オーディオ日記 第31章 夢の中へ(その13) 2012年11月23日


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デジタル入力系が何とか纏まった状態となったので、今度はデジチャンをベースとしたアナログディスクの再生でベストポイントを探してみることとした。デジチャンを使うに際しては一度アナログ信号をA/D変換することが必須であり、このことは必要悪であって仕方の無いものと若干ながら後ろ向きに考えていたが、この視点を少し変えてみようと思ったのである。

デジチャンでアナログ再生を行うための構成は、従来使用していたプリアンプ(C-290V)のフォノイコライザからREC-OUT出力を取り出すのであるが、

1.デジチャンに直接アナログ入力し、デジチャンにて24bit/176.4KHzへのA/D変換。
2.デジイコにアナログ入力し、デジイコにて24bit/96KHzへのA/D変換を行った後、デジチャンにデジタル入力。

という二通りの接続方法が我が家では考えられる。何となく「176.4KHzのA/D変換」の方が感覚的に良さげに思えて、あまり深く考えることなくデジチャンへ直接入力する方法としていた。

フォノイコライザは従来のプリアンプを使用している:


デジタル系の再生においては、あれこれとシステム全体の設定を弄って来たが、現在のところやはりデジイコを僅かな補正であるが使用している。一方で、デジチャンへ直接入力するアナログディスクの再生はデジイコを通さずに聴いていた訳である。この構成によるアナログ再生に大きな不満があった訳ではないが、A/D変換をマイナスファクターと思わず、より良い音を目指して積極的に「デジタルプロセッサー機能」を利用してみようと今回は考えた。そのコンセプトであるが

1.デジイコによる補正をデジタルの場合と同様に行う(場合により味付けを加える)。
2.デジイコのデジタル出力を+(プラス)のゲインとする。
の2点である。

従来のアナログチャンデバ使用時においても、時に応じてデジイコによる補正を行うことがあったのであるが、デジチャンでは恒久的にA/D変換が必要となるので、後ろ向きの意識として補正するのではなくプラス思考で、「音を良くする」方向としてイコライザを利用する。また、アナログ再生においては、デジタルに比して「出力レベルが低い」という問題があった。これはフォノイコライザのゲインがそれほど高くないことから、アナログ再生時とデジタル再生時ではボリューム位置がかなり異なってしまうことに繋がっていた。ならば、デジイコで周波数補正のみならず、ゲインも変えてあげれば良い訳だ。一般的にデジイコではある周波数を+方向に補正を行う場合、全体のゲインをその分だけ下げて、デジタルクリッピングを起こさないようにレベル調整することが必要なため、デジタルゲインの調整機能がある。この機能を使って、アナログディスク再生においては全体のゲインを+(プラス)方向にするのである。これによって、デジタル出力のレベルを上げることができるので、当然S/Nも有利になるし、前述のような再生音源の種類(デジタル、アナログ)によってボリューム位置が大きく異なっしまうことも多少は避けられる訳である。(もちろん上げすぎればクリッピングを起こすが、実験した数dBの範囲では問題なし。なおデジチャン(DF-55)でも個々のチャンネル毎にゲインを+にする機能はあるが、一括してはできない)

まず試聴したアナログディスク:


試聴に使用したディスクは45回転盤と33回転盤(何とも古いもの)。周波数補正もゲインも控えめにしているが、思った以上に良い効果を挙げている。A/D変換は24bit/96KHzなのであるが、176.4KHzとの差は全く感知できない。むしろ、若干でもゲインを上げた(+2dB)ことによる音量感の効果ならびにパラメトリックイコライザで低域補強をしていることのマッチングが良かったせいか、しっかりとしたピラミッドバランス・安定感で、ある意味では「アナログらしい(?)」再生音を聴くことができて、これは非常に満足であった。ゲインをもう少し上げても良いように思われるがまあ、程々が良いのかも知れない。いずれにせよ、デジチャンを使ったアナログ再生でもそこそこ良い結果が得られて、何とも嬉しい限りである。
(注記)デジタルの場合はゲインを-2.5dBとしているので、アナログ再生の場合(+2dB)とはトータルで4.5dBの差である。この「ゲインを上げる」ということはA/D変換においてPCMデータ上の有効ビット数を拡大するということなので、その効果もあるのかもしれないと考えている。

さらに別のアナログディスクを引っ張り出して聴いてみた。こりゃ、ご機嫌この上なし!


このディスクは大好きなもので、通常のCD、BLUE-SPEC CDの3種の音源を持っているが、今回の設定で聴くアナログディスクは清々しく鮮烈でありながら、何故かほっとするような聴き応え。CDで時に感じる押し付けがましさが全く無く、尾崎豊の若い声が心に染み渡る。盗んだバイクで走るようなことは最早出来ないけれど、何故か今でも青春の気分に引き戻されてしまう、、、

ところで、古いアナログディスクの場合はクリーニングが非常に重要である。特別なクリーニング機器は持っていないが、教えていただいた クリーニング液 の効果がとても高く、中古ディスクを買うことも多いが、あまりノイズに悩まされることもなくアナログディスクを楽しめるのは幸せである。

(参考)デジタルイコライザの個々の設定内容は以下の通り。

ゲイン設定は+2dB:


A/D変換は24bit/96KHz:


グライコはわずかな補正:


パラメトリックイコライザで低域を若干補強:


(注記) DEQ2496 はデジタル処理の音質が安定しており、機能豊富でコストパフォーマンスは抜群と思う。


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