オーディオ日記 第37章 夢の旅路は続く(その13)2016年3月19日


TOP Audio Topics DIARY PROFILE LINK 掲示板

多くのスピーカーメーカーがユニット単体の販売をやめてしまっている現状において、 Accuton は自社ブランドのシステムを持たず、ユニット販売に力を入れている。セラミックやダイヤモンドの振動板に注力し、また振動板の駆動方式にも CELL という新しい方式を持ち込むなど、その素晴らしい低歪の特性も含めてスピーカー好きの人間にとっては眼を離せないユニットメーカーである。また、最近では DSP Module の開発を行っているとのことで、合わせて注目している。

Accutonのユニットを使用したスピーカーシステムはいろいろとあるが、比較的新しいところではLumenWhite社の white light anniversary があるが、何とも優美なスタイルである。このシステムはウーファーまで含めてすべて新機軸のCELLドライバーが使用されていることが特徴である。日本にはまだ代理店が無くほとんど紹介されていないが Blackwood社 には複数のラインアップがあり、その中でもトップエンドである Blackwood One が内容、構成の観点から突き抜けており脅威的ですらある。ちょっと尖がったスライムのような形が「痛そう」ではあるが、是非聴いてみたい(おそらく買える価格ではないのだが)と思わせるオーラがある。

オーディオ仲間のmyuさんは当方と同じくSONYのウーファー、ドライバーをお持ちの方だが、新たにリスニングルームを構築中で現在はAccutonベースの4wayを中心に据えられている。こちらのシステムはこの間もお伺いして 拝聴 させていただいたがユニークな太鼓エンクロージャーを身に纏っており、理論的にも視覚的にも、また音を聴いてもとてもチャーミングである。

我が家の4wayシステムは何とか落ち着きを見せてきてはいるのだが、そうなるとあれこれと妄想が駆け巡って、このAcctuonのCELLドライバーを組み込んだ構成を試してみたくなるのは人情か、はたまた単なる浮気性か。現在の各ユニットはいずれも惚れこんで導入したものであるが、4way構成のそれぞれがコーン型、平面型、ホーン型、ドーム型というバラバラなものになってしまっている。ここにさらにCELLドライバーを、というのはあまり感心できないことかもしれないが、魅力あるユニットの誘惑は大きいのだ。

そんな中、何とも大変ありがたいことに以下のようなCELLドライバーユニット( 90mm25mm )をtakeさん(注記)からしばらくお借りできることになった。各ユニットは自然な音の広がりを狙ったとてもユニークなエンクロージャに収まっていることが画像からも確認いただけると思う。また、それぞれのエンクロージャはフローティングされた状態になっている。
(注記)takeさんは4wayのメインシステムにてAccutonのダイアモンドツィータ、ダイアモンドミッドを使用しておられる超エキスパート。

ノーチラスヘッドと目玉オヤジのようなエンクロージャ:

元々の狙いは90mmのCELLドライバーを4wayの中高域用とした構成を試してみたい、 というところにある。しかし、高域用の25mmのCELLドライバーとの組み合わせでは2wayであってもそもそも充分な構成なので、Accutonの魅力をたっぷりと堪能する意味でSONYのウーファーと合わせて、まずは3way構成でチャレンジしてみるところからスタートした。クロスオーバーなど各種設定は暫定で280Hz、3550Hz、各-12dB/octとした。Omni Micで測定しつつざっとの調整で設定完了。デジチャンはこの辺りの設定が自由にできるので本当に助かる。粗調整ということでおいおい弄ってみようとは思うが、まずは早く聴きたい。ただし、設置場所をウーファエンクロージャの横とせざるを得ないので、本来的な音の広がり等は少し影響を受けるかもしれない。

3way構成での試聴風景:

さて、一聴してAccutonの奏でる音楽のチャーミングさに魅了される。透明感というのか音の素直さというのか、低歪ということによる自然さなのか。己の表現力の無さをまたまた痛感する。あれやこれやひっくるめて云ってしまえば、要するに「良い音」ということに尽きるのだが、これでは試聴のレポートにもならないな~と思う。結局のところ微妙な表現は不得意なので仕方がない。ツィータの音はやはりScanspeakのベリリウムツィータとは少し違う。ベリリウムツィータは突き抜けたような高域が特徴で「どう、いい音でしょ?」と少し自分の存在をアピールするようなところがあるのだが、Accutonの25mmCELLツィータはそのような自己主張はあまりなく楚々としている。CELLドライバーの音色はやや明るい感じでのびやか、若々しい女性ボーカルは直球ど真ん中だと思う。音楽の中に閉じ込められたエコー成分がしっかりと分離し、どこまでもすーっとたなびいていくようなところはある種の快感ですらある。

この組み合わせでは音量を絞っても鮮度感が失われない良さがあるので、ほどほどのサイズのウーファーと組み合わせた3wayのサブシステムが欲しくなってしまう。それは結構な贅沢だと思うのだが。しばらくはこの構成で多様な音楽をじっくりと聴いてみることにしようと思う。いや、それとも早く4way構成のミッドハイとして試すべきか、、、


next index back top