一方で、デジチャン自体の使い方の経験値の積み重ね、更には後段のマルチチャネルマスターボリューム機能の部分、何より4way構成の設定等における習熟度の向上もこの音に寄与していることは間違いないと思うのだ。だが、しかし、このCDトランスポートの音を聴き続けることでは最早満足は決してできないであろうことを確信している自分もいる。

これはより鮮鋭な音を求めてしまうというデジタルオーディオの迷路? あるいはオーディオ自体の迷路?なのかとも思う。良い音への欲求は際限が無く、そしてそれは決して後戻りはできない道なのだ。


4way構成の設定備忘録(2017年1月2日現在)

項目 帯域 備考
Low Mid-Low Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
FPS
2030M3P1R
Sony
SUP-T11
Scan Speak
D2908
-
スピーカーの
能率(相対差)
dB 97 (+7) 90 (0) 110 (+20) 93 (+3)
定格値
パワーアンプでの
入力絞り
dB -4.0 0.0 -10.0 -7.0
設定値
SP側での
アッテネーション
dB 0.0 0.0 -12.0 0.0
L-PAD抵抗
DF-55の
出力設定
dB 0.0 0.0 +1.7 +6.0
Analog Att
OFF
スピーカーの
出力(想定)
dB 93.0 90.0 89.7 92.0
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz pass

355
355

900
900

9000
9000

pass
Low Pass

High Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-48 48-48 48-48 48-flat Low Pass
High Pass
DF-55 DELAY
設定
cm 25.0 37.0 0 36.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Normal Normal Reverse Reverse VoyageMPD
環境下
DF-55 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-55デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない

next index back top