オーディオ日記 第38章 つぎなるものは(その2)2016年5月29日


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JPLAYチャレンジのその2である。我が家でのJPLAY Dual PCモードの実験環境については 前回記載 の内容にてありもののPC、OS環境でスタートしたが、やはりWindowsサーバーの音が本命であるとなればこれを試してみなければならない。また、Audio PCの電源関係ノイズ対策なども当然ながら考慮する必要がある。そこで次なる実験環境はVoyageMPD用に設えたFANレスPCをJPLAYのAudio PCとするためにWindowsサーバーをセットアップする、ということが当然の帰結となる。このFANレスPCは徹底的な電源系ノイズ対策を行っており、VoyageMPD環境においてはしっとりとしたしなやかな音を聴かせてくれている。一方で先のテスト環境でのJPLAYは密度感の高い音は聴かせてくれるが、モーツアルトを居眠りしながら聴きたいという当方の指向からすれば、しなやかさがもう少し欲しいと思うのである。おそらくその辺りは最初の実験で使用したノートPC(電源対策は全く無し)の環境にも依存しているであろうし、またOSによる差(バックグラウンドで動いているタスクの状態の違い)もおそらくあると思う。

さて、このFANレスPCにWindowsサーバー2012R2をインストールし、JPLAYのAudio PCとしてセットアップするのであるが、これも先達の詳細かつ親切な記述のサイトがあるので至って簡単。Windowsサーバーのダウンロードやインストールについては「みみず工房」や「PCで音楽」のサイトを大いに参考にさせていただいた。手順としては、

1.FANレスPCのOS起動DISKを物理的に差し替える。
2.当該DISKにWindwosサーバーをインストールする。
3.JPLAYとUSB DDC/DAC用ドライバーをインストールする。
4.必要な設定作業を行う。

FANレスPCへのWindowsサーバー、JPLAYインストール風景(まだバラック仕立て):


インストール作業自体は余り悩むところはないと思う。また、JPLAYそのもののインストール、USB DDC/DAC用ドライバーのインストールも予めUSBメモリに準備しておいてさらっと。ちょっと心配していたのはLANなどその他のマザーボード関連ドライバーであるが、これらは全くインストールが不要でネットワークも最初から問題なく稼動する。(この辺りはマザーボードにも依存するのかもしれない)

必要な設定作業については以下の2分類。こちらも先に記載したサイトに詳しく書かれているので特段躓くところはなかった。

1.Audio PCの運用周り
(1)自動ログオン(基本操作介入無し、モニターレスでの運用のため)
(2)Control PCとの通信のためのファイアウォール設定

(注記)ファイアウォールの設定と通信確認であるが、Windowsサーバーは初期状態では他のPCからのpingが通らないようになっているので、その点認識しておく必要がある。当方はipconfigにてアドレスアサインが為されていることを確認し、Contol PC側からpingを行ってみたがこれが通らず少し焦ってしまった(考えてみればサーバーOSなので、セキュリティの観点からは至極当然なのだが)。なお、Audio PC側のファイアウォールを無効にしてしまう方法とJPLAYの通信だけが通る方法があるのだが、まずは無効にしてテストを開始したが、先のテストと同様にJPLAY同士で通信を行う特定のポート番号のみ解放すればWindowsサーバーの場合でもOKであった。当方のように既存のネットワーク環境を利用する場合はセキュリティの観点からはこちらの方法が良いと思う。なお、JPLAY専用ネットワークの構築について頭を悩ましているのは、Control PC想定のデスクトップPCはオーディオ環境とは別の部屋に置いてあるもので、LANケーブルで直結する方法は距離的にも配線の観点からも基本難しい点。これはちょっと解決策が見つからないのだ。また、基本はモニターレスで運用するつもりなので、リモートデスクトップの機能については「有効」としておいた。

2.JPLAYの設定
(1)USB DDC/DACの認識の確認
(2)JPLAY Setting内容の確認(設定内容はほぼデフォルトに近いもの)

USB DDC/DACのドライバーインストールが問題無く終了していればデバイスの認識はまず問題ないと思う。また、JPLAYの設定は音へのインパクトが結構あるらしいのだが、この段階では「音が出る」ことの確認を優先してあまり弄っていない。なお、Windowsサーバーはまずは運用面の検証も必要と思い、デスクトップモード(GUIモード)でまだCoreモードへの変更は行っていない。このため、Hibernate Modeは「ON」として試聴開始。

環境構築の確認も兼ねてまずJPLAY miniで音出し確認。問題なし。さて、送り出し側となるControl PCであるが、今回はノートPC(Windows VISTA)とデスクトップPC(Windos7)の二つから行ってみた。いずれも音楽用として特別な電源系対策などは実施していないもの。CPUパワー的には相当の差があるのでその辺りの検証模してみようかと思う。(現時点では結論付けられるほどの検証は終わっていない)なお、デスクトップPCからの送り出しはBug Head 7.12(現時点での最新版)を利用した。操作環境としてはBug Headではタブレット端末からの操作は行えないのであるが、まずはこのWindowsサーバーベースのAuido PCがどの程度のパフォーマンスを示してくれるか知りたいためである。

さて、一段階進歩した我が家のJPLAY環境である。確かにここまでやってみてその真価は良く判る。ただし、まだ次のステップもあるので、これをもって最上の音と断言することは出来ないのだが、何だかデジタルオーディオっぽくない不思議な音がする。これは先達の皆さんも仰っていることにも通ずると思うのであるが、今までの環境以上にリアリティを感じさせてくれるような熱き血潮の(?)音楽となるのだ。では、VoyageMPDとはいよいよお別れなのか、、、これはまだ即決はせずもう少し実験を続けてから結論を出してもいいかなと。

