オーディオ日記 第31章 夢の中へ(その6) 2012年10月4日


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デジタルチャネルデバイダーに関するまとめをしておこう。

1.音量調節、アナログボリューム対電子ボリューム(やはり決めてはボリュームの音質か)
デジチャンへのインプットは0dBデジタル入力で行うべきであることは既に論を待たないのでここでは割愛。
6ch用の音量調節はとりあえずCX-260となったが、この機種のボリューム機構は6連のアナログボリュームで、リモコンでの音量調節はこのボリュームをモーターで動かす仕組み。現在の音に取り立てての不満はないが、ついつい電子ボリュームとの比較をしてみたくなる。

従来の2ch構成で使用していたC-290Vの音は非常に良かった。この機種のアナログボリュームは最高級かつ貴重なものである。これに匹敵するくらいの音質を6ch用電子ボリュームにも求めたいと考えている。

一般論的にはアナログボリュームでは絞り込んだときのギャングエラーや音質に不利があると云われている。一方で、電子ボリュームにはきちんとした設計、製作がなされていないと、ノイズなどの発生も懸念され、良く出来たアナログボリュームには敵わない部分もあるように思える。

電子ボリュームについては、未体験なのでまずは試聴機をお借りして評価してみる予定。アナログボリュームを果たして凌駕する音質なのか? これは聴いてみるしかない。
当方としては究極的な音量調節機としての機能を望んでいることもあり、音質やS/N以外にもバランス接続仕様であることや操作性などへの望みは高い。(予算は充分はないが)

操作性について言及すれば、CX-260のリモコンでの音量調節はプラスボタン、マイナスボタンだけの操作。微妙な調整はやはりボリュームノブを回したくなるのが古い(?)オーディオファイルの習い性か。
電子ボリュームの音量調節ノブはリスニングチェアーの横に置けるような小さな箱のスタイル(本体から、延長ケーブルにて接続したもの)というイメージを考えている。この仕組みであればリスニングポジションにて手元で微妙に調節できる。電子ボリュームだからこそこのような対応は可能と思う。(もちろん、WiFiやBlueTooth機能などを使うことも是ではあるが、特注品とせざるを得ないような現状ではそこまでの対応は難しいと思う)
多様な楽曲をVoyageMPDでランダム再生を行う時に、録音時の音圧差を手元で微妙に調整したい。ただし、入力段以前のデジタルデータ領域での音量調節(ソフトウエアボリューム)は当然ながら、行いたくない。(0dB入力が基本。ただし、デジイコ使用の場合はクリップしないように若干下げる必要があるが)
理想的には機器としてのスタイリングも重要だし、ミュートスイッチなども付いていて欲しい機能である。

2.アナログの再生
デジチャンを使う上での必要悪とも云えるA/D、D/A変換であるが、スピーカーを思い通りに駆動するためのデジタルチャネルデバイダーの利点の方が上回っていると思う。デジイコを使用する場合もあるので、一回のA/D、D/A変換は容認せざるを得ないが、アナログレコードの良さをスポイルしてしまっているということは無く、非常に良い感じでアナログ再生も出来る。これは大変ありがたい。

ただし、これもアナログ入力について、プリアンプで絞り込んだ信号を使用しないという前提が付く。プリアンプのREC-OUTを使用してフルボリュームのアナログ信号をデジチャンへ入力するという用法である。しかしながら、我が家の構成では結局C-290Vをフォノイノライザとしてしか使用しなくなってしまうので大変もったいない状況となる。(将来的には単機能のフォノイコへ変えるべきなのか、と思案を開始した)     

3.全体を通して
デジチャンの使用により、何とも自然で感激的な音が出せるようになってきた。これは周波数分割するチャネルデバイダーの機能の部分と、DAC(ES9008)の相乗効果と思われる。ただし、チャネルデバイダーの機能は汎用的なアナログデバイス社のDSPチップを使用しているので、はるかに廉価なDCX2496と基本的には同じ。むしろDCX2496やDBX DriveRack等の方がプロ用も考慮しているので出来ることは豊富である。ただし、音への影響はDAC部分が支配的とも云えるので、機種の選択は悩ましいところ。
デジチャンは設定変更の容易さ、設定の柔軟さ、などなど緻密にマルチアンプを組み上げることができるなど音質面以外の機能も充実していると思う。しかしながら、嵌まり込んだらかえって中々設定が決まらなくなるかもしれない。マルチアンプシステムでは最終的に組み上げた音のイメージを自分でしっかりと持っておく必要があろう。当方のデジチャンとしてのセッティング(クロスオーバー、スロープ、ディレイ、出力レベルなどなど)についてはまだまだ最終状態という状況ではないが、それでも従来の音をかなりブレークスルーしてくれていると思う。

