オーディオ日記 第36章 歩き来た道の果て(その10) 2015年12月18日


TOP Audio Topics DIARY PROFILE LINK 掲示板

オーディオは自分の世界だけの自己満足で留まっていてはいけないと改めて思う。もうここはこれでいいんじゃないか? と思ったところで進歩・改善は止まってしまうのだと反省する。

オフ会を開催しオーディオ仲間に自分のシステムの音を聴いていただき、アドバイスをもらったり、新たに工夫していることを紹介してもらう度に気付きや反省がある。今般のオフ会でも改めてチャレンジしたいことが二点出てきた。

ひとつはデジチャンのレベル設定。デジチャンを使い始めた頃からデジタル絞りに疑問を持ち、それを排除する方向で4wayマルチの設定を行ってきており、現在は各チャネルともデジチャンでのレベル設定は±0dBとし、後段のパワーアンプで出力レベルを合わせている。デジタル絞りを排除できている、ということでひとつの安心感があった。また、パワーアンプでの出力レベル設定はゲインではなく、入力アッテネータなので、あまり深く絞ることには若干の抵抗もあったので、(加えてそこそこ4wayの音にも納得できるようになってきたこともあって)まあこれでいいか、と考えてきた。

アドバイスをいただいたのは、デジチャンでの(特に)高域、中高域チャネルのレベル設定は「プラス方向」に行うべき、というもの。オフ会にお越しいただいたお二方に、同じアドバイスをいただいた。音楽の周波数成分は相対的に高域のエネルギーが小さいので、演算処理における精度を向上させる意味からもレベルを上げる必要があるというもの。デジタルクリップの心配が頭をよぎるのであるが、当然ながら、高域のレベルは相対的に低いので、現実にクリップすることはない。この設定によってD/A変換後のレベルが高くなるので、後段(我が家の場合はマルチチャネルマスターボリュームで音量調整をした後)のパワーアンプでレベルを合わせれば良い訳だ。

デジチャンでのレベル設定を±0dBにする、ということよりさらに一歩進めた考えであることは理論的にも良く判る。D/Aコンバータをより高い音量レベルで駆動する、ということも云えるであろう。これは簡単に実験できることなので、やらねばなるまい。さて、行動である。試しに、デジチャンで中高域(1~5KHz)は+3dB、高域(5KHz~)は+6dBとしてみた。あわせてパワーアンプ側は同量を絞る。むむむ、、、、音楽全体の透明感や奥行き感が改善されるように感じる。アナログディスクが持っているような中高域のエネルギー感や高域のぴんぴんと生きた感じがしてくるのだ。これは悩むような余地はほぼ無い。課題はどの程度までレベルを上げるか、だろうか。中高域は+3dBのままで高域を+9dBまで上げてみた。流石にこれは上げ過ぎかも、と思ったがそうでも無い。高域の透明感、伸びやかさ、エネルギー感、いずれもマイナスと感じるような点はない。元の設定と比較すると、聴き始めた瞬間には高域のレベルが少し上がったかのような変化を感じるのだが、じっくり聴いてみるとそうではないことが判る。いろいろな音源を聴いてみたが、感じるのは高域の「気持ち良さ」が増すということ。また、試聴位置を少し遠くにしてみると高域の到達範囲が増したようにも思える。実際の周波数レスポンス上では高域が上がった訳ではないのに、である。

もちろん今後はこの設定で行くこととした。レベルについてはもう少し微妙に追い込んでみようと思うが、±0dBに戻す気はもはやなし。デジタル領域における低レベルの高域を再現する場合のビット数の問題なのかと改めて思うが、当方では理論的には説明ができない。ただ、レベルが低い音に対してはやはりデジタル演算処理には不利な点があるようだ。デジタル絞りの排除からさらに進んで積極的にプラス方向のレベル設定にすべきというアドバイスに改めて深謝である。今後はパワーアンプ側のレベル調整方法についても見直していきたいと思う。

左:MID HIGH +3.0dB  右:HIGH +9.0dB


さて次は、PCオーディオにおけるパソコンの電源ノイズ対策。我が家ではPCオーディオ(VoyageMPD)による再生が8割以上を占めていると思う。一方で、この環境がまだまだベストではないことも承知しているのであるが、他の再生ソフトウエアとの比較(特にタブレット端末からの操作性)でVoyageMPDが生き残ってきた。パソコンは自作のもので、OS起動ディスクをSSDにしたり、CD-ROMドライブは通常通電せず、モニター、キーボード、マウスも接続していないなど、通り一遍のレベルでの対応は実施しているものの、更なる改善の施策が 見えていなかったことは事実である。また、VoyageMPDはシングルボードコンピュータであるALIX3D2でも稼動させており、こちらはaudiofunさんに製作いただいた良質なアナログ電源で駆動している。

今般のオフ会でケンさんにお願いして、パソコンの電源ノイズ対策を実施した「トランクPC」なるものをお持ちいただいた。対策の詳細は ケンさんのHP に詳しいが、端的に言えば、マザーボード、CPU、FAN、HDDへの電源供給ケーブルにすべてノイズフィルターを入れる、というものである。 頭で考えてみれば、ま~変わるかもしれないが、明確に判るほど変化するのかな~、という感じであるのだが、これを我が家のPCと置き換えて(USB DDC/DAC以降は全く同じ)聴かせていただいた。ひぇ~である。百聞は一見に如かずというが、正に「一聴」で判るほどの違いがある。音楽がその空気感も含めてさらに自然になる。純度が上がると云えばいいのだろうか。そして実体感や力強さも加わる。デジタル音源に対して、もっとこういう表現ができればいいのに、と思うような点がすんなりと解消された感じになるのだ。どうして、何で~と驚嘆せざるを得ない。いろいろなチャレンジをし続けるケンさんにまたまた脱帽である。

PCオーディオに対しても次にやるべきことが明確となった。当然これもやらざるを得ないであろう。改めて自分の至らなさを思い、そこそこのレベルなどで中途半端に満足していたら、道の果てにある(はずの)我が目標には辿り着けっこないと痛感する。


next index back top