オーディオ日記 第35章 賢者の導き(その14) 2015年 7月30日


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デジチャンへアナログ入力する構成にて4wayの微調整を重ねてきた。4wayの設定については完成とは云えないまでもある程度の落ち着きは見せてきているのであるが、自分としてのゴールか、と自問すればやはりそこにはそうは云えないもどかしさも残る。

PCM音源に対するデジチャンの用法についてはDACをかましてアナログ入力する方法と直接デジタル信号を入力する方法ではやはりそこに微妙な差があるのだ。4wayへのチャレンジにおいては、デジチャン後段の8chマスターボリュームが入手できないこと、またPCMtoDSDが有用な技術なのかどうか確かめてみたい、ということもあってUSB DDC/DAC経由としアナログの入力でトライしてきた経緯がある。しかしながら、プリアンプで絞ったアナログ信号をデジチャンで再度A/D変換し演算処理する、という点においてどうしても音の課題を感じてしまうのだ。これはスピーカーの能率がやや高いことや普段聴く音量レベルが小さいということにも依存することであるが、我が家では結局のところこの音量の絞りでA/Dコンバータに対して充分な信号レベルを確保できていない、フルスィングさせていない点が大きいのだと思う。何となく音楽の魂とか精気が失われているような思いが拭えないのだ。

また、PCMtoDSDについては以前にKORG DS-DAC-10を試して惨敗し、気を取り直して再挑戦しているが、自分の求めるより良い音へ向けての「解」とはならないように感じている。既存の16bit/44KHz音源をPCMtoDSD変換することは心理的には効果を期待したくなるが、それで音が改善されるということは結果としてはあまりないように思う。PCMtoDSD幻想であったということが結論だ。そんなこんなで、あれこれ随分と足掻いてはみたものの、ここらで改めてデジチャンへのデジタルインプット方式に構成を組み直す時期であろうと判断した次第。暑い時期ではあるが、朝から部屋を閉め切ってエアコン頼みで組み替え作業を実施したのだが、やっぱりこれは結構大変な作業で大汗をかいてしまった。

もちろん、このデジタルインプット方式には音に対するメリットだけではなく課題もあるのだ。ひとつは音量調節機能の制約の観点から4way構成にはできないこと(従いこの決断は結構苦渋でもある)、DSD音源はデジチャンにはそのままインプットできないのでデジタル入力としたい場合は上流でDSDtoPCM変換しなければならないこと、の2点である。(DSDに関しては、USB DACからはデジチャンへアナログインプット方式とすることもできる。これはアナログディスク再生と同じ感覚で割り切ることも可能。DSD音源がまだまだテスト用というレベルでしか手持ちが無いのでまずはこれを増やすことを優先し、おいおいと考えて行こうと思う)

組み直す構成は6chプリアンプ(CX-260)を使用するため3wayとなってしまうのであるが、全く以前の状態に戻すのでは進歩がないので、新たに導入したベリリウムツィータとFPSを活かしたものにしようと以下の二つ構成を考えた。なお、いずれの構成もウーファー用のアンプはブリッジ接続での駆動とした。

構成1:ウーファー、ホーンドライバー、ベリリウムツィータ
以前のリボンツィータがドーム型ツィータに代わるものとなるが、高域のクロスオーバー周波数はリボンと比してずっと下げる。

構成2:ウーファー、FPS、ベリリウムツィータ
中域にFPSを持ってくる構成(ホーンドライバーは使用しない)。FPSとベリリウムツィータを帯域的にしっかりと活躍させる。

デジチャンへのデジタル入力となる上流は基本PC(VoyageMPD)+USB DDCである。CDトランスポートやBlu-Rayもつなぐ。

機器の配置そのものも変更となるので、結線を確認しつつの2時間近い作業で何とか組み直し完了、やれやれ。まずは構成1から試聴開始。USB DDCがFPGAベースのものに変更となっているが、従来のJAVS X-DDC(XMOSベース)での出音と比すれば透明感や緻密さが優る。総合的にデジチャンはデジタルインプット方式で使用するスタイルが自分の好みの音であると改めて思う。何となく音色や質感の表現がストレートだと感じるのだ。信号処理が単純になる訳でもあるのでSimple is the best!という真理はここでも通用するのかも。4wayであれこれといじって来た各ユニットの出力レベルやタイムアライメントなどの設定値は踏襲しているが、クロスオーバーは500Hz、3550Hz(いずれも-12dB/oct)とした。ベリリウムツィータは完全にエージングが終わったと思えて絶好調。このユニットは透明感や自然さの表現力において本当に稀有な存在であると感じる。クロスオーバーはホーンを使用した一般的な3wayと較べれば3550Hzとかなり低いところにあるのだが、それなりに溶け合ってくれているようで違和感はない。

構成2は280Hz、3150Hzのクロスオーバー。こちらはFPSの受持ち帯域の上側(中高域のクロス)の周波数をもう少し調整する必要がるかもしれないが、鮮度感の高い音を聴かせてくれる。構成1、構成2とも思ったほど大きな差は無いと感じるが、得意とする音楽領域は多少違うかもしれない。構成1はホーンドライバーを使用しているにもかかわらず音は柔らかく、深い。構成2は比すればもう少しメリハリがあって明るめの音とも云える。一般論的には構成2の方が普遍的かつフラットな音かもしれないと思う。ただSONYドライバーの音が体に浸み込んでしまっている当方としては構成1に何かしらほっとするような安らぎを覚えるのだ。

夜になってからじっくりと構成1でお気に入りのモーツアルトなどクラシック系の音楽を中心に聴いたが、ベリリウムツィータを導入した直後の3way構成にて「これで充分」と感じた記憶が蘇る。3way/4wayの選択以前にデジチャンを中心とした構成を確定させるべきであったのかも、と反省する。元々デジチャンを導入した段階でアナログ入力、デジタル入力を比較して後者を選んだ理由はただただ「音」にあった訳なのだから。

構成を組み直して音楽を聴きつつ妄想をめぐらせれば、ひしひしと8chマスターボリュームが欲しくなって来る。4wayを自分なりに完成させるにはこれがなければ完結できないと思うからなのだ。この8chマスターボリュームの調達に関してはもう随分と悩んできているのだが、見果てぬ夢にはしたくない。


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