遥かなる昔から、このような「音楽を感動的に聴かせてくれるステレオ装置」が欲しくて、ずっと求め続けてきた。今で言うコンポを手に入れたのは高校入学時、既に44年程前のことであるが、その感激も束の間、その翌年高校2年の時に友人宅で聴いたJBL OLYMPUS S-8Rとそれを駆動するマッキントッシュ、そしてそこから流れてくるThe BeatlesのAbbey Road、Here Comes the Sunで始まるB面。聴いた瞬間から正にノックアウト。そこでオーディオ道に開眼、以来ただ夢の中にある理想の音を目指してきたが、それを得るのは容易ではなかった。
至高のスピーカーユニットを得て、これを駆動するマルチアンプシステムの完成度がデジチャンによって高まったことは大変嬉しい。正に「自然と笑みがこぼれて来てしまう」状態で音楽が聴けるようになって来たからである。
今回は、出口から再度固め直していくというアプローチであったが、これは見直しとしては正解だったと思う。これからはだんだんと上流に向かいながらさらに向上させようと思う。(Mozartを居眠りしながら聴くためのシステム、という意味では合格点が出せるようになったと自己満足かもしれないが感じている)

ただ、今まで使用してきたプリアンプやDACがいらなくなってしまった。いずれも惚れ込んでいた機種をやっとの思いで手に入れたものなのであるが、これは何だか寂しい気もする。

3.デジタルチャンデバの設定上のTIPS(特に各ユニットのレベル調整に関して)
中域や高域はデジタルでのレベル設定をマイナスにしない(デジタル領域でビット落ちさせない)こと。マイナスのレベル設定ではS/Nがかなり不利になる。思い切ってプラス側への設定を行っても低域とは違い、エネルギーが小さいし、帯域分割された後なのでデジタルクリップはまずしないので、このプラスレベルの機能を最大限に利用すべきと思う(アナログのチャンデバではマイナス方向のみで、プラス方向のレベル設定はできない)。ただし、全体のレベル設定(SPユニットとの能率合わせ)にはちょっと工夫が必要となる。

高いS/Nを維持する方法は、0dBデジタル入力であり、アナログの場合も同様に絞り込まれたアナログ信号を使わず、いずれも後段の音量調節機能とパワーアンプの出力レベル設定にて整える。ゲイン調整機能付きパワーアンプ。あるいは利得を落とした低出力のアンプを使うなどの方法も考えられるが、これはアナログのチャンデバの場合と基本的に同じである。

DF-55におけるレベル設定の実際:
(1)レベル設定は-10dBのアナログアッテネッター(特に中域、高域用の高能率ドライバーにおいてはこの設定を使うことは必須)と+方向のデジタルレベルとの合計値で調整することになる。ひとつの例として:アナログATTで-10dB + デジタルレベル設定で+3.5dB。これで合計値は-6.5dBとなる。 これをさらにパワーアンプで-6dBとすれば-12.5dB。これで高能率ドライバー(110dB程度)とウーファ(98dB程度)とのレベルが合わせられるようになる。

(2)4つあるチャンデバユニットを有効利用する。(3way以下であれば、一部をモノラル使用として、ユニットを無駄にせずS/Nを稼ぐ)

(3)メモリ機能を有効利用する。例えば、2way 、2way+スーパーツィータ、3wayの三通りがメモリ機能によって簡単に設定・実現できる。アンプやSPユニットとの接続を変えずにDF-55のメモリ設定だけでチョイスするような設定が可能。従い、このメモリ機能の有効利用がベストな設定や構成決めへの近道となると思う。

我が家でもこの方法でいろいろとトライを始めており、今まで2way+スーパーツィータのスタイルであったが、せっかくなのでテストを重ねつつ3wayを志向してみようと考えている。が、また泥沼に入ってしまうかも?なのであるが。


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