オーディオ日記 第36章 歩き来た道の果て(その11) 2015年12月21日


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前回の我が家でのオフ会にてケンさんのトランクPCを試聴させていただき、ノイズ対策の重要性、結果として音に与える影響を大いに認識した次第。PCオーディオの利便性を生かしつつ更なる向上策を実施したくなるのは当然の人情というもの。

従来よりデジタル音源とアナログ音源の比較において、デジタルのビハインドを痛感してきているのであるが、これを何とか遜色のないところまでブラッシュアップしたいのである。もちろん、我が家ではPCオーディオが中心のため、そこに根源的な課題があるのかもしれないが、これを払拭するためいろいろな試行錯誤を行ってきた。だが、結果はまだまだだと思う。ただ、先のトランクPCによるデジタル音源再生を聴くと、これは追いつけるのでは?と思わせられる音なのだ。やるべきことはPCオーディオに対しても未だたくさんある、と再認識せずにはいられない。

トランクPCのポイントであるPC内部の各種電源ラインにノイズフィルターを挿入するという対応は早急に実施したいと考えているが、前々からやってみたいと思っていたことがあり、まずはこちらを急ぎトライしてみた。それは以下の3点のシールド。効果のほどは正直云って未知数であるが、安心材料としてもやっておくべきものと考えた。

1.USBケーブル(1.5m)のシールド
2.LANケーブルのシールド (NAS~HUB間0.6m、HUB~PC間2.0m)
3.USB DDC/DAC内のシールド

USBケーブルについてはかって電源線を廃したケーブルを自作するなどしてきたが、現在のUSB DDC/DACは電源線をカットしたものは認識しない(最近のUSB DACなどはこの仕様にほとんどがなっているようだ)ために、通常のUSBケーブル(一般的PC用)に戻して使っている。このUSBケーブルに対して、銅箔テープをぐるっと巻いてシールドしようというもの。世には高価なオーディオグレードのUSBケーブルが存在しているが、これをそのまま購入する気にはなれない。また、LANケーブル(CAT 7)も普通のものなので、これもUSBケーブルと同じようにシールドする。PCオーディオにおいて、NASを使用することへの音質的な是非もあるのだが、音源ファイルの管理の観点からはやはりNASを使いたい。昨今ではオーディオ用NASと銘打った高額な製品もあり、気になるのではあるが、ここはぐっとこらえて現状のブラッシュアップから入ろうと考えている。NASに関する対策としては、電源、DISK周り、ノイズ対策といくつがあると思うが、今回は本体には手を付けておらずLANケーブルのシールドのみである。本来的には電源を一番先にやらねばならないのであるが、NASの駆動には12V/2A程度の電源容量が必要で、当方手持ちの12Vアナログ電源ではちょっと容量が足りずうまく起動できないのだ。いずれこの点はフォローしたいと考えているのだが。

一方、USB DDC/DACについてはかなり吟味された電源を搭載しており、こちらは電源関係で手を打つところは無い。シールドについては電源部分とDDC基板、DAC基板の間に銅箔を張った衝立(ついたて)を置くというもの。過去にUSB DDC基板を同じように銅箔で囲っている使用例を拝見したり、PC用のサウンドカードとしてポピュラーなONKYOのカードにもこのような衝立がある点を参考にしてやってみた。基本的には内部のサイズにきっちり合わせたボール紙に銅箔を張ったものを衝立にして境界を作るだけで、その他の電気的な細工は(壊してもいけないので)なし。

シールドに使ったのは、以下のような銅箔テープ。DIYショップで1280円なり。まあ、遊びの範疇として気楽にやってみたと思えば、、、

銅箔テープとシールド後のLANケーブル:


さて、作業が終わり、結線し直し。銅箔をぐるっと巻いてあるのでケーブルは随分と硬くなり、ちょっと取り回しには苦労する。ゆるゆると試聴開始。 !!!! あれ? 何じゃ?

こんな些細なことでそれほどの効果がある訳がない、と理性はブレーキを掛ける。しかし、先に聴かせていただいたトランクPCに通じるような「気配」を感じさせる音に変化しているのは紛れも無いと思う。出てくる音が優しく、音楽が濃密となる。プラシーボかもしれないと思って、いろいろな音源を聴く。これは浸れる。一音一音が自然で奥行き感も増してアナログ再生の感触にも近づいたような、、、強奏時も音圧の高まりが気にならない。何よりも音楽が闊達。あまり録音の是非が気にならなくなってしまう。

本当にこんな差が出てきたのか? 半信半疑で自問してみる。今回は3点を同時に実施したので、一つ一つの要素の検証はこれからである。しかし、これは素直に受け入れるしかないであろう。デジタル音源の再生、やはりこれは簡単ではなく一筋縄では行かないものだと改めて思う。とにかくやるべきことを丁寧に積み上げねばいけないのだ。そしてその先に求めるものがきっと拓けてくるはずだ。PC内部の電源ラインに対するノイズフィルターも少し実施を急がねば。

4wayの出口が纏まってきたことに合わせて、アナログのブラッシュアップを検討しそこでもやるべきプランが見えてきた。今回、PCオーディオ周りでもやるべきことの再確認とそれによる効果を実感できた。まだまだ先は長いと思うが楽しみも多い。

(2015年12月22日追記)
先に実施したシールドの効果に気を良くして、追加のシールドを行ってみた。対応したのはPC内部のUSB拡張ボード部分。マザーボードのUSB端子ではなく、別電源供給スタイルの USB 拡張ボード を使用しているのだが、これも遊びの範疇で特段の根拠はなく、もしかしたらマザーボードからの電源供給よりは音質的に良いかも、という程度。使用することによる明確な音質向上は実感として微妙なのだが、昨年の9月に導入してそのまま継続使用しているもの。PCオーディオにおける改善ポイントをあれこれと考えてみてUSB DDC/DACを使用する限りにおいては、やはり送り出し側となるこの部分も安心材料として固めておくべきと思いついた次第。USB DDC/DAC内部に施した衝立型シールドと同じような考え方で、ボール紙に銅箔を張ったシールドケースを作成し、このUSB拡張カードをすっぽりと覆うというもの。昨日の3点の対応の結果から「やらないよりはやった方が良いはず」という程度のそれほどの根拠の無い施策である。

この対策単体での音への効果は正直良く判らない。ただ、これらのシールド対応の結果としてPCオーディオの音がとても素直で気持ち良く聴けるように変化してくれたことは事実。そして、このUSB拡張カードへ電源を供給するケーブルについては、これだけでも急いでノイズフィルターを入れてみたいという気持ちになる。


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