オーディオ日記 第33章 原点への回帰(その14) 2013年9月10日


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秋になると、、、、

酷暑もやっとこ峠を越えたようで、ここ2~3日は幾分過ごしやすくなってきた。マウンテンバイクで日課のように走る田んぼの回りも大分稲刈りが進んでおり、季節の動きを感じさせる。秋になるとやっぱり音が良くなるようで、音楽を楽しめる季節になってきたことは喜ばしい。

さて、この夏場の暑さ対策?としてサブスピーカーを購入した以後、あれやこれやの実験・テストなどに振り回されたようなところがあった。サブスピーカーの低域補強のようなところから、知らずミッドバスユニットの実験、4Wayへの可能性確認などエスカレーションしていった。現在は、「ちょっと冷静になって」考えてみようと思っている。実験のレベルでは8chのマスターボリュームが無いため暫定構成での音量調節なので、どうしても曲間の音量差異の調節をしようと思うと最適なバランスを探し直さなくてはならないため、落ち着いての試聴が難しい面があったのだ。

ただ実験した限りでは、ミッドバスユニットの選択により音の傾向、方向が結構変わり、その選定自体がシステム全体の音を支配する傾向にあることが感じられた。これは大きな収穫だったと思う。その意味ではSONYのユニットと同じDNAを持つPARC-L11を試聴できたことは幸いであった。今後4Wayへの移行の際はおそらくこのユニットをベースに構成を考えることになると思う。一方で、「ユニットが増えることによる音の纏め方の大変さ」も痛いほどに感じた。普通にレベルを合わせた程度ではどうにも納得の行くような音楽にならないのである。計測も適宜行ってはいるが、見た目の周波数特性が具合の良い結果になっても、聴感としてはやはり納得が行かない、という状態もあった。

3Wayと瞬間的に切り替えできるように仕掛けを作り、これで比較試聴できた点は良かったと思う。多分このようなアプローチができなければ、泥沼そのものだったかもしれない。もちろんある程度納得できる4Wayの音になってはきても、長い期間を掛けて熟成してきた3Wayとの厳密な比較では音楽の纏まりという観点からは、(当然とは思うが)そう簡単には追いつかない。

いろいろなことを考えると、やはり4Wayを目指すのならば、基本的な構成・環境を整えた上でアプローチすべきだろうと思った。その辺りが充分に揃わずに実験に走ってしまったので、結果躊躇するようなことになってしまった。ポイントは4Way用の音量調節機能であり、この点をしっかりとクリアーしてから次のステップに移りたいと思っている。現用の3Way構成に於いてさえ、この部分は暫定対応で済ませてしまっているという反省も在る。

さて、8chのマスターボリュームを改めて考えると、判っちゃいるけど「自作能力の無い」自分としては方向感が定め得ない。既製品として入手可能なものはSPL Volume8しか思い当たらない。セイデンのLDAP型ロータリーアッテネータも6連でも相当回すのが重くなるとのことで、これをさらに8連にするのは現実的な対応とは云えない。電子ボリュームを使用した特注品の製作をお願いする、という手はある。しかし、8chのバランス対応として構成を考えると、音量調節器だけの機能であっても相当な費用となってしまう。(音量調節に係わる性能はオーディオとしても非常にコアな部分なので、仕方無いとは思うが)

消極的な案としてあるのは、デジチャンをデジタル入力で使う方法ではなく、アナログ入力として、その前段に2chのプリアンプを持ってくること。これはDF-55導入時に却下した構成なので、基本的にはそこに戻りたくは無いと考えているが、一方で現在の構成に拘り続けると、

1.DSD対応が出来ない。(DSD信号をDF-55のHS-Link端子は受け付けない仕様のため)
2.上記と同類であるが、今後一般的になる可能性のある「PCM to DSD変換」にも追随できない。
  (これは最近発表になった、SONYの HDD Player の仕様にも大いに触発されている。)
3.マルチチャネルの音量調節機能の手当てに悩み続けることになる。

というマイナスファクターが解消できない。

もし普通の2chの音量調節スタイルに戻した場合は、どこかにA/D変換が加わるというデメリットが残る。デジタルイコライザーも構成上入れるポイントが難しくなるが、DSD DAC、SACD、LPともアナログ信号をプリアンプ~デジイコ(PCMへのA/D変換)~デジチャン(デジタル入力、D/A変換)~パワーアンプという構成にすることはできる。ただし、プリアンプで音量を大きく絞ってしまうようなケースではS/Nの観点からは良い結果にはなりにくいと思うが。

