オーディオ日記 第30章 遍路(その2) 2012年4月4日


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QA550との比較において少し遅れを取っていたVoyageMPDのリベンジを期し、その対応として次にどんな手当てをして行くべきか、あれやこれやつらつらと考えていたところ、XMOSベースのUSB DDCに、廉価でかつ、これは、という面白そうなものがあったので発売されたばかりで情報は少なかったのであるが、購入してみた。 JAVS X-DDC という製品である。

JAVS X-DDC-1 JAVS X-DDC-2

QA550の音の良さは評価しているが、使い勝手という観点からは主に比較試聴用であって、普通に音楽を聴きたい時(モーツアルトのほぼ全曲をランダム、ノンストップで聴き続けたいなど)に手軽に常用するには至らず、さりとて現在メインとしているVoyageMPDが音的にビハインドしたままでは、いくらiPod Touch(mPoD)からのリモコン操作が快適といっても、このままでは少し悔しい。このため、VoyageMPDからのデジタル出力部分を何とか改善できぬかと、悶々としていた。USB DDCとしてXMOS USB Audio 2.0 Reference Designは健闘していると思うが、如何せん評価用ボードであり、基盤を半田ごてであれこれいじくり回すスキル(度胸?)もない当方としては、音質向上が見込めそうな対応策として、オプティカル出力を同軸出力に変えたい、可能であれば将来的にはI2S出力も取り出してみたい。電源もUSBバスパワーではなく、外部電源あるいはバッテリーを使用してみたい。等々の希望はあっても、下手に半田ごてでいじれば評価ボードを壊してしまうのが落ち、と躊躇していた。そんな、悶々としている中で、希望に見合うUSB DDCをいろいろと検討してきたが、Linux(VoyageMPD)にて接続できそうな製品についてメーカーへ問い合わせてみるも、Linuxの正式なサポートは少なく、また公式に接続可能という回答も少ない。接続が確認されている製品はあっても、価格に納得感(XMOS USB Audio 2.0 Reference Designが安すぎるからか?)がない。現在DAC機能を含まないUSB DDCは製品としては結構あるが、Linuxと接続できる(USB Audio Class2.0準拠)ものはXMOSあるいはTENOR TE-8802Lを採用しているものが主流と思われる。ただし、TENOR TE-8802LであってもファームウエアによってはLinuxに認識されない場合(例えばDC-901がそうであった)があるので、結構注意が必要かと。

JAVS X-DDCはXMOSベースのなので、音質に係わる基本的な性能(ファームウエアによって差があるかもしれないが)はある程度は把握できているつもりなので、今回購入に際して評価したポイント(価格を抜きにしても)は以下の1~3で、4と5はまあ、おまけかなと。
1.RCA同軸のデジタル出力にて44.1KHz、48KHz、88.2KHz、176.4KHz、192KHzに対応
2.Ultra-Low Jitter TCXO ±1ppm Clockを搭載
3.USBバスパワーを使用しない場合のために、DC入力端子(DC9V~12V)を装備
4.I2S出力用のHDMI端子つき(ただしこれは汎用的ではない模様、環境も無いので未テスト)
5.電源スイッチ付き(節電の折?でも、ちょっと小さすぎて押しにくい)。

実際の製品はかなり小さく、軽く、XMOS USB Audio 2.0 Reference Designとあまり変わらない基盤サイズではと推測される(筐体を分解にするには少し特殊なドライバーが必要なので、まだ中身は確認できていない)。廉価なのでやむを得ないが、高級感はあまりない。同軸端子もがっしりしたものは付いていないし、LCDディスプレーも付いてはいるが、クロック表示くらいの機能しかないので、これなら却ってLED表示でも良いのではとも思う。XMOS USB Audio 2.0 Reference Designが送料込みで160ドル程度であることを考えると、176.4KHzに対応している点なども含め、相対比較としては、まあ納得感がある。XMOS USB Audio 2.0 Reference Designはある意味基盤を含めていじくり回せる人向きであるが、こちらは「普通のユーザー向けの製品」であり、XMOSを搭載した他の製品に比較すれば何より価格はリーズナブルと思える。

肝心の接続と音であるが、VoyageMPD、Ubuntu11.10ともUSBケーブル(USB端子はUSB3.0用が付いているが、USB2.0のケーブルでもOK)で接続しただけで、全く問題なく一発で認識し、音出しもまずはRCA同軸ですんなり。音は当然ながら、XMOS USB Audio 2.0 Reference Designと類似と云って良いと思うが、ケーブルを変えるなど、これからいろいろとテストして行きたいと思う。一番テストしてみたいのは、USBバスパワーを使用せず、外部電源を使用することであるが、USBケーブルから給電しないようにケーブルの加工など準備が必要となるので、これは本日は未完。追って早急にテストしたい。なお、ホームページ上には「200時間以上のエージングを推奨」という記載があるが、このようなコンパクトかつ廉価なデジタル機器で200時間のエージングが本当に必要なのだろうか?まあ、それを含めて、今後更に音質向上が期待でき、QA550を追い越せるのであれば、大変嬉しいのだが。

Ubuntu11.10でのデバイス設定画面
JAVS X-DDC-5

Ubuntu上のmpdをArioで再生中
JAVS X-DDC-6

WindowsXP(再生ソフトウエアはWinamp)環境でも確認したが、ASIO2.2ですんなりと稼動。あまりテストに時間をかけてはいないが安定しているようだ。Windowsの場合は専用のドライバーをインストールすると、合わせて以下のようなコントロールパネルが表示可能となる。これはXMOS USB Audio 2.0 Reference Design用のThesyconのコントロールパネルとは違うので、製品としてちゃんとカスタマイズされているということだと思う。ちなみにファームウエアのバージョン情報は表示されないので、これを調べるべくThesyconのコントロールパネルを起動してみたが、これはエラーとなってしまいバージョンは確認できなかった。やはりファームウエアに何らかの差異があると見るべきか。

Winampでのデバイス設定画面
JAVS X-DDC-4

コントロールパネル
JAVS X-DDC-3


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