オーディオ日記 第38章 つぎなるものは(その6)2016年6月10日


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JPLAYにおけるDSD再生(当方のDSD音源は全てDSF)が今ひとつ芳しくなく思えて、いろいろと試行錯誤している。JPLAY Streamer環境においては、Minim ServerがDSD音源をDoP WAV形式に変換したものを受け取り、JPLAY自身はWAVファイルだと思って以降のAudio PCまでの処理を行っている。最終的にUSB DDC/DACにDoP形式で渡されるので、USB DDC/DACがDoPをサポートしていれば、これでDSDの再生となる訳である。だが、この構成で聴くDSD音源はJPLAYがPCM音源の場合に感じさせてくれる「切れの良さ」が無いように思えるのだ。これを何とかしたい、と思ったことが今回の内容のスタートポイント。

ただ、この辺りは当方のシステム環境や構成に依存する部分もあるので、一概にJPLAY周りだけの問題とは思っていない。当方のUSB DDC/DACはRAW、DoPいずれの形式のDSDもサポートされており、USB DDC/DAC内部にてUDA基板からI2SにてES9018に渡されてPCM、DSDのD/A変換が行われる。後段の処理であるが、PCMの場合はD/A変換を経由せずにデジタルチャンデバに「デジタル入力」している。DSDの場合はDACにてD/A変換したものをデジタルチャンデバに「アナログ入力」している。当然ながら、デジタルチャンデバではアナログ入力については、A/D変換を行い、チャンデバとしての演算処理を経てD/A変換、というプロセスになる。この構成故に、DSD再生の場合は余分なA/D変換、D/A変換が加わっていることが元々の課題でもあった。デジタルチャンデバにはシンプルにデジタル入力し、一回のD/A変換で済ませられれば「音」的にはそれが一番優位なのだ。

デジタルチャンデバを使用している方の多くが音の観点からこのデジタルインプット方式を指向しておられ、それ故にまたいろいろな課題を抱えてしまうことにもなる。ひとつは音量調整の問題である。結局デジタルチャンデバの後段で、マルチアンプ構成に対応したチャネル数分の音量調節を纏めて行うようなマスターボリュームを用意するか、デジタルボリュームで逃げるか、いずれかの方法しか音量調節の選択肢が現状は無いのだ。そして、マルチチャネルのマスターボリュームについては現状製品として世にあるものは極めて少ない。

デジタルチャンデバの使い方、課題についてはここでは本題ではないので、ここまでにしておくが、その問題との兼ね合いでどうすべきかいろいろと考えてみた。Minim ServerがDSDをDoP WAVに変換しているのであるが、Minim SeverのHPをじっくり読むと新たなヒントが見つかったのである。Minim Severには「Stream Converter(ffmpeg)」を呼び出す機能があり、ここで個別に変換形式を指定できるのだ。即ち、DSD(DSF形式)の場合は、これを176.4KHz/24bitに変換する、という設定が可能。これを見つけた時は、飛び上がって喜んだ、、、

VoyageMPDにもサンプルレート変換の機能があるが、これは出力形式を一律で決めてしまうスタイルのため、DSDだけを176.4KHz/24bitにする、という小細工はできず、また残念ながら、サンプルレート変換モジュールの質があまり良くないのだ。当方の知る限り、音源フォーマット毎にきめ細かい出力サンプルレートの設定が可能なのはJRIVERだけであったと思う。だが、Minim Severがコンバータであるffmpegを呼び出し、その変換のオプションとしてStream Transcodeに下記の設定をすることにより、DSD音源(ここではDSF形式)のみ、「176.4KHz/24bit」に変換させることができる。ここは当方にとって大変重要なポイント。なお、DIFF形式に対してはこの設定はできない。
(設定オプションの詳細は こちら に。任意のサンプルレートにすることも可能)

Stream Transcodeの設定  「dsf:wav24;176」

Minim Serverでの設定内容:


この機能は当方にとって、実のところJPLAY Streamerを使用していく上で救いとなるありがたい機能である。ひとつには先に述べた我が家のシステム構成上の課題をクリアーできること(音源データベースとしてはDSDのまま保持し、再生時に176.4KHz/24bitに動的に変換してくれるという点)。合わせて、DSD/PCM音源を混在させて再生しようとした時に、デジタルチャンデバのアナログ・デジタル入力の切り替えを音源に応じてしなくて済むこと。これは実のところ、結構手間なのだ。そして、既にDSD音源もそこそこの量となっている現在、別途PCMに変換した音源を持つようなことも避けたいのだ。

DSDから176.4KHz/24bit PCMへの動的変換というこの部分については今後じっくりと音質確認も必要と思うが、Audiogate等でも日常的に行っているのことなので、それほどの心配はしていない。

もうひとつはやはりJPLAYそのものに依存する課題。JPLAYは音質を最優先としていることもあり、システム環境、構成については、ある程度の制約を止むなしとしているようなところがあって、DSDにおけるDoP対応もその範疇にある。従って、推奨構成でなければ音の是非は保証しないというスタンスなのであろう。これは究極を求めるためにはある部分では正しい方向とも云える。それ故、ユーザーサイドで何らかの回避方法や対応策を考える必要も出てきてしまうのだ。今回はMinim Serverとffmpegの組み合わせにおいて、JPLAYの上流にてDSDからPCM変換させてしまうことにより、このDoPの問題を運良く回避できた訳であり、結果として我が家のシステム環境にも適合する、という少しラッキーな状況となった。JPLAYにおけるDSD再生の根っこの部分については未だ手がついていないのではあるが、実のところ、この着地点にちょっとほっとしている。


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