オーディオ日記 第36章 歩き来た道の果て(その5) 2015年10月14日


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一応何とかまとまった4wayの設定であるが、合格点ではあるものの厳しく採点すればやっと60点ということであろうか。これを何とか75~80点くらいまでブラッシュアップしたいと思い以下のような微調整を実施した。

1.スロープ特性を-6dB/octへ変更(これに伴う若干の受け持ち帯域変更)

各ユニットのスロープ特性は-24dB/octに統一し、受け持ち帯域と設定を纏めてきたが、音楽を気持ち良く楽しむ、という観点からは各ユニットの音の溶け合いをもう少し多くしたいように思った。また位相の回転がやや大きくなることもあってこれに伴う違和感が感じられる音楽もあった。3way構成では-6dB/octのスロープ特性でこの辺りが上手く纏まっていることもあり、4way構成も-6dB/octに統一してみようと考えた。もちろん、-6dB/octに統一するには各ユニットの受け持ち帯域をそのままにしてスロープ特性だけを変更すれば良い、とはならない。各ユニットの重なり合いが大きくなるのでそれを考慮して受け持ち帯域を多少空けるように手直しする必要がある。帯域を離しすぎれば全体の音が薄くなってしまうのでその辺りの塩梅がちょっと微妙で難しい点がある。特に、中高域、高域の重なりは音の滲みや中高域過多となってしまう可能性があるので、この点注意しつつ全体の周波数レスポンスを計測しながら高域ユニットの受け持ち帯域を心持ち高めへとシフトした。

2.パワーアンプでのレベル調整(デジタル絞りは全廃へ)

各ユニットのレベルの微調整はこの段階まではデジチャン側で行っていたため、若干ながらデジタル絞りが残っている状況であった。現在は各ユニットのレベルはほぼ確定したので、デジチャンでの出力レベルはすべて0dBとして、パワーアンプ側で個々のレベル設定を行うように変更した。基準となるのは中低域を受け持つ一番能率の低いFPS(90dB/W)である。従い、低域、中高域、高域に対してはすべてパワーアンプにてレベルを絞って出力を合わせる。中高域はホーンドライバーで110dB/Wの能率があるため、アンプ~ドライバー間に固定抵抗を入れて-10dB分の減衰を加えている。また、レベル設定に際しては従来の設定がややフラットを意識してしまっている点があったため、受け持ち帯域の見直しと合わせて僅かに右肩下がりとした。

さてこの微調整の結果であるが、それぞれの対応が効を奏したと思われ、聴いた感じがとても素直になり、音楽の自然さが随分と向上した。これは嬉しい。試聴用にはあまり使わない音楽を次々と聴いてみるが違和感が残るような部分はほとんどない。3wayと比較しても音楽の緻密さ、造詣が上回っているように感じる。従来の4wayではなかなか3wayを越えたと思えるように音楽を聴けることが少なかったのであるが、今回の微調整によって何とかこの峠を「越えた」と実感できるようになった。特に中低域が混濁感なくすっきりとしている点、低音に乗った状態のボーカルも凛としており被りがない。この差が実感できるだけでも4way化の甲斐があるというものだ。やれやれここまで何とか辿り着いたか、と少し感慨深くなる。

ちょっと気を良くして、再生環境をVoyageMPDからBugHeadの最新版(5.49)に変更し、お気に入りの女性ボーカルを聴く。音源はNASではなく内蔵SSDにおいてあるもので、厳密に試聴したい時に用いるもの。合計で10曲くらいなのだが、聴き始めてちょっとうるうるしてしまうほど気持ちが良い。BugHeadはバージョン2の頃から使っているが、最近のバージョンはもの凄く進化していると思う。ここまでの再生がPCオーディオでできると改めて人にも薦めたくなる音だ。

理想論的に考えれば、もちろん当方のシステムにもまだまだ課題はある。やはりひとつは低域の質感、量感であろうか。これは低域のみにイコライザを入れる構成で補正のテストができるようにはしているが、まだイコライザを入れることによる改善は実感できていない。量感を確保しつつ、質感にも留意するというやはりオーディオ的にも一番難しい部分であると思うが、引き続きこの点にもチャレンジしなければ。

また、中高域のユニットにレベル調整用の固定抵抗が入っている点も何とかしたいところ。DALEの巻線抵抗ではあっても抵抗が入っていることには違いなく、アンプの挙動や音の質感の観点からは心理的にもここに「抵抗」感がある。これを何とかしてみたい。この抵抗をマッチングトランスに代えてみる、という選択肢もあり、ここまで纏まってきたからにはさらなる改善を狙って次のチャレンジをしていきたいと思う。


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