オーディオ日記 第30章 遍路(その7) 2012年4月29日


TOP Audio Topics DIARY PROFILE LINK

ジッタークリーナーを搭載したDACを試している。USB DDC導入の縁で、キャッスル電子よりお借りすることになったQuad-DAC 4399Qである。ただし、製品版とは外観も内容も異なっている。

当方の現用機と同じAK4399デバイスを搭載しているのであるが、本機の味噌としては以下の2点。
1.ジッタークリーナーを搭載しておりオン・オフが可能。
2.仕様の異なるディスクリート回路のアナログ出力が2系統。
  (出力Aは汎用、出力Bは何と女性ボーカル専用!)
特に興味があったのはジッタークリーナーである。いろいろな記事は見ているが実際の効果がどうなのか気になっていたもの。このため、まずはジッタークリーナの威力を確認するために、CDトランスポート(Accuphase DP-90)との接続から聴き始めた。
(注:DACの手前にはデジタルイコライザが介在しており、CDT-DEQ-DACの構成である。)
・設定は当然ジッタークリーナーをオン。
・アナログ出力は女性ボーカル専用。

CLK=JCCの表示がジッタークリーナー「オン」
CAT 4399Q

出てきた音には何ともびっくりである。当方ののトランスポートは既に古典機となっていることもあり、デジタルトランスポートとしては我が家では多少ビハインドしてしまっているのであるが、それを全く感じさせないチャーミングな音が出てくる。エコー感にたっぷりと浸りながら、すっと伸びたボーカルを楽しめる。声そのものがが多少若やいで聴こえるとも云えるかも知れないが、音量を上げたところでも透明感を失わず、とても気持ち良い。DP-90については、PCオーディオで聴くことの多い昨今、今更買い換えるのもどうかなあと思い、でもCDで聴きたい時もあるのでクロック交換してみようか、などと考えていた。ただし、クロック交換は存外に高価なことが多い。そのため、ジッタークリーナーがどのように作用するのか興味津々であったが、これは結構行ける。EM-DAC4399Octとの比較においては、片やバランス出力、このDACはアンバランス出力という違いがあり、出力レベルも多少異なるため、厳密に同じボリュームでの比較は難しいのであるが、敢て表現すれば僅かに押し出しが弱く、音楽の力感あるいはマッシブな表現は弱いかもしれない。でも、女性ボーカルを聴くのであれば、このチャーミングさが断然良い。この差がすべてジッタークリーナーの効果とは云えないかもしれないが、その効果を女性ボーカルで堪能、実感することができた。なお、比較試聴に使用した女性ボーカルは「 Best Audiophile Voices」である。

CDトランスポートでは改善の効果と方向性が明らかであるが、はてさてPCオーディオにおいてはいかがであろうか。こちらも間にデジタルイコライザが介在しており、VoyageMPD-USB DDC-DEQ-DACの構成であるが、この環境ではジッタークリーナーの効果は多少小さく感じられる。CDトランスポートに比すれば、苦心惨憺の結果、それなりのボーカル再生をしてくれるようになっていることも(心理的に?)関係があるのかもしれない。このため、アナログ出力を汎用の設定として、女性ボーカル以外のジャンルなども聴いてみたが、ジッタークリーナーの効果の印象はCDトランスポートの時ほど劇的ではない。CDトランスポートにおける少し麻薬的(?)な効果をこちらも期待してはいたが、そうそう甘くは無いというところか。なお、DACとしてのQuad-DAC 4399Qは素直な出音で、日頃よりAK4399の音を聴きなれている影響もあるかもしれないが、こちらも好感度大。当方はEM-DAC4399Qに痺れて、速攻EM-DAC4399Octへリプレースした経緯があるので、EM-DAC4399Octは大切に使って行きたいと考えているが、このDACにジッタークリーナーを何とか装備できないものかと、新たな迷いが生まれてしまった。また、現時点では詳細を調べ切れていないが、ES9018Sにはこのジッタークリーナー機能(ブロックダイアグラム上はJitter Reductionとの表現である)があり、それが音の評判にも繋がっているのかもしれない。Quad-DAC 4399Qを聴きこむことと合わせて、その辺りも少し調べてみようと考えている。

CAT 4399Q


next index back top