VoyageMPDが5月に
VoyageMPD0.8.5
へバージョンアップされたので、多少軽い気持ちで早速チャレンジしてみたが、NAS関連のトラブルによって「どつぼって」しまっていた。トラブルの内容であるが、メインとして使用しているCentury製のNASでは音楽再生ができず、一度再生指示をした以後はシステムが不安定となってしまうという症状。ところが、サブで使用しているBuffalo製NAS(無線LAN親機にUSB接続させたもの)では特段の問題が発生しないし、また、このCentury製のNASはVoyageMPD0.7.5、VoyageMPD0.8.0のいずれでもちゃんと稼動する。従い、VoyagemPD0.8.5とCentury製のNASのどちらかに問題があることは、何となく判ってきたが、ここまでが兎に角大変であった。というのも、音楽再生が出来ない状況だけならまだしも、その後システムがカーネルメッセージを吐き、VoyageMPDを停止できなくなってしまう上に、再起動もできなくなってしまう。まさに、にっちもさっちもいかず、この状況になると最早再インストールするしか手立てが無くなってしまう。呻吟しながらも
識者の支援
を受けて、一進一退しながら、あれやこれやと問題の切り分けを進めた。
1.VoyageMPDの問題なのか、NASの問題なのか
消去法で稼動を確認していった。NASの仕様も疑わしいが、VoyageMPD0.8.5だけが不可なのは明確となった。
・VoyageMPD0.7.5 どちらのNASもOK
・VoyageMPD0.8.0 どちらのNASもOK
・VoyageMPD0.8.5 NG (Century製NASのみ不可、Bafallo製はOK)
・Ubuntu12.04 どちらのNASもOK
2.VoyageMPDの問題とすれば、その原因はどのモジュール、パッケージか
(注)この段階辺りから、何とVoyageMPDの開発者であるPunkyさんという方もアドバイスに加わってくれ、症状から考えれば疑わしいのはNASを使用するための機能であるcifsあるいはsmbfs辺りかも、ということで
・cifs、smbfsの最新バージョンをPunkyさんが用意してくれ試すも、状況変わらず。
・cifs、smbfsをVoyageMPD0.8.0と同じレベルにフォールバックしたが状況変わらず。
これらのモジュール、パッケージは原因としては除外となった。
3.残るは、VoyageMPD0.8.5のカーネルの可能性が考えられるということで、カーネルを試す
・VoyageMPD0.8.0のカーネル(3.0.0)へフォールバック、OKとなる。原因はVoyageMPD0.8.5のカーネル(3.2.17)か?
・そこで奥の手である。何と、Linuxの最新のカーネル(3.4.4)をこの問題の切り分け用に、yoさんにビルドしていただいた。ここまでやって、やっと結果がOKに!
3行目に「Linux voyage 3.4.4for-gonzaemon-nas」とカーネルの表示、ちょっと読み難いが。
完全な結論とは云えないものの、VoyageMPD0.8.5のカーネルに何らかの問題があることは間違いがない。ただし、Linuxの最新のレベルではこの問題は既に修復されている、と考えれらる。しかしながら、現状はVoyageMPDユーザーが0.8.5にバージョンアップした場合、使用するNASのメーカーによってはこの問題に遭遇する可能性がある。(開発者であるPunkyさんもこの状況を認識してくれているので、いずれはVoyageMPD0.8.5用のLiveCDも更新されるかもしれないが、それまでは)従い、このようなこともあった、ということで、ここに掲載して置こうと思う。
なお、ここに至るまで、VoyageMPDのインストールを少なくとも20回くらいは行ったであろうか? 大分苦労したことは確かであるが、何となくVoyageMPDが従来以上にに身近になったようにも思える。当方の乏しいLinuxスキルではこのレベルの切り分けや対応を自力で行うなどは、当然ながら全くもって出来ない話であるが、関係者の力強い(粘り強い?)サポートで何とか、問題を収束することが出来たし、また今まで知らなかったコマンドの使用法やLinux特有の対応方法などもいろいろと教えていただきながら、理解出来てきた。この場をお借りして、助言・ご支援いただいた各位に改めて感謝申し上げる次第である。
ここまでの過程ではVoyageMPDのテスト用の環境でトライしてきたが、これでメインシステムのVoyageMPDをやっと安心してバージョンアップすることが出来ることとなったので、この機会に改めて懸案事項であったavahi対応(固定のIPアドレスではなく、VoyageMPDサーバーの名前でクライアントから接続する方法)を行うこととした。
mpdのクライアントとして、mPod、ARIOをメインに、サブ的にGMPCを使用しているが、それぞれのサーバー接続設定をIPアドレス設定から名前の設定に変更した。(mPodは過去のバージョンでは固定アドレスのみのサポートであったが、現在の
バージョン(1.7.1)
では、指定されたVoyageの名前のサーバーをちゃんと探してくれる。
ARIO(Ubuntu環境)
もサーバーの検索機能がある。GMPC(Ubuntu環境)はPlug-inを追加でインストールすることにより、DOMAIN名の設定が可能であったので、少し注意が必要かもしれない。これにより自動的にvoyage名を探し出してくれるようである。voyageの名前とはmpd.confの「zeroconf_name]で指定したものである、為念。ただし、Windows版のAIRO、GMPCは多少設定が異なり、サーバーを検索するという仕様はどうも無いようで、通常はIPアドレスを指定するところに「voyage.local」と指定すれば接続は可能であった。
ARIOの名前設定画面(自動検出というボタンがある)
GMPCの名前設定画面
閑話休題。トラブルフォローのためにぐぐっていると、海外のVoyageMPD関連のいろいろな話題やQ/Aの中に
Bryston BDP1
というデジタルプレーヤーのユーザーだけど、という投稿が結構あった。ちょっとVoyageMPDに疲れていたこともあり、シンプルで良いデジタルトランスポートがあるのなら、などと浮気心を出して調べてみたら、VoyageMPDからNAS関連の機能を除外して、USB経由(HDDでもメモリでも良い)で楽曲ファイルを読み出すという機能のもの。製品レビューでも結構高音質として評価されている。クライアント操作は各種mpdクライアントがそのまま使用できる、という点も興味を引いた。Bryston社と云えば、プロ用に近いアンプやDACなどの製品で結構評価も高いところである。随分と「渋い」製品があるな、とかなり興味を持ってさらに調べたら、何とこの製品にはALIXのシングルボード(ALIX3D2とは異なるようだ)が使用されているではないか。従って、機能がVoyageMPDと相似というのは、当然なのかもしれない。しかし、この製品は北米で2,000ドルを超える価格である。日本には同社の代理店があり、予定価格は30万円程度だったようだが、結局製品は入ってきてはいない模様。それも当然かもしれない。日本のALIX3D2のユーザーはかなりの数になると思うが、このシングルボードの魅力は音質の良さだけではなく、ひとつにはその価格でもある。もちろんパッケージ化された製品とは違うので、それなりにスキルは必要となってしまうが、、、
オーディオの世界はこれが恐ろしい。もちろんBryston社としては電源回りの強化を含めて、高音質化の手を加えてはいると思うが、基本は100数十ドル程度のシングルボードコンピュータを使用しているにも係わらず、の値付けである。VoyageMPDのようなスキルを必要としない、より簡便なネットワークオーディオ機器もこのところ廉価な製品が出てきて好ましいとは思うが、それでも世の中には製造コストに到底見合っていないような価格付けの製品も存在する。
改めて思った。やはりデジタルトランスポートとしてVoyageMPDを大切に使用していこう、と。
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