オーディオ日記 第37章 夢の旅路は続く(その2) 2016年1月19日


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オーディオの奥の深さと音楽を聴くことの喜びを改めて感じつつ、もうほとんど手を入れることがないのでは?、と迂闊にも思ってしまっていた我が家のシステムであるが、どうしてどうして。やるべきことは果てることがないのだ。現状のセッティングでクラシック系の音楽はほぼいける状態となってきたので、嬉々としてMozartに浸っているのであるが、それでは、ということでPOPS系やアナログまで守備範囲を広めて聴き込み始めた。

そうするとやはり少し気になる点も出てくる。特にPOPS系で録音の良さを感じさせるような音の造りの音楽では何故か醒めた感じがして居心地が悪い。音楽に没頭できないのだ。特にPro Toolなどに代表されるDAWソフトにて音をPOLISHした(磨いた)音源とは相性が悪い気がする。どうも高域のめりはりが効きすぎるようにも思うし、過剰な空気感が演出されているようにも感じてしまう。クラシック系の音楽ではむしろ自然なホール感があってとても心地良いのだが、それとは反する状況があるようなのだ。

ひとつ思い当たったのはデジチャンの高域の出力レベルを+9dBにしていること(中高域は+3dB)。アナライザなどで音源をみれば一目瞭然なのだが、クラシック系の音楽とPOPS系の音楽では高域成分のスペクトラムがかなり違う。特に優秀録音とされるPOPS系の音楽には高域成分が相当に含まれており、また場合によっては倍音がエフェクターによって付加されていることもあって、それが録音の良さを感じさせるひとつのテクニックにもなっているのだ。もしかするとこの観点から、「高域の出力レベル+9dB」という設定はクラシック系音楽ではホール感をより感じさせる方向に適合していても、POPS系では逆に不自然さを醸し出してしまう原因になっているのかもしれないと思い至った。高域のクロスは4KHzであり、基本は倍音領域の担当としているのであるが、スロープ特性に応じて当然ながらそれ以下の音も出ている。全体の周波数特性的には平坦であっても、瞬間的なクリッピングが起きてしまっているとも推定される。

+9dBの設定で高域チャネルにクリッピングが起きているかどうかは当方のデジチャン(DF-55)ではそれを確かめられるような表示機能がなく、把握できないのが残念である。(プロ用の機器であれば当たり前のようにこのような機能はそなわっているのであるが)ただ、この高域のプラス方向のレベル設定も「過ぎたるは及ばざるが如し」ということが云えるかもしれない。

そこで、高域の出力レベルを+9dBから+6dBへと3dB落として再度気になった音源を聴く。うむ、少し気にならなくなった(ような気がする。)3dBというのは音楽エネルギーで考えれば2倍に相当するのでやはり中高域の+3dBと合わせて、ここを少し見直させねばならないだろう。さりとて、中高域、高域とも±0dBのレベル設定に戻してしまうと、やはりクラシック系のホール感や空間イメージは今までの比較で物足りなくなってしまう。しかし、音源によって設定を切り替えるのはシステムのあり方として本位ではないので、どちらも「そこそこ鳴るように」の設定でいくのかどうかとても悩ましいところ。しばらくは高域(+6dB)、中高域(+3dB)で様子を見ようと思う。今更ながらであるが、音源とシステム(設定を含む)の相性ってやっぱりあるんだよね~と納得してしまう。まぁしかし、このレベルでうだうだとあれこれ考えているということは、ある種幸せなのかもしれないのだが、、、

さて、あわせてアナログも聴き込む。アナログの場合はデジチャンでA/D変換が行われるが、デジタル入力(0dB)に比すれば最終段でのアナログ信号の出力レベルは大分低い。このため、デジチャンでの高域(+9dB)、中高域(+3dB)の出力レベル設定によるクリッピングの影響はほぼ受けていないと思われるが、全体のレベル調整を高域(+6dB)、中高域(+3dB)に変更したもので確認する。今のところ概ね問題なし。付け加えれば「懐かし」のアナログディスク系が何とも心地良い。もちろん50~60年代の音楽ではその録音の特徴(古典的マイクロフォンやリバーブ、チューブディストーション)に耳を奪われてしまうし、何より音楽が熱い! 70年代のアナログ最盛期のものは改めてアナログディスクの底力を見せ付けられて感心してしまう。PCオーディオの音を何とか良くしようとあれこれと奮闘している我が身であるが、いやそうじゃなくてもっとアナログを聴け! と思わずにはいられない。MCカートリッジを改めて導入したいというささやかな希望があるのだが、これを急ぎ何とかせねばなるまいと思わせられてしまうのだ。

結局、現時点での設定として落ち着いたのはマージンを見込んでの高域+5.5dB、中高域+2.0dBである。中庸の設定とも云えるがいろいろなジャンルを分け隔てなく聴こうという観点で。しっかし、やはりオーディオは面白いと思う。これで満足などど高をくくっていたら、徐々に積み上げた心算のものも一転して即どん底である。かように音は難しいものだと思う。究極のマイベストサウンド、近づいてはまた遠ざかる。正に見果てぬ夢の先にしかない。


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