オーディオ日記 第35章 賢者の導き(その12) 2015年 7月11日


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4way構成のチャレンジは一段落しそうな所に近づいてはいると思うのだがなかなか「これで決着!」ということには至らない。新しいユニット(FPSとベリリウムツィータ)はそれなりにエージングも済んだようで落ち着いてきており、我が家のシステム構成の中にしっかりと溶け込み、本領を発揮してくれていると思う。しかし、4way構成全体での音のキレ、まとまりという観点ではまだ先があると思ってしまうのだ。

ベリリウムツィータの性能が素晴らしく、高域のクロスオーバー周波数は当初予定していた4KHzから随分と下がり、現在は2.8KHzというところで使用している。この辺りから受け持たせることによって、透明感や広がりがとても気持ち良い感じで鳴ってくれるのだ。クロスオーバー周波数を4KHz辺りまで上げてしまうとせっかくのこの美味しさが減ってしまう気持ちになる。このため、中低域ならびに(特に)中高域のユニットのそれぞれの受持ち帯域が必然的に狭くなっていることにももしかしたら上記のキレやまとまりという観点の遠因があるかもしれない、と考えている。

3way構成においては、①ウーファ+FPS+ベリリウムツィータという新たな構成と、②ウーファー+ホーン+ベリリムツィータという従来の3wayに近い構成を試しているが、存外にこちらはまとまりが良い。①での高域のクロスオーバーは2.24KHz、②では2.5KHzである。いずれの場合も4way構成よりはさらにツィータのクロスオーバー周波数に下げている。この観点から考えると、このベリリウムツィータの使用に際しては(その使用可能帯域が充分に低いところにあるので)そもそも4wayにする必要がないと云えるかも知れない。また、4way構成における中低域ユニットが配置上の制約からインラインにできない、ということにも多少の理由があるかもしれない。

一方でこのツィータを選定するに際して、参考とした(数少ない) 情報・製作例 では4way構成であり、奇しくも現在のツィータのクロスオーバー周波数と同じ2.8KHzである。もちろんツィータ以外のユニットは大きく異なっているので同じ土俵で議論できる訳ではないのだが。

それぞれの構成の音の印象としては(敢えて欠点に触れず、美点凝視で云えば)

☆4way構成:全体としてゆったり感がある。(その観点から当方の嗜好にも合うのだが)
クロスは200、800、2.8K

☆3way構成①(中域はFPS):すっきりとした印象で音楽のエコー感の表現に優れる。
クロスは400、2.24KHz

☆3way構成②(中域はホーン):ボーカルのリアリティ、JAZZ系の押し出し感に優れる。
クロスは500、2.5KHz

であるが故に(欲のかきすぎを承知で)4way構成の美点に加えて、3way構成①、②の表現もカバーできるようになればと思う。もちろん無理難題は承知であるが、まだまだあれこれと足掻いてみようと考えている。

上記それぞれの構成におけるスロープ特性はすべて-12dB/Octに統一しているのだが、ひとつのアイデアとして、4way構成においてはこれを-24dB/Oct統一に変更すべきかしばし悩んでいる。現状は-12dB/Octの方が音の溶け合いという観点では塩梅が良いように感じているのだが、受持ち周波数の近接という観点からは逆に課題があるかもしれない。あるいは特定のユニットのみを-24dB/Octにしてみるという選択肢もあると思う。まとまりに近づいたものをまた分解して再度組み立て直さねばならないが、これを避けては通れないだろう。

しかし、ふと考える。本当にそこまで聴き分けられるのだろうか? 当方の耳は結局は「駄耳」ではないのか? 

実は先日行った我が家でのオフ会において、4way構成で大きな設定ミスを行ってしまっていたのだが、当方はそれには全然気が付かなかった。「何だか変」と指摘され、計測してMID-HIGHチャネルのタイムアライメントがずれてしまっているのが発覚したのだ。これはデジチャン(DF-55)上のタイムアライメントのパラメータ自体は正しく入力していたものの、このMID-HIGHチャネルの遅延補正機能を誤ってOFFにしてしまっていたため、本来想定している4way全体のアライメントの調整になっていなかったというもの。結果的にMID-HIGHチャネルのアライメントが25cmずれてしまっていたのだ。おそらく、何か微調整しようと、どこかのタイミングにて誤ってOFFにしてしまったものと思う。しかし、その設定が狂ってしまっていたことについては全く気が付かなかったのだ。これは何とも恥ずかしい。

大仰に良い音を求めているつもりになっていても、良い悪いがそもそも判らんのではないか。とても落ち込んだ、、、、

気を取り直して考えれば、この測定の結果からも聴感上からも4way構成において、1KHz前後のある部分に数dBのレスポンスの落ち込みがあることも再確認できた。これが冒頭に述べたような音のキレというところに関係する可能性もある。4wayともなるとそれぞれのユニットから出る音が3way以上に複雑に絡み合うため、トータルな音に紡ぎ上げるのはやはり至難の技だと思う。もちろん完璧な周波数レスポンスを求めることは音響対策も乏しい部屋では理想論過ぎることとは判ってはいるが、まずはイコライザーを使わずに4wayマルチの設定調整でそれを追求してみたいのだ。音のクオリティは個々のユニットの能力によって何とか確保できていると思う。これをどう紡ぎ上げ、纏め上げるか。まっことオーディオには終わりがない。

また、4wayの調整ともなると測定による客観的な状況把握が不可欠であるが、肝心のOmni Micの使いこなしも操作説明をあまり詳細に読んでいないこともあって、充分にできていないと痛感する。単に周波数等の測定を大雑把にするだけでなく、微細に分析、その結果を調整にフィードバックできなければ意味がない。エキスパートである ケンさん を見習って、もっとちゃんと勉強せねば。

なお、先のオフ会に初めてお越しいただいた grigriさん も同じベリリウムツィータのオーナーであり、今後の情報交換などとても楽しみである。試聴曲としてBachのオルガン(Karl Richter演奏)をお持ちいただいたが、その響き、音色が非常に素晴らしく心に残っている。良い音楽があってこそのオーディオであることはゆるぎ無い。


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