オーディオ日記 第32章 夢の通り道(その11) 2013年4月2日


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もはや我が家では不動の位置を占めてしまった Bug Head Emperor であるが、その後の状況について若干ながら記しておきたい。

1.バージョンアップによる安定度、操作性の向上など
バージョン2.16(現時点での最新版)では、安定度が増し、我が家の環境ではノイズ等が乗ることは無くなったし、操作性についても細かい機能拡張が行われ使いやすくなった。(ただし、CPUパワーとのバランスを考えた設定とすること、および設定内容に合わせた適切な音量調節は引き続き必須である)
また、バージョンアップの有無を(手動ではあるが)Bug Head EmperorのSetting画面から確認し、ダウンロードならびに更新インストールができるようになった点は(バージョンアップの頻度も高いので)大いに評価できると思う。

2.設定と音質について
16bit/44.1KHzの音源についての再生であるが、当方はソースの録音状態などによってアップサンプリングの有無を使い分けている。音質設定は基本をBlackとしているが、やや古い録音のものなどはBlackX1で44.1KHzのままで、それ以外はBlackX2で88.2KHzへアップサンプリングさせての用法としている。言葉で表現するのは難しいのであるが、以下のように感じて使い分けている。

☆BlackX1で44.1KHz:
元々の音楽の力感を失わずに自然さ透明度がアップし、やや古めの録音とも相性度抜群。
☆BlackX2で88.2KHz:
オーディオを感じさせない音楽の自然さが素晴らしく、声や楽器の音がとにかく心地良い。
(注記:AudioGateで176.4K(あるいは192K)へアップサンプリングさせた音も素晴らしいと思うが、上記BlackX2で聴く音楽はそれを明らかに越えている)

なお、176.4あるいは192Kなどの音源に対していくつかの設定を試してみたが、元々ハイレゾの音源(基本的に24bit/96KHz以上のもの)についてはBug Head Emperorの「神通力」があまり発揮されないように思う。おそらくこのソフトの「一番美味しいところ」は16bit/44.1KHzの音源を24bit/88.2KHz(あるいは176.4KHz)へビット拡大、アップサンプリングする部分にあるのではないか、と考えている。従って、ハイレゾの音源については、現状は素直にそのままの状態(Green設定)で聴いている。この場合の音はVoyageMPDあるいはAudioGateなどとそれほど差は無いと思う。

3.使い方について
我儘に聴きたいという観点からは、若干もどかしい点もある。Bug Head Emperorが異なるサンプリングレートの楽曲を混在させて再生することができないという点が多くの楽曲を取り混ぜて聴きたい、という欲求を満たしてはくれない。同様に、ランダム再生をサポートしていない点も然り(作成済みのプレイリストを呼び出して再生する場合などは、是非ともランダム再生機能は欲しいと思う)。なお、音楽を聴きながら、次々にプレイリストに思いつく楽曲を選んで放り込んでいく、という音楽再生スタイルにはとてもマッチしており、現状はそのような使い方が一番多くなっている。

なお、メイン環境における当方の使い方としては、リスニングポジションに陣取って、そこから動かずにコントロールができること、が必須(絶対?)条件である。残念ながら、Bug Head Emperorはリモコン機能は無いのでそのままではこの要求には応えられない。そこで、登場するのがiPadである。これにリモートデスクトップ用のアプリをインストールすればOK。もちろん、リモートデスクトップ操作なので、VoyageMPDにおけるmPODほどの快適さはないが、上記のような用法であれば、リスニングポジションに座ったままでiPadから基本的な操作が行えるので、一応合格の許容範囲かと思っている。

iPadからリモートデスクトップで操作:


4.不都合点について
アンプサンプリングしての再生時に、突然スロー再生と思われるような状態となることが稀にではあるが発生することがある。回避策としては一度停止、再度再生させれば問題ないが、現在のところ開発者もこの点の完全解決の糸口は掴めてはいないようである。 また、ONEからFIVEまでのプレイリストがあり順に再生されるが、連続して再生している途中に、既に再生の終わったプレイリストを「削除」してもこの情報は残っているらしく、FIVEまで終わるとONEのプレイリストに戻って(削除したはずの曲の)再度再生が行われる。まあ、これは愛嬌という程度である。

Bug Head Emperorに巡り合って、改めてPCオーディオについて思うこと:
PCオーディオについては、今までQA550などのSDカードプレーヤに比して、音質的なビハインドを認めざるを得ない点があった。しかし、Bug Head Emperorによってその敗北感(?)は払拭されたと考えている。また、音楽をより良く再生させるために、PC上では余分なことは極力させない、というような既に固定観念ともなりつつあった「シンプル・イズ・ベスト」のPCオーディオに対する考え方も変わってしまった。何とも自分でも節操が無いと思う。しかし、進歩(と呼んで良いのか自信はないが、少なくとも音に対するアドバンテージ)は素直に認めるべきと思うし、何より音が良ければオーディオを愛する者にとってはそれだけで幸せなのである。

思えば、PCオーディオなるものを始めて以来、使っている音楽再生ソフトウエアはどんどん変わってきたし、その変化のスピードも存外に早かった。この先、このBug Head Emperorという音楽再生ソフトウエアがどのような変遷を辿ることになるのか、今は全くわからない。気に入って使うユーザーが増えれば、開発者も気合をいれてバージョンアップをしてくれることも考えられるし、そのサウンドエンジンを評価する第三者によって、より素晴らしい製品へと思いもよらぬ方向へ進化していくかもしれない。その期待を楽しみに今日もPCオーディオ三昧をしようと思う。SFORZATO DST-01などのネットワークオーディオ製品も欲しくはあるが、やはりPCオーディオを卒業することは当分出来そうにもない。

(追記:2013年4月3日)
開発者のサイトの最新情報によれば、このBug Head Emperorのサウンドエンジンの技術について海外企業と独占契約を行ったと記されている。この技術の新たな展開と今後の発展を祈願したい。ただこれにより、今後のバージョンアップは行われなくなる模様である。これは何とも寂しい、、、


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