(参考)運用面からの考察

Audio PCの運用であるが、基本電源オン・オフ以外の操作が不要であることが望ましくこれは実現可能であった。JPLAY自体は「起動操作」をしなくてもPCの立ち上げ時に自動的にWindows環境におけるサービスとして起動してくれる。また、JPLAY Settingにて指定した各種の項目は前回のものが保持されている。ただし、USB DDC/DACの接続に関しては、PC起動前にUSB DDC/DACの電源オンをしておくことが望ましい。(USBバスパワーで立ち上がるものは接続をしておく)PCおよびJPLAYが立ち上がった時点で、使用するUSB DDC/DACの接続認識がなされていないと別の経路が使用されてしまうことがあるためだ。

USB DDC/DACの電源オン、Audio PCが立ち上がった状態でとなれば、あとはControl PCから再生を開始するだけで済む。なお、Cntorol PC側でも前回の設定状況が保持されているので改めて指定し直す必要はない。ただし、Audio PCが立ち上がっていない状況でControl PCから音楽再生を開始しようとしたり、JPLAY Settingを立ち上げてしまうと、「Audio PCと接続できない、従って、単体モードに移行する」となってしまうので、この点は留意しておく必要がある。また、当方はAudio PCの設定を(音質向上目的で)Hibernate Modeを利用するようにしているが、Control PCからの音楽再生開始で自動的にHibernate Modeに入り、再生停止にて同様に自動的に復帰する。ただし、音楽再生途中で双方のPCのコネクションが切れてしまうと、音楽再生が停止するのは当然であるが、Audio PCはHibernate Modeから復帰しない。従い、この状態が発生した場合は残念ながらAudio PCを強制再起動するしか方法はなさそう。これは敢えてLANケーブルを抜いたりしての実験であるが、通常は起こらないとも考えられる。ただし、当方のようにJPLAYの専用ネットワーク環境を構築せず、既存環境を利用している場合はハブやルータが介在しており、トラフィックの状態変化が考えられる。この部分はPC BufferやDAC Linkという設定項目をいじることで回避できそうな気もするので、少し大きめの値にするなどして様子を診てみたいと思う。

Control PC側の運用であるが、再生ソフトとしてJPLAY mini、Foobar2000、Bug Headなどを試しているが、当然ながらこれらのソフトウエアは「手動」にて起動してあげる必要があるので、こちらは完全自動運用とは現状なっていない。この点はもう少し研究してみようと考えている。

(注記)再生アプリとしてはその他にwinamp(再生可能)やAudio Gate(再生不可、異常終了する)なども試してみた。JRIVERの場合はバージョンによって可否(あるバージョン以降は特別な対応をしないと不可とのこと)らしく、これは未テスト。

foobar2000を起動させておけば、タブレット端末(KinskyやMonkeyMoteHDなど)からリモコン操作できるので、こちらも楽チンPCオーディオと言う観点で合格だと思う。なお、その他にはKAZOOとMinimサーバーによる組み合わせも可能とのことであるが、こちらは現時点では当方は未テスト。Control PC上の送り出しのソフトウエアによる音質への関与度については想定されるものの厳密な判断は現状できている、というところまでは至っていない。当方は主としてBug Head(最新版V7.12)を利用してテスト中なのだが、Bug Head+JPLAYという構成は双方の音への拘りが好結果を生んでいるのではないかと感じている。ただし、Bug Headを送り出しにした場合はタブレット端末から操作しようと思うとリモートデスクトップというスタイルになるので、不可能ではないが、快適さは少々劣ることになる。

Audio PCにおける音質面に関しては、ASIOかKS(Kernel Streaming)のいずれでUSB DDC/DACを駆動するかという選択がある。アドバンテージはKSであるということがJPLAYの公式見解なのだが、これが使えるかどうかはUSB DD/DAC(ならびにそこに使用されているチップセット)に依存するようだ。XMOS系のUSB DDC/DACであれば基本KSが利用できるようで、我が家のJAVS X-DDC(XMOSベースの同社初代機)でもKSの設定は可能。エレクトロアートのUDA基板を使用した我が家でのメインとなるUSB DDCではKSモードは利用できずASIOモードとなる。なお、X-DDCにて双方の設定で確認してみたが、差は微妙だと思った。ただしこの辺りは、XMOSチップ自体の新旧ならびにドライバーソフトのバージョンにも依存しているようで、お薦めはXMOSベースのUSB DDC/DAC(+最新ドライバー)とKSモードとされている。我が家の場合はKSが使用できるJAVS X-DDCよりもASIOのみ可能なエレクトロアートUDA基板ベースのカスタムUSB DDC/DACの方が音が良いように感じているので当面はこれでいこうと思う。

また、当然ながらAudio PCにおけるOS環境(+OSの稼動モード)と電源系対策については相応のインパクトがある。最初の実験にて使用したノートPC(Windows VISTA)と今回セットアップしたFANレスPCとの比較ではやはり後者の方が納得の音が出る。特にノートPCでは音の柔らかさやしなやかさ、というところに幾分の不満が残ったのであるが、FANレスPCではそのような点はかなり払拭されていると感じた。もちろん、この先にはCoreモードの音もあるのだが、、、、

気になる点をひとつ。Windowsサーバーは試用版を利用しているので、期間(180日)が過ぎれば使えなくなる。それでは困るのでライセンス購入をしたいと考えているが、購入方法や金額など調べてみると(AMAZON辺りでも買えるようであるが)非常に高額である。これはこれで困った、、、、


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