オーディオ日記 第32章 尋ね歩いた細道は(その16) 2013年7月 4日


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メインシステムはすっかり落ち着いてしまい、日々音楽を聴くだけになっている。これはこれで嬉しいことではあるのだが、そこでじっとしていられないのがオーディオに嵌った人間の性か。

そんな折に、婿殿が自宅スタジオに新たに導入した musikelectronic Geithain RL904 というスピーカーを聴かせてもらった。(これによりお役ご免となったヤマハのパワードモニターを貰い受けてパソコン部屋でのBGM用に使用しているのだが)

ごついというか、いかめしいというべきかこのスピーカー:


このパワードモニターは何やらプロの世界では音の良いモニターとして愛用する人が増えているそうな。(機種は違うが坂本龍一氏もユーザーだとか) まあ、みるからに無骨なスピーカーである。一見すると音が良さそうにも思えないルックスだし、サイズもそこそこで大きくはない。その割に値段は結構高いらしい。

さて、操作卓の前に陣取って試聴開始なのであるが、いつもは Genelec 8040A で結構でかい音を出すので、椅子の位置をやや後ろに下げるのであるが、婿殿曰く、このスピーカーは最適なリスニングポイントがもっと近く(1.5mくらい)であるとのこと。この位置だと左右のスピーカ設置間隔が2m程と広いため、中抜けになるのでは?と思ったが、お薦めに従って、どちらかと云えば操作卓にかじりつくような位置取り。実際にはこの位置で婿殿は普段からモニタリングしている訳だが。いつも試聴用に使う曲をCD-Rに纏めて入れてあるので、それを聴く。

音が鳴り出した途端に、まさに「ぶっ飛んだ!」

物凄い音の鮮度と臨場感である。快感である。空間に音楽がみっちりと展開する。それでいて耳が痛くなるような高域の感覚もない。低域にもしっかりとした実在感がある。かと云ってスピーカーの存在が消えるような感触でもない。むしろ音楽そのものの存在をかなり強調する。帯域がフラットかどうかなど余計な詮索は不要、音楽を聴けとばかりに鳴る。

しばし聴き惚れていたが、試しにリスニングポイントを後ろにずらすと、この臨場感が後退する。多少位置を前後してみたが、操作卓のかぶりつきのポイントが一番良い。これでリラックスして音楽を聴き流せるか、というとこれは無理であろう。これはやはりプロのモニタリングのためのシステムであると痛感。ただし、こういう音も欲しくなってしまうし、こういう音を自宅でも出してみたい、という欲張った思いもムクムクと出てくる。

距離もポイントである。小型のスピーカーによる「ニアーフィールドリスニング」の良さは歴然とある。そこで、自宅に帰ってから、貰ったパワードモニターを改めてリスニングルームに持ち込んであれこれと試してみた。特に今回はニアーフィールドリスニングという点を意識して背面の壁までの距離を大きくとり、高さもなるべく耳の位置近くまで上げて聴いてみた。また、少し左右の間隔を大きくして近めのセッティングすると、小型2WAYということのメリットかもしれないがよく音が広がってそこそこ心地良い。(もちろん先のスピーカーには全く敵わないのだが)

VoyageMPD、JAVS X-DDC、DEQ2496のDAC部、C-290Vで音量調節という構成でのトライである。パワードモニター故であろうかボリュームを結構上げてもあまり破綻はしない。メインシステムとの比較で云えば、ひとつひとつの音のクオリティーが物足らないのであるが、それが却ってリラックス感にもつながっている。この辺りは小型のスピーカーを音場感を優先して、ニアーフィールドで鳴らす利点であろうと改めて思う。

当然の思考の結果として、納得できるようなクオリティの小型スピーカーをサブとして導入したくなる。転居以前はサブスピーカーとしてJM Lab VEGAを使用していたのであるが、このような大きさのものは全く無理なので、現状のスペースを考えた小さいサイズが妥当であろうと思う。また、アンプの稼動状態や省エネを考慮すると、候補としてはパワードタイプであっても良いかな、とも思う。何しろ、パワードモニターというのは結構リーズナブルな価格からラインアップがあり、なによりアンプ不要というもの構成を考える上で大きなメリットである。渋谷にイケベ楽器という店があり、この手のパワードモニターがずらっと揃えてあり、試聴もできる。候補として考えてみると、やはり高域のクオリティーに拘りたいこともあり、リボン、あるいはベリリウムツィータを搭載しているものが良いなあと思うが、リボンツィータを搭載しているブランドは意外にも結構ある。価格のレンジはおおっ安い、と思うものから高いものまで結構広い。リボンツィータでは ADAMブランド がかなりのラインアップを揃えているので良いかなと。ベリリウムツィータ搭載はこれは予想に反して存外に少なく、FOCALの SOLO 6BESM9 くらい。

あれこれと下調べをした上で、 渋谷イケベ楽器 に試聴に行く。店内は試聴には完璧な環境とは云えないが、多くの機種が揃っている。FOCAL SOLO 6BEは置いてなかったので、SM9を聴かせてもらう。ベリリウムツィータは音が自然で柔らかくなかなか良い。ADAMのリボンはその構成上からもELACの音に似ている気がした。(ELACをスピンアウトした技術者が作った会社らしい)こちらも素直で素性が良いといえるだろう。この辺りであればいずれでも満足できそうである。なお、帰り道に秋葉原に寄って、ついでにFOCALの Electra 1008BE を聴く。これも良いがちょっとサブにするには高すぎるし、存在感があり過ぎる。ELACでは BS403 くらいかな、と思ってそれを聴く。う~む、小癪な。このELAC BS403は予想以上に良い。サイズも充分に小型だし、何より新しいリボンツィータ(JET V)のせいか高域のクオリティに何やら突き抜けた感じがあってこれは手元に置きたくなる。うむむ、これはとっても悩ましいぞ。

JM Lab VEGAは今となっては懐かしいサブスピーカー(旧宅での写真)):


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