オーディオ日記 第37章 夢の旅路は続く(その14)2016年3月21日


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少しのんびりとAcuutonベースの3wayを楽しもうと思っていたが、逸る心は抑えきれない。このAccutonのCELL90mmドライバーを我が家の4way構成でミッド・ハイ用のユニットとして使ったらどのような音楽を奏でてくれるのか、それを聴きたいという誘惑はとても強い。またミッド・ハイのみならず、高域もAccutonドライバーとしてしまう構成も組めるのだ。やはりそこは人間、結局この誘惑には勝てない。

FPSをミッド・ローとして、Accutonドライバーを加える4way:


高域用のAccuton CELL25mmドライバーの能率は92.5dB、Scanspeakのベリリウムツィータは93dBなので、ほぼ調整不要で切り替えて比較試聴ができる。一方で、ミッド・ハイに関してはCELL90mmドライバーが89dB、SONY SUP-T11は110dBと猛烈な能率の差があるので、この差を吸収する措置を毎回行わねばならず、瞬時の切り替えで比較試聴が出来るような構成には残念ながらできない。

また、レイアウト上の問題もある。ミッド・ローのFPSの上にAccuton CELLドライバーを設置する方法となるのだが、これでは設置位置が高すぎる状況となってしまうのである。FPS用のスタンドがあと20cmから25cm低くないと、リスニングポジションに対してユニット位置が適切にはならないのだ。これは止むを得ない、、、

試聴風景(Accuton CELLドライバーの位置が高すぎる):


さて、わくわく、どきどきしながら以下のような3パターンの構成でじっくりと比較試聴を実施した。

ケース1:高域、中高域の両方にAccutonを使用する

かなり爽やかな感じで音楽が提示される。穏やかで音の広がりは申し分ない。どんな音楽でもさらっと鳴り心地良い。音像は小さく纏まる。音量感は少なめ。声は若々しい。音の質感は軽く感じられる部分がある。軽やかさが身上か。エコー成分は明確に分離するのだが、ボディがずしりと感じられるような音とは少し違う感触がある。しかし、この方向が好きな方には堪らない音かも。やはりAccutonは素晴らしいユニットであることが明白で、所謂「垂涎ハイエンドの音」なのだな~、と強く感じる。

ケース2:中高域用にのみAccutonを使用する(高域はScanspeakツィータ)

高域の違いはすぐに感知できる。高域が厚くなり、存在感があり浸透力が増した感じとなる。これはScanspeakベリリウムツィータの身上でそれがストレートに出てくるようだ。その分、Accuton同士の場合のようなエコー感はやや減少するかもしれない。声の充実感は僅かに物足りないようにも思うが、爽やかな感じはきっちりと保持されている。とても自然で普遍的な音。音色は心地良く感じる。ただ、ツィータとの音の溶け合いに関して、一本筋の通ったポリシーの明確な音という感じではないところがあり、ここは好みが分かれそうな気もする。全体としてはオールマイティとも考えられるのだが、やはりAccuton同士の場合とは違う微妙な部分もあるのだ。この構成は今回のチャレンジの本命なので、さらに聴き込んで多様な音楽の表現や音色の機微をどう再現してくれるのか、じっくりと確認してみたいと考える。

ケース3:オリジナル構成(ホーンドライバー+Scanspeakツィータ)

音楽が骨太になり実在感、音量感が増す。音が厚く重厚さが出てくるのだが、音像は大きくなる。ホーンドライバーとしてはSONYのユニットは音が薄めではあるのだが、Accutonと比すれば音楽が濃厚となる。音楽ジャンルによってはホーンらしい要素を感じさせ、音圧感や押し出し感が出てくる。オーケストラは低重心、女性ボーカルは年増(?)の落ち着きを見せる。音楽を提示する上でのバランスに過不足はなく、音のクォリティ感も申し分ない。ただ、各構成と比すれば音の広がりや抜けという観点からは少し古典的な要素のある音と云えるところがあるかもしれない。この(ちょっと不満な)部分がAccutonのミッドハイユニットの構成ではうまくカバーされるんだなと改めて感じ入る。

いずれがベスト、という結論をここで出すことが主眼ではないが、初めて聴くユニットということでもないので、多少予想されたような感触の判断であったと思う。これは音のクォリティということだけではなく、音に対する好みがどの辺りにあるか、どのような音楽を指向しているか、によってユニットの選択が分かれるものだと思う。もちろんスピーカーユニットだけで音の傾向、趣向が変わるものではないが、やはり影響力は大きいと云わざるを得ない。マルチアンプシステムの醍醐味は「ユニット選びにあり」と思うが、自分に取って最高、最愛のユニットと出会えるかどうか、それは人生の伴侶との巡り合いと同じなんだな~、とつい感慨深くなる。


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