オーディオ日記 第37章 夢の旅路は続く(その3) 2016年1月21日


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高域の出力レベルを上げ過ぎた前回の戒めとして、「小人閑居して不全を為す」を肝に銘じねばと思いつつも、NASとPC周りへの対策がひと段落(すべて終了ではないのだが)したのでHUBにも何らかの対策をすれば効果があるかな、ということでやってみた。まずは具体的な対応を行う前に暇に任せていろいろと考察したり情報を検索してみた。「オーディオ」と「ハブ」というくくりで何か音質改善に繋がるような参考情報、ヒントがないかとしばしググッてみたのだが、実のところあまり具体性のある内容や音質の比較検証などの情報には行き当たらなかった。製品に関する情報としてはPlanex FX-08Miniという古い小さなHUBが良いらしいという情報があったが、その音の良さの根拠となるような比較試聴の結果や環境の詳細などは調べられなかった。

当方のLAN環境ではNASへの転送速度などの管理上の理由からGbit対応は必須なこともあり、NASとPCを繋ぐHUBは Buffalo LSW3-GT-5NS (5ポート)という現行品より一世代前ものを長らく使用している。金属筐体でAC電源対応にもかかわらず、価格はかなりリーズナブル。同社には「オーディオ対応」と銘打った BSL-WS-G2108M/A (8ポート)というHUBがあるのだが、業務用のHUBをオーディオ用に改善したものらしく、前者に比すれば10倍近い価格差がある。ポート数の違いや基盤レベルの違いがあるのだが、その他の違いはAC電源が前者はメガネケーブル、後者は3pinケーブルとあとはバッファの容量(128KBと512KB)や重さの違い(330gと1,300g)ぐらいだろうか。重さは筐体と電源部の造りの差と思うが、それではオーディオ的に何が改善されているのだろうか? いろいろ検索してみても実はそれが明確には判らない。

DELA N1AはNAS+HUBの機能を一筐体内で実現しているので、HUB機能の部分に何らかのオーディオ的な対策がなされているものと推測されるのであるが、LAN端子のLED表示を消せるというメリット以外はAC電源のノイズフィルターと電源強化、筐体の強化であり、それ以外の情報には辿り着けなかった。

何か「秘策」があるような気もする(?)のだが、仕方ない。ならば、出来る範囲でやってみるしかない。当方の思いつくのは先のNASやPCとの同じレベルのもので、以下の2点。振動対策は要るのかな、と思いつつも可動部分はないし、電源部も小さく金属筐体なのでこれは対策後の試聴結果で改めて検討することとした。

対策の内容:
1.HUB基盤部へのDC電源ラインにノイズフィルター挿入
  (ファインメットビーズ、5穴フェライト)
2.電源ブロックとHUB基盤の間にシールド壁の作成(銅箔テープを使用)

いざやってみようとしてハタと困ったのは金属筐体の開け方。どこにもネジが見えないのだ。まさかぐりぐりと抉じ開ける訳にはいかず、ちょっと途方に暮れる。しばしググッて見ると何と天板を留めつけているネジ(三箇所)が正面の各種表示部分の少し厚いプラスチックシールの裏に隠れている、という情報があった。これはちょっと盲点でした。ネジがあると思われる付近をこじってはがし、ネジ止め部分を発見、やれやれ。このプラスチックシールに丸くネジ用の穴を空けて今後の作業がし易いようにしておいた。さて、上記1と2の対策は既に手慣れた状態になってきているのでちゃっちゃっと終了。ま、不器用なのであまり綺麗にはできないのだが。

正面下部の三箇所に天板用のネジが隠れている(これは加工後の画像):


これで、NAS、HUB、PC、USB DDC/DACというPCオーディオ全体に係わる音質改善施策として、DC電源ラインへのノイズフィルター挿入、電源部と各基盤部分のシールド、LANケーブルとUSBケーブルのシールドが終了した。(ただしPCの24pin電源ケーブルのノイズフィルター対策のみ未完) なお、AC電源ケーブルならびに各ケーブルには合わせてフェライトコアを噛ませている。

本来はこの状態で単体のDELA N1Aと比較試聴(実際は対決)をじっくり行いたいところなのだが、調達(費用?)の観点もあるのでまずはあせらずにほぼ対策完了となったこのPCオーディオ環境で効果のほどを確認してみようと思う。率直に云ってひとつひとつの改善策に対して個別に効果の程を聴き分けられる耳は残念ながら無いので、対策実施以前の状態を思い起こしつつ現況を評価する手法しか取れないのはやむを得ないところ。ただ、従来ともすれば感じていたPCオーディオの音におけるある種の居心地の悪さというような「ビハインド感」はここには既にない。透明感や静寂感がとても良く伝わってきてデジタル音源のファイル再生という観点をしばし忘れて音楽に聴き惚れることができる。PCオーディオにおいて課題となる部分が少しはクリアーできてきたのかもしれないなとちょっと安堵する。もちろんデジタルであってもアナログであっても音源の持つ良さを堪能しつつ音楽を楽しめること。これが出来るようになったのならばそれは至福と云う他はないのだが、そこに至るにはまだまだ精進が必要だと思う。


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