しかし、現在のLP(アナログ再生)でも一度A/D変換を行わざるを得ないし、まあ、それなりにアナログ再生も楽しめてはいる。となると、DSD対応(ならびにSACD対応)に関してもアナログ再生と同様に考えて、A/D変換を一回入れる、という考え方ではどうしても駄目なのか、という自問が始まってしまう。もし、これを許容できる範囲と考え直せば、DSDへの選択肢が広がるし、音量調節機能もプリアンプとして優秀なC-290Vのボリュームを使用することができる。

これが許容できるとなると、4Wayへの一番大きなネックとなっている「8chマスターボリューム」の呪縛から逃れられることにもなる。となると再度、駄目元ではあっても、この方式のテストをしてみるしかないか、、、、

もし、再度テストしてみた結果として、許容し得るのであれば、

1.現在使用していないプリアンプ(C-290V)をプリアンプとして復活できる。
  (ただし、リモコンによる音量調節はできないが)
2.DSD対応(DSD Native、PCM to DSD)の間口が広がる。前述のHDD Playerのような機器の導入も視野に入れられることになる。

というプラスファクターも考えられる。

重い腰を上げて、再度テストしてみるか、、、、、と、ここまで考えた後、実際のシステムの構成を必死に検討してみた。

1.アナログ信号を通常のように2chプリアンプで音量調節し、いったんデジイコにてA/D変換してからデジチャンに渡す方式
2.デジタル信号をそのままデジチャンに渡し、D/A変換した後に6chでの音量調節をする方式

相反するような上記二通りの信号ルートなのだが、あれこれ考えてみると同時に共存するような構成とすることが出来そうなことが判ってきた。システム構成図に纏めてみると次のようになる。

想定のシステム構成図:


構成上のポイントは、以下の通り。
・アナログ信号は2chプリで音調調節し、その後デジイコにてA/D変換をしてからデジチャンに渡す。D/A変換後はそのままパワーアンプへ。
・デジタル信号はそのまま(必要ならイコライザ処理を加えて)デジチャンに渡し、D/A変換後に6chで音量調節してからパワーアンプへ。
・この二通りのルートの選択はパワーアンプの入力(バランス、アンバランス)切替で行うこととする。

良い案のようだが、問題が無い訳ではない。

1.ボリュームを通った後の信号レベルの低いアナログ信号をA/D変換しなければならないため、A/DコンバータにおけるS/N劣化の心配がある。(しかし、これはデジチャンの標準的な使い方であるとも云えるだが)
2.信号のルート選択を後段のパワーアンプの入力切替で行うため、デジタル入力の場合の「0dB信号」を6ch音量調節を行わずに誤ってパワーアンプに流してしまう恐れがないとは云えない。(スピーカーユニットが確実に破損してしまう)

デジタルチャネルデバイダーが内部処理としてPCM信号形式の処理を行っている以上、たとえDSD信号が直接入力可能であっても一度PCM信号に変換されてしまうことになる。同様にデジタルイコライザーもPCM信号しか処理できない。このような現状を考えると、デジチャン、デジイコを使う以上どこかでDSD対応については妥協せねばならないのかもしれない。

デジチャン、デジイコを使うためには、アナログ再生(LP)においても一度A/D変換をすることが避けられない現状であれば、DSD信号であってもアナログに戻した後に再度A/D変換を行う、ということは現実問題としてDSDを扱うためには避けられず、、他の方法が無いというのが現状なのだ。

かと云って、アナログのチャネルデバイダーに戻るつもりは無い。マルチアンプシステムを止めるつもりも無い。となればやはりどこかに妥協点を見出し、多少の問題はあってもこのような構成にて次善の策として対応せなねばならないのであろうか。

なお、前述したSONYのHDD Playerが音質、使い勝手共に納得できる製品だとすると、PCMの音源はすべてDSD変換して聴けば良いことになるので、PCオーディオ環境を別に用意しておく必要がなくなる。そうなると基本はこのHDD Playerからのアナログ信号が入力のベースとなるので、デジタル入力の経路が不要となるし、6chや8chのマスターボリュームもいらない訳だ。何だか、とても構成的には「すっきり」する。悩みも解消だ。4Wayへの再チャレンジも見通せる。

けれど実際の処理としては、PCMをDSD変換してからアナログ信号にし、音量を絞ってからさらにA/D変換をかけてPCMに戻し、次にチャンデバの演算処理(場合によってはイコライザ処理も追加)を行って、またD/A変換ということになる。これで本当にすっきりと良い音になるのだろうか、、、頭で考えれば大いに疑問もある。やはり現物の音を聴いて判断するしかないだろう